彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。ひこにゃんの
お誕生日は、2006年4月13日。
かりん叢書
塗中騒騒 - 歌集
【季語と短歌:7月15日】
蜘蛛の囲を払うことなき雨上がり
蜘蛛の囲を払うことなき雨上がり
激しく降り続いた連日の朝、蜘蛛の囲を確認し、それがないのでので
彼女に質すと、私がいつも綺麗にしているからと笑いながら答える。
「異変では」と過剰反応した己を恥じた「日常」を詠む。
【今日の短歌研究⑦】
平安:貴族社会社会 自然観の確立
その次が平安時代になります。壬申の乱以後、奈良朝は天武系でずっ
と続いていたわけですが、やがて天智系に戻って、大津宮に近い京都
に遷都することになって平安京ができるという流れになります。七一
から七九四年までですのですの
で、奈良時代というのは八十四年間ですね。長岡京の時代が
あるので厳密にはもう少し短いんですが。
平安朝になって、貴族文化の世界になっていきます。
接すると、日本人はどうしてそんな自然と親和性があふて茫洋として
なんとなく生きていられるんだと言われたりします。西洋的な感覚か
らすると。一神教による宗数的な鍛え上げられ方をしていないという
ことが不思議なわけですね。
日本だと、議論をしてもそこそこで「まあ、どっちもいいんじゃな
い」と言ってしまいがちなんですが、そういうことは海外の学会とか
ではないんですね。夜中まで議論してどっちが正しいかやってみよう、
というのが普通なわけです。
つまり、宗教的な超越的な反自然的なそういうものを持ち込まない
文化というのが日本のなかでは重要で、ある種のアニミズム的なもの
に制度を与えたのが貫之の『古今集』というわけなんです。
それは西洋の原理とは大きく異なる文化で、外国から来て日本に長
く滞在し馴染んできた方には、和歌や生け花や茶の湯といったものに
対してある種の敬意を抱いてくださるようになることが多いです。敬
意とは、アニミズム的なものによって高度な文化が作れるのだという
ことに対する数意なんですね。教会や塔を建てるといったこととは違
って、自然を愛する心や多神教といったものによって高度な文化が作
られているということ。そのルーツは何かということを考えると、赤
人の歌や貫之の歌に見られるのではないかと思います。
暗きより暗き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月
『拾遺集』和泉式部
これも有名な歌ですが、この歌が名歌であるかとうかは実は賛否両論
あります。
たとえば、当時の第一線の歌人であった藤原公任は、この歌は駄目
だと言ったんですね。なぜかと言うと、〈暗きより暗き道にりぬべき
〉というのは法華経の中の決まり文句のようなもので、それに下の句
を付けたぐらいの歌であり、和泉式部にはもっと良い歌があると主張
したんです。
一方で、だいぷ後の時代の話に、鴨長明は『無名抄』のなかでこの
歌を良い歌だと言っています。たとえ決まり文句につられたのであっ
ても、「だけ高く」詠われていて「また景気もあり」と。そういう言
葉を使ってこの歌を評価しています。要するに、決まり文句を使った
から駄目だっていうのではなく、そのときの気持ちの乗せ方がちゃん
とできているから良いのだということではないかと思います。
〈はるかに照らせ山の端の月〉とは、この歌を差し向けられた性空
という偉い僧を月に喩えているのですが、後世から見たらそうした背
景よりも歌そのものの姿を大事に取るのかなという感覚ですね。
西暦で言うとI〇〇〇年前後ですかね、貴族社会の制度が前提にな
っているところに、制度だけでない情念のようなものが噴出している
というイメージですね。
余談ですが、同時代の紫式部はあまり歌は上手ではなくて、和泉式
部や赤染衛門のほうが上手いという通説があります。しかし、『源氏
物語』の中で光源氏とかに詠わせている歌は素晴らしい。自分のこと
だと全部見えてしまって面白くなくて、誰かに仮託して詠うというの
が紫式部の文学的センスに合っていたのかもしれないですね。
平安:貴族社会社会 自然観の確立
その次が平安時代になります。壬申の乱以後、奈良朝は天武系でずっ
