新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 パリ編④ 「景観破壊のゲテ物」から「唯一無二の象徴」へ エッフェル塔の観賞スポットは!

2024-07-12 | 心ふるえる風景 パリ編

 エッフェル塔が完成した時 歓迎の声とともに批判も起きた

 当時はまだ19世紀 パリは都市改造を終えたばかりだった

 街並みは石造り 7階建てのビルが整然と並ぶ姿に整備された

 

 対して突如立ち上がったのは 330mと桁違いに高くそびえる鉄骨の塔

 「パリの景観を破壊するゲテ物」 「鐘楼の骸骨」「巨大な黒い煙突」

 そんな反対の声は 特に文学者芸術家などの識者から上った

 

 だがやがて 塔の持つ美しさや機能性街との相性などが理解され始め

 民衆からも 親しみの眼でとらえられるようになった

 反対派の1人だった 文学者モーパッサンは

 ある時エッフェル塔の中にあるレストランで 食事をしているところを目撃された

 「あんなに反対していたのに どうして?」 と尋ねられると

 「だってパリの街で エッフェル塔を見ずに済む場所は 

 ここしかないから」 と話したという

 実はモーパッサン自身 しばしば塔に通うようになっていた

 

 こうしてエッフェル塔は あのスマートな形態や雄大な眺めとともに

 唯一無二の パリの象徴になって行った

 

 モーパッサンではないが エッフェル塔に昇れば塔そのものは見えない

 これまでの経験で 塔をよりよく見ることが出来る場所を見つけた

 1つはデパート ギャラリーラファイエットの屋上

 ここはオペラ座のすぐ裏側なので エッフェル塔だけでなく

 塔を含めた市中心部の風景を 間近に見ることが出来る

 最もお薦めのロケーションは モンパルナスタワー展望デッキだ

 高さ210mもあるうえ エッフェル塔を真正面平行に見ることが出来る

 私は日没時に そこに上ってみた

 

 後方にうっすらと姿を見せる 新開発地区ラ・デファンスのビル群を従え

 暮れ行くパリの空を背景に 無数の光の粒を集めて

 燦然と輝きを増してゆく エッフェル塔の雄姿は

 「ああ パリに来た」との実感を全身で感じる

 鮮烈な記憶として 今も心に残っている

 

 

 

 

 

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心ふるえる風景 パリ編③ 革命から100年目に完成したエッフェル塔 100年ぶり開催のパリ五輪

2024-07-09 | 心ふるえる風景 パリ編

 初めてエッフェル塔を目にしたのは パリ到着日の夜だった

 セーヌ川越しに オレンジの光をまとった

 夜空に浮かび上がる構築物は 芸術的とも呼べるほどの輝きを放っていた

 

 エッフェル塔が完成したのは 1889年

 当時世界一を誇る 自立式塔として 

 その年開催された パリ万博の象徴ともなった

 また1889年という年は ある意味メモリアルな年だった

 それはフランス革命が起きた1789年から ちょうど100年の節目の年でもあった

 

 今年開催されるパリ五輪

 これも100年という数字に縁がある

 前回開催されたパリ五輪は 1924年

 今年がまさに 100年ぶりの開催となるわけだ

 

 パリという花の都で行われる スポーツの祭典で

 選ばれしアスリートたちは ほぼどの会場からでも目に出来る

 エッフェル塔に匹敵する 「高み」を目指して

 熱戦を 展開することだろう

 歴史に残る名場面の実現を期待して 開幕を心待ちにしている  

 

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心ふるえる風景 パリ編② 外光が優しく降り注ぐ ドゴール空港の快適空間

2024-07-05 | 心ふるえる風景 パリ編

 初めてパリを訪れた時 まず空港の壮大さにびっくりした

 イタリアからの帰国途中 フランスに立ち寄った

 利用便はJAL機だったので ドゴール空港到着後ターミナル2に向かった

 そこで目にしたのが 上方に広がる明るい空間だった

 

 もちろん大きな屋根がついていたが それは翼を広げたようなイメージ

 そこから外光が 優しく降り注いでいる

 空と室内を隔てているのは ガラスの天井

 全面的に 日差しが入るのではなく

 程よい明るさに保たれるような 日除けも施されている

 

 柔らかいカーブを描く屋根 ゲートの案内板も角のない楕円形

 全体的に硬直した直線を 極力少なくした設計だ

 設計者はポール・アンドリュー 1998年の開港だ

 

 敷地も32平方キロメートル 羽田空港(15平方キロ)のほぼ2倍の広さだ

 でも光の温かさに包まれるように過ごす ホールの快適さは

 お気に入りのカフェで読書している 気分を味わえる時間だった

 

 以来パリを訪れる度 ドゴール空港には

 ゆったり過ごせる余裕を持って 到着するようになっている

 今月の中旬過ぎからは 各国のオリンピック選手団が

 続々とこの空港に 降り立つことになるのだろう

 

 

 

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心ふるえる風景 パリ編① いよいよ始まるパリ五輪とともに パリの印象を辿ろう

2024-07-02 | 心ふるえる風景 パリ編

 7月に入った

 今月はいよいよパリ・オリンピックが始まる

 そこで今回からは パリの旅で心に残った

 風景や出来事の思い出を たどってみることにしたい

 まずは セーヌ川から

 パリ五輪は夏季五輪史上初の スタジアム外開会式が予定されている

 会場は セーヌ川

 パリ五輪の公式ホームページには こんな想定写真が掲載されていた

 

 サンルイ島の東側 オステルリッツ橋をスタート

 エッフェル塔のある イエナ橋までの6キロを

 約90隻の船を使って 行進するという

 

 この地域は世界遺産に 登録されている

 「セーヌ河岸地域」と ほぼ同じエリアになる

 セーヌ川にかかる パリ市内の34の橋のうち

 歴史や景観を誇る主要な橋は ほとんど観光できるルートだ

 私にとっても 橋の思い出はいくつも残っている

 1606年完成 市内最古の橋であるポンヌフは

 初めて娘を連れて出かけた旅行で 記念写真を撮ったメモリアルな場所

 芸術橋(ポン・デ・ザール)では 無数の南京錠が掛かった橋の上で

 半日間人間観察に 没頭したことがある

 アレクサンドル3世橋は 昇る朝日に輝く女神像に感動したことを思い出す

 

 そんなパリの印象を オリンピックの興奮を味わいながら

 改めて 丹念に綴ってみたい

 

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