新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

荒涼とした岩だらけの街が突然出現した・・・マテーラ①

2016-09-10 | マテーラー南イタリア

 これは何だ!  
 荒涼とした岩だらけの大地。そこに折り重なるようにして石の構築物が重なる。

 人が住んでいる街なのだけれども、温もりのかけらもないような、人の接近を頑として拒絶したとしか思えない場所。それが、マテーラの第一印象だった。


 マテーラはバーリから私鉄アップロ・ルカーネ鉄道で約1時間20分。マテーラ中央駅に降りた時は、まず拍子抜けしてしまう。駅前通りはいたって普通の新市街地の街並み。写真などで不思議な景観を頭に入れてきただけに、一瞬降りる駅を間違えたのかと思ってしまった。旧市街へはローマ通りを東に向かって進む。

 セディーレ広場から旧市街に足を踏み入れると、突然別世界が広がる。


 緩やかな坂道を上るとドゥオーモ広場に着く。

 ここからのサッソ・バリザーノ地区の景観は、まさに世紀の奇観だった。


 急峻な渓谷を挟んで谷間からせり上がる岩盤には、石の塊で造られた死の街と表現してしまいそうな建築群。

 そして対岸にはあちこちに穴の開いた断崖。サッソ・カヴェオーゾ地区だ。天然の洞窟が多く、より原始的な景観の広がる地域だ。

 坂道を下って低地に降りてみた。

 大聖堂を仰ぎ見る位置まで下ってきた。さすがに高低差の大きい土地であることを実感する。

 カヴェオーゾ地区の端にあるプルガトリオ教会。細長いユニークな形をしている。

 サッソ地区にも住民は生活しており、洗濯物を干す風景も見られた。

 その奥の岩山の上に十字架が見える。あれが、マドンナ・デ・イドリス教会だ。あの教会を目指そう。

 岩と岩の間に階段が出来ていた。


 もうあと少しで到着だ。

 さあ、到着!巨大な岩の塊の内部をくりぬいて洞窟を作り、その外側に外壁を作った実に珍しい形の教会だ。カヴェオーゾ地区にあり、最も古いものとされている。

 中に入ってみた。フレスコ画が残されていた。歴史的にも評価の高い作品だという。
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石でできた‟美しい樹木”の町・・・アルベロベッロ②

2016-09-06 | アルベロベッロー南イ...

円錐形の屋根のドームにはいろいろな模様が描かれている。それぞれには意味があるらしい。

 ハートに矢が刺さった形は、キリストまたはマリアの心臓の表現とのこと。決して恋愛成就のおまじないではありません。

 
 丸印は太陽の形。

 三日月に+は、災いが来ないように見張っていることの表現だという。



 屋根の先端にあるピナコロ(小尖塔)は丸いものが多かったが、平べったいものや尖ったものなどいろいろ。

 街はとてもよく整備されており、玄関先に花を飾っている家もあちこちに見られた。逆に、、ごみなどは全く見られなかった。

 旧市街に広がるトゥルッリの家並みを見ながらの散歩で、30分もあれば一周できてしまう。

 「美しい樹木」を意味するという「アルベロベッロ」の地名。確かにトゥルッリが骨太の樹林のように見えないこともない。

 白い家に黒い枠のお洒落な門を見つけた。

 帰り際、薄雲が消えて本当に青い空が顔を出し、そこに突き刺さるように伸びるトゥルッリが良く映えていた。

 2つのトゥルッリの集落のうち、西側にあるリオーネ・モンティ地区の最奥、モンテ・サンミケーレの坂道頂上に、サンタントニオ教会がある。ここは世界で唯一のトゥルッリ造りの教会建築。

 20世紀初頭の建築とあって、中のキリストの描かれた壁画もかなり新しい感覚の絵だ。

 その隣の公園には、こんな大きなおじさんとおばさんの像がドカンと置いてあった。
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税金対策が生み出したとんがり屋根=トゥルッリの住宅群・・・アルベロベッロ①

2016-09-02 | アルベロベッロー南イ...

 ずらりととんがり屋根=トゥルッリ=が広がる街、アルベロベッロ。おとぎの国にタイムスリップしたかのような街に行った。
 名高い観光地だが、鉄道駅は簡素。電車を降りて市街地のマルゲリータ通りを15分ほど西に向けて進む。

 ヴェットリオ・エマヌエーレ通りとの交差点で、右に見える立派な教会・ダミアーノ聖所記念堂に立ち寄った。

 中央に3枚の聖母やキリストの絵が掲げられていた。すっきりとした内部は一見の価値あり。




 そこからエマヌエーレ通りをまっすぐ南に歩く。突き当りのポポロ広場から先が、トゥルッリの広がる旧市街だ。

 手前のサンタルチア教会に入る。正面祭壇の後ろは新しいステンドグラス。この教会前がトゥルッリの展望所になっていた。

 トゥルッリの集まる地域は、東側のアイア・ピッコラ地区と西側のリオーネ・モンティ地区に分かれている。

 トゥルッリとは、白壁の上に灰色の石を何枚も重ねて円錐形の屋根を作りあげ、てっぺんに取っ手のようなとんがりをつけた家だ。
 町全体で1430戸。その特異な形から1996年に世界遺産に登録された。

 ここを訪れる前に滞在したチステルニーノでは、老夫婦に招かれて家の中を見せてもらったが、1つの屋根に1つの部屋があり、熱を遮るため夏でも涼しくて快適だ。

 こんな変わった家が出来た背景には税金対策があったという。

 15世紀ころは住居を造れば税金を取られたが、検査官が来るときには、簡単に分解できる屋根を分解して税金逃れをすることが出来たという。農民たちの一種の生活の知恵がこの屋根製作のきっかけだったという。

 街を歩くと土産物店内からよく声がかかる。それもしばしば日本語で。「こんにちは」「お土産あるよ」などなど。

 この町は日本人には南イタリア1というほど人気があって、金払いの良い日本人観光客が常時訪れるので、店側もすっかり日本語が上達してしまったようだ。
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