と続いていたわけですが、やがて天智系に戻って、大津宮に近い京都
に遷都することになって平安京ができるという流れになります。七一
から七九四年までですのですの
で、奈良時代というのは八十四年間ですね。長岡京の時代が
あるので厳密にはもう少し短いんですが。
平安朝になって、貴族文化の世界になっていきます。
接すると、日本人はどうしてそんな自然と親和性があふて茫洋として
なんとなく生きていられるんだと言われたりします。西洋的な感覚か
らすると。一神教による宗数的な鍛え上げられ方をしていないという
ことが不思議なわけですね。
日本だと、議論をしてもそこそこで「まあ、どっちもいいんじゃな
い」と言ってしまいがちなんですが、そういうことは海外の学会とか
ではないんですね。夜中まで議論してどっちが正しいかやってみよう、
というのが普通なわけです。
つまり、宗教的な超越的な反自然的なそういうものを持ち込まない
文化というのが日本のなかでは重要で、ある種のアニミズム的なもの
に制度を与えたのが貫之の『古今集』というわけなんです。
それは西洋の原理とは大きく異なる文化で、外国から来て日本に長
く滞在し馴染んできた方には、和歌や生け花や茶の湯といったものに
対してある種の敬意を抱いてくださるようになることが多いです。敬
意とは、アニミズム的なものによって高度な文化が作れるのだという
ことに対する数意なんですね。教会や塔を建てるといったこととは違
って、自然を愛する心や多神教といったものによって高度な文化が作
られているということ。そのルーツは何かということを考えると、赤
人の歌や貫之の歌に見られるのではないかと思います。
暗きより暗き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月
『拾遺集』和泉式部
これも有名な歌ですが、この歌が名歌であるかとうかは実は賛否両論
あります。
たとえば、当時の第一線の歌人であった藤原公任は、この歌は駄目
だと言ったんですね。なぜかと言うと、〈暗きより暗き道にりぬべき
〉というのは法華経の中の決まり文句のようなもので、それに下の句
を付けたぐらいの歌であり、和泉式部にはもっと良い歌があると主張
したんです。
一方で、だいぷ後の時代の話に、鴨長明は『無名抄』のなかでこの
歌を良い歌だと言っています。たとえ決まり文句につられたのであっ
ても、「だけ高く」詠われていて「また景気もあり」と。そういう言
葉を使ってこの歌を評価しています。要するに、決まり文句を使った
から駄目だっていうのではなく、そのときの気持ちの乗せ方がちゃん
とできているから良いのだということではないかと思います。
〈はるかに照らせ山の端の月〉とは、この歌を差し向けられた性空
という偉い僧を月に喩えているのですが、後世から見たらそうした背
景よりも歌そのものの姿を大事に取るのかなという感覚ですね。
西暦で言うとI〇〇〇年前後ですかね、貴族社会の制度が前提にな
っているところに、制度だけでない情念のようなものが噴出している
というイメージですね。
余談ですが、同時代の紫式部はあまり歌は上手ではなくて、和泉式
部や赤染衛門のほうが上手いという通説があります。しかし、『源氏
物語』の中で光源氏とかに詠わせている歌は素晴らしい。自分のこと
だと全部見えてしまって面白くなくて、誰かに仮託して詠うというの
が紫式部の文学的センスに合っていたのかもしれないですね。
中世・近世‥武家社会終局的貴族文化
中世になると武家社会の色合いが強くなり、鎌倉に政権が移ります。
それで、追い詰められた貴族社会が歌のコモンズになっていくという、
そういう世界ですね。
見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮れ
『新古今集』藤原定家
これも有名な歌ですね。こういう「見せ消ち」みたいな手法で、旧
来あった和歌の美学みたいなものをあえて否定しなければ我々は生き
られないんだという。
本歌取りもそうですね、塗り重ねて違うことを言うことで否定しつ
つ肯定するというわけです。
中世の後期の南北朝の頃になりますが、京極派という、定家の曽孫
