新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

上野歴史散歩⑬ 日本の大将碑とアメリカ将軍碑が並んで建ち、江戸から続く時の鐘を聴く空間がある

2022-09-27 | 上野歴史散歩

 2つの神社横には上野精養軒がある。ここは1876年、上野公園がスタートした時に開園レセプション会場として使用するためにオープンした歴史ある店。

 そのすぐ脇には「時の鐘」が見える。江戸時代、市民に時間を知らせるための装置として幕府が1666年に設置したもので、上野だけでなく日本橋、浅草、目白不動など9か所で時を知らせた。時計のない時代の江戸っ子の生活の指標として役立ってきた。当初は2時間ごとに鐘がつかれたという。

 実は今でもこの鐘は生きている。精養軒で昼食を摂った時にウエイトレスさんに聞くと、毎日朝6時、12時、夕方6時の3回鳴らされるという。

 この鐘にちなんだ一句。 「花の雲 鐘は上野か 浅草か」(芭蕉)

 すぐ近くに建つ像は小松宮彰仁親王碑。陸軍大将から日本赤十字社初代総裁として赤十字活動の発展に尽くした人物だ。日本赤十字社設立25周年を記念して1912年に建てられた。

 ただし、像は陸軍大将としての姿で制作されている。

 その横にもう1つの碑がある。グラント将軍植樹碑。

 グラント将軍はアメリカの南北戦争で北軍を勝利に導いた司令官。その後合衆国大統領を務めた。来日したのは大統領を辞任した後の1879年。この時公園で催された歓迎会に出席し、ヒノキを植樹した。

 そのヒノキが向かって右側の高い木だ。記念碑は渋沢栄一らによって建てられた。

 日本の大将とアメリカの将軍の碑が同じ場所に建てられ、そろって江戸時代から続く鐘の音を聞いているなんて、いかにも上野公園らしい面白い一画になっている。

 


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