新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 イタリア編㉟ ヴェネツィアに巨大な富をもたらした 華やかな色彩の結晶

2024-01-16 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 ショウウインドウに飾られた ヴェネツィアングラスを見て

 その色彩の華やかさに 眼を奪われた

 ブルー レッド イエロー

 照明の強弱 光の角度 影との対比

 様々な 瞬間瞬間に

 新しい変化を 紡ぎだし

 新鮮な驚きを 与えてくれる

 

 もちろん レースのような繊細な模様だけでなく

 シャンデリアに至る ダイナミックな造形

 それらをも生み出す 幅広さをも兼ね備える

 

 古代ローマ時代に 源流を持ち

 13世紀には ヴェネツィア共和国の主要産業として

 巨大な富をもたらした ヴェネツィアングラスが

 21世紀の今も 燦然と輝き続ける

 

 その はるかな歴史の もたらす重みとともに

 奇跡の造形の放つ 光に

 しばし 見とれてしまった

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編㉞ 突然現れた自然の造形の美に 我を忘れて空を見上げた

2024-01-13 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

夜明けだった

少し寒いとさえ感じる 風が吹き過ぎる中

また 広場に来た

空は青いものの かすかに薄墨を流したかのような

暗さを伴っている

 

しばし空の変化を楽しもうと 石段の端に腰を下ろした 

ホテルから歩いてきて 暖気を含んだ体に

ひんやりする石の湿度が 心地よく染みる

 

今日はどの教会を 訪れようか

このところ ヴェネツィアの教会巡りを続けていて

それぞれの内部にある 絵画 彫刻 天井画などに魅了されている

主祭壇に堂々と飾られた ティツィアーノの聖母子像に感動したり

入り口横の壁にそっと置かれた 無名作家による素朴な像を発見

なぜか幸せな心地を 感じたりの毎日だ

 

そんな思いを抱えながら 何気なく見上げた空に

不思議な形が 描かれたのに気付いた

何だ !

よく見ると 鳥たちの形成する造形だ

その姿は 一瞬で形を変え

数十秒には 遠くの空を目指して飛び去って行った

 

渡り鳥たちが 新しい場所へと移動を開始した朝

無人状態の広場の上空で 

何の作為もなく 形成した形の美しさ

 

人間の造り上げた芸術の素晴らしさに 

感動していた 東洋の旅人に

自然の集団が 突然無意識に見せてくれたもう1つの美に

訳もなく 改めて感謝と喜びを

感じた朝だった

 

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心ふるえる風景 イタリア編㉝  記念日に ヴェネツィアの歴史を象徴する3本の旗が翻った

2024-01-09 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 ある年の6月2日 ヴェネツィアのサンマルコ広場に行くと

 3本の旗が 翻っていた

 一番手前は ヴェネツィア共和国国旗

 真ん中は 現イタリアの国旗

 奥は EU加盟国を意味する欧州旗だ

 

 ヴェネツィア共和国とは 7世紀末に誕生し

 1797年に ナポレオンによるフランス軍の侵攻で消滅したが

 1000年以上 至上最も長期にわたって続いた共和国だった

 その国旗は 中央に守護聖人サンマルコの象徴

 翼を持った獅子像が 描かれている

 

 中央の現イタリア旗は 国土と自由を意味する緑

 雪と平等の白 情熱と博愛の赤の3色旗だ

 

 またEU旗は 青地に12個の金色の星が円を描く

 団結と調和を意味する円で 統一も表現されている

 

 広場では 第二次世界大戦後の1946年6月2日

 王政を廃して共和制に戻った 記念の祝典が開かれていた

 3本の旗は それぞれがヴェネツィアの長い歴史を裏付ける

 象徴として欠かすことの出来ない 印なのだろう

 広場の市民たちは 誇りに満ちた表情で

 3本の旗を 見上げていた

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編㉜ 紅の波動を越えて ゴンドラは孤高の旅を始める

2024-01-06 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 

昼はあれほどにぎわった リアルト橋にも

初冬の寒さが忍び寄る 夕刻には

本来の静けさが 蘇る

橋から見下ろす カナルグランデ

夕陽のなごりがもたらす光で 水面は

燃えるような朱に 染まり

周囲に波動の揺らめきを 広げて行く

 

音もなく進む 一隻のゴンドラ

昼でも黒い船体は 夕暮れにはなお一層

その色を濃くし 闇という衣をまとって浮かぶ

 

まもなく夜が襲い来る ほんの少し前

運河に浮かぶ 孤高のゴンドラは

静寂の紅に満たされた 運河を越えて

はるか彼方への旅を 始めるのだろうか

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編㉛ ヴェネツィア・レデントーレの祭りの夜 花火に照らされた広場で連帯の握手の輪が広がった

2024-01-03 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

ヴェネツィアの島の1つにジュデッカ島という島がある

サンマルコ聖堂のある本島と カナルグランデ(大運河)を挟んで隣り合った島だ

その島で年に1度 もっとも賑わう日がある

11月の第3日曜日 レデントーレ教会の祭礼だ

 

起源は 約500年前に遡る 

当時ヴェネツィア全土が ペストの病魔に侵されていた

そのパンデミックの退散を神に祈り ようやく収まった時

感謝の表現として 建築されたのがこの教会だ

祭りの日だけに渡される仮設橋を渡って 人々は参拝に訪れる

 

そして夜 鎮魂と感謝の気持ちが 花火によって表現される

私も夜 サンマルコ広場に足を運んだ

広場は続々と集まる市民たちで すっかり超満員

身動きも出来ないほどの 状態になっていた

 

夜11時 ドーンという爆音とともに花火が上がった

続けて何発もの花火が夜空に上がる

満開となった光の中に 浮かび上がったのは

ヴェネツィアの守護聖人サンマルコの像だった

 

宵闇に隠れて見えなかったものが

花火の鮮烈な光によって 

くっきりとしたシルエットとなって 浮かび上がったのだ

 

花火は ほんの10数分

でも市民たちはみな 握手をし

お互いの手を取り合って 感謝の表情を浮かべた

そんな輪の中で 異邦人である私にも

握手の手が あちこちから延びてきた

そう この日この時に集まった人みんなで

今そこにある平安の喜びを祝い合う

心のつながりを確かめ合う時間が 生まれていた

 

 

 

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