である京極為兼が作った新しい流派が出てきます。
花の上にしばしうつろふ夕づく日 入るともなしに影消えにけり 『風雅集』永福門院
当時は京極派と二条派が対立していました。平明な歌を作る二条派
に対して、京極派は清新で感覚的な描写を大事にしていました。その代
表的な歌人がこの永福門院です。
これは何気ない歌ですけど、上手ですよね。夕陽が差しているとこ
ろに「入るともなしに影消えにけり」と細やかに詠うわけです。
『玉葉集』、『風雅集』という京極派の和歌集は、歴史的にはとて
も冷たい目に合いましたが、それは南北朝時代の政権の在り方とかも
関係があります。
そういうわけで、南北朝時代のコモンズというと、戦乱に明け暮れ
ていた中世を背景に、王朝、天皇家を中心とする貴族の社会でどうい
うふうに詠っていけばいいのかということが重要になってきます。南
朝偏に二条派がいて、北朝側に京極派がいて、政治が色んなことに介
入する時代でしたが、近代になって、釈迢空(枡目信夫)や塚本邦雄
が玉葉・風雅の歌を非常に高く評価しました。特に迢空は絶賛と言っ
ていいくらい肯定的でした。迢空は、派手に激情の動く歌よりも、少
し後ろの暗がりの中で光がちょっと動くようなものが好きだったんじ
ゃないかなと思います。
※ 阪井修一:1958年愛媛県松山市生まれ。「かりん」編集人。現代歌
人協会副理事長。東京大学副学長・附属図書館長・未来ビジEン研究
センター特任教授。歌集に『望楼の春』(迢空賞)、『亀のピカソ』
(小野市詩歌文学賞)など多数。最新歌集は『塗中騒騒』。
それで、追い詰められた貴族社会が歌のコモンズになっていくという、
そういう世界ですね。
見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮れ
『新古今集』藤原定家
これも有名な歌ですね。こういう「見せ消ち」みたいな手法で、旧
来あった和歌の美学みたいなものをあえて否定しなければ我々は生き
られないんだという。
本歌取りもそうですね、塗り重ねて違うことを言うことで否定しつ
つ肯定するというわけです。
中世の後期の南北朝の頃になりますが、京極派という、定家の曽孫
である京極為兼が作った新しい流派が出てきます。
花の上にしばしうつろふ夕づく日 入るともなしに影消えにけり 『風雅集』永福門院
当時は京極派と二条派が対立していました。平明な歌を作る二条派
に対して、京極派は清新で感覚的な描写を大事にしていました。その代
表的な歌人がこの永福門院です。
これは何気ない歌ですけど、上手ですよね。夕陽が差しているとこ
ろに「入るともなしに影消えにけり」と細やかに詠うわけです。
『玉葉集』、『風雅集』という京極派の和歌集は、歴史的にはとて
も冷たい目に合いましたが、それは南北朝時代の政権の在り方とかも
関係があります。
そういうわけで、南北朝時代のコモンズというと、戦乱に明け暮れ
ていた中世を背景に、王朝、天皇家を中心とする貴族の社会でどうい
うふうに詠っていけばいいのかということが重要になってきます。南
朝偏に二条派がいて、北朝側に京極派がいて、政治が色んなことに介
入する時代でしたが、近代になって、釈迢空(枡目信夫)や塚本邦雄
が玉葉・風雅の歌を非常に高く評価しました。特に迢空は絶賛と言っ
ていいくらい肯定的でした。迢空は、派手に激情の動く歌よりも、少
し後ろの暗がりの中で光がちょっと動くようなものが好きだったんじ
ゃないかなと思います。
※ 阪井修一:1958年愛媛県松山市生まれ。「かりん」編集人。現代歌
人協会副理事長。東京大学副学長・附属図書館長・未来ビジEン研究
センター特任教授。歌集に『望楼の春』(迢空賞)、『亀のピカソ』
(小野市詩歌文学賞)など多数。最新歌集は『塗中騒騒』。
近江の旬を五感で味わう(橘菖)
バレートロニクス時代①
❏ 表面処理で二次元半導体の電荷制御
東北大学とNTT物性科学基礎研究所は,二次元半導体から三次元半導
体への電子の移動効率の向上と,二次元半導体の電荷状態を制御する
ことに成功。
【要約】
1.二次元半導体と三次元半導体のヘテロ構造に着目し、三次元半導
体の表面処理が二次元半導体の電荷状態に及ぼす影響を調査。
2.三次元半導体に表面処理を施こし、二次元半導体から三次元半導
