新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・イタリア ローマ編① ヴァチカン美術館の階段は、人体のDNAと同じ二重らせん構造

2021-09-14 | 階段紀行・イタリア

 ヴァチカン美術館は、絵画館、システィーナ礼拝堂、美術館など20もの展示スペースがまとまったローマ法王庁の一大コレクションだ。

 その中で階段に注目すると建物出口にあたる場所にある螺旋階段は、その優雅さにおいて別格の美しさを誇っている。設計者はジュゼッペ・モモ。

 大きな円を描きながらゆっくりと回転して行く階段は、いつまでも飽きずに眺めていられる。

 と、ふと気づくとその階段を歩く人たちは全員が同じ方向に向いている。皆が下りだけで、上りの人はいない。実はこの階段は上りと下りが全く交わらない二重らせんになっており、今は(私が訪れた時)下り専用の階段として使われていたためだ。

 階段の完成は1932年。増築された同美術館の出入り口の建物内に新設されたものだった。

 手すりの壁には植物、鳥、天使などの各種レリーフが刻まれ、

 真上にある八角形の天窓から光が差し込む。

 再び階段を見下ろすと、上から下に向けて円が少しずつ内側に張り出していることがわかる。 つまり、各階の階段円の直径が少しずつ小さくなっているのだという。それもまた、独自の味わいを生み出しているようだ。

 せっかくここにきたので、 代表的な美術作品を何点か。

 まずは「ラオコーン」。ベルヴェデールの中庭にあるこの彫刻は、後期ヘレニズム時代の傑作。ミケランジェロもこの作品に大きな影響を受けたという。

 「アテネの学堂」。ラファエロの代表作の1つで哲学の勝利を表現した。ダヴィンチやミケランジェロの姿を借りて描き込んでいるのも面白い。ラファエロ自身も顔を出している。

 メロッツォ。ダ。フォルリ作「奏楽の天使」。楽器を奏でる天使たちの連作だが、可憐な表情に癒される。

 


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