南イタリアの洞窟住居(サッシ)の町マテーラを訪ねた。1993年に世界遺産に登録されたこの町では、他のイタリアの都市とは全く違った光景が展開する。
かつてはあまりにも不衛生な貧民窟として住民の退避を命じられ、廃屋同様の地域となった町。しかし今ではその特異な景観を守り伝えようと、新たな観光都市となって蘇ってきている。
サッソ地区にあるS・Ⅿ・マドンナ・デイ・イドリス教会を目指した。11世紀に造られたという、千年も前の洞窟教会だ。まずは新市街地から旧市街への通路を行き過ぎる。
サッソ・カヴェオーゾ地区の高台を望むと、巨大な険しい岸壁の上に、まるで突き刺したかのように細い十字架が立っているのが分かった。
あれがイドリス教会だ。がれきだらけのような姿が目の前に広がる。果たしてどうたどればあの十字架にたどり着けるのか。迷いながらも、ようやく岸壁に近づくことが出来た。
そうして教会につながる階段が現れた。あれが教会への参道とでも言ったらよいのかも。
迷いながらも、ようやく接近。
石の階段は意外にもしっかり整備されていた。
内部には岩をくりぬいて掘られた空間に祭壇があった。正面には壁に描かれた「聖母子」のフレスコ画だ。
真夏の照りつける太陽の下、たどり着いた洞窟教会は、ひんやりとした冷気に包まれていた。
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