バルセロナから、フィゲラスというフランス国境近くの町を訪れた。ここにはサルバトール・ダリが自ら創り上げたダリ劇場美術館がある。
フィゲラスはダリが生まれ育った町。そして美術館の場所は、彼が14歳の時初めて作品を出品した展覧会の会場である市立劇場のあった所だ。1930年代のスペイン内戦で廃墟化していた劇場跡を、自らの美術館に復元したというエピソードが隠されているゆかりの場所だ。
駅から歩いてくると、巨大な卵がいくつも載せられた建物が見えてくる。
壁一面に付いているブツブツは、近づいてみるとパンのようだ。
正面入口は普通の建物のように見える。
だが、中に入ると奇想天外のもろもろが次々に現れた。まず、入口中庭には本物のキャデラック。車内でボタンを押すと水が噴き出す「雨降りタクシー」。
屋根から立ち上がるブロンズ像は「女王エステル」。
真上には球体のような明かり取りの天井が開ける。
正面には顔のない巨大な女性像がドンと描かれている。
下に座る人と比較すれば、いかに大きいかが歴然だ。
横の壁上部に肖像画が掛かっている。この距離からみれば、リンカーン像であることがわかる。
しかし、近付いて行くと、そこには裸の後ろ姿をした女性像が現れる。この女性は最愛の妻ガラだ。タイトルは「20m離れて見るとリンカーンの肖像に変わる、地中海を眺めるガラ」。
次のスペースへ。赤い柔らかなソファのある部屋。だが、部屋の正面に回り、階段を上ってそこにあるレンズを通してみると、暖炉は鼻、ソファは唇、カーテンはブロンドの髪に変化して、一人の女性の顔になる。
ハリウッド女優メイ・ウエストの顔だそうだ。
メイ・ウエストは19世紀ハリウッドで活躍した女優。代表作に「美しき野獣」などがある。ダリは彼女を一種の理想女性としていたといわれる。まあ、本物の顔と似ているかどうか、と聞かれれば「う、」と口ごもってしまうのだけれど・・・・。
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