体への電子の移動効率と、二次元半導体の電荷状態の制御に成功。
3.超低消費電力の情報演算、光を用いた情報の高速伝送、太陽電池
や光センサなどへの応用できる。
図1.本研究で検証した3種類の表面処理方法の概略図。A: 表面の洗
浄のみを行ったGaAs基板に単層WS2を積層した。B: 表面の洗浄と自然
酸化膜の除去を行ったGaAs基板に単層WS2を積層した。C: 表面の洗浄、
自然酸化膜の除去、表面の硫黄終端を行ったGaAs基板にWS2を積層。
【概要】
バレートロニクス時代①
❏ 表面処理で二次元半導体の電荷制御
東北大学とNTT物性科学基礎研究所は,二次元半導体から三次元半導
体への電子の移動効率の向上と,二次元半導体の電荷状態を制御する
ことに成功。
【要約】
1.二次元半導体と三次元半導体のヘテロ構造に着目し、三次元半導
体の表面処理が二次元半導体の電荷状態に及ぼす影響を調査。
2.三次元半導体に表面処理を施こし、二次元半導体から三次元半導
体への電子の移動効率と、二次元半導体の電荷状態の制御に成功。
3.超低消費電力の情報演算、光を用いた情報の高速伝送、太陽電池
や光センサなどへの応用できる。
図1.本研究で検証した3種類の表面処理方法の概略図。A: 表面の洗
浄のみを行ったGaAs基板に単層WS2を積層した。B: 表面の洗浄と自然
酸化膜の除去を行ったGaAs基板に単層WS2を積層した。C: 表面の洗浄、
自然酸化膜の除去、表面の硫黄終端を行ったGaAs基板にWS2を積層。
【概要】
二次元ファンデルワールス材料を三次元半導体に積層した二次元/三次
元半導体ヘテロ構造は、超低消費電力の情報演算、光を用いた情報の
高速伝送、太陽電池や光センサーなど、人工知能(AI)やモノのイン
ターネット(IoT)を活用した社会を支える基盤材料として期待され
ている。この二次元/三次元半導体ヘテロ構造では、二次元半導体と三
次元半導体の界面における電荷やスピンの移動効率が機器の動作性能
を決定づける非常に重要な要素であると考えられている。東北大学ら
の研究グル-プは、異なる表面処理を施した三次元半導体に二次元半
導体を積層し、二次元半導体の電荷状態を調べた結果、三次元半導体
表面に存在する自然酸化膜の除去と未結合手の終端によって、二次元
半導体から三次元半導体への電子の移動効率の向上と、二次元半導体
の電荷状態の制御すに成功。表面処理だけで界面での電荷の移動効率
や二次元半導体の電荷状態を制御できるという本研究の成果は、二次
元/三次元半導体ヘテロ構造の性能向上のみならず、量子情報技術や
バレートロニクスへの展開できる。
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元半導体ヘテロ構造は、超低消費電力の情報演算、光を用いた情報の
高速伝送、太陽電池や光センサーなど、人工知能(AI)やモノのイン
ターネット(IoT)を活用した社会を支える基盤材料として期待され
ている。この二次元/三次元半導体ヘテロ構造では、二次元半導体と三
次元半導体の界面における電荷やスピンの移動効率が機器の動作性能
を決定づける非常に重要な要素であると考えられている。東北大学ら
の研究グル-プは、異なる表面処理を施した三次元半導体に二次元半
導体を積層し、二次元半導体の電荷状態を調べた結果、三次元半導体
表面に存在する自然酸化膜の除去と未結合手の終端によって、二次元
半導体から三次元半導体への電子の移動効率の向上と、二次元半導体
の電荷状態の制御すに成功。表面処理だけで界面での電荷の移動効率
や二次元半導体の電荷状態を制御できるという本研究の成果は、二次
元/三次元半導体ヘテロ構造の性能向上のみならず、量子情報技術や
バレートロニクスへの展開できる。
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📚 バレートロニクスとは
固体中の電子のバレー自由度を利用して情報処理を行う。物性物理学
および材料科学における新たな技術。谷(バレー)の形をしたエネギ
ーバンドを有する物質にて、スピン状態やエネルギーに対応した運動
量空間での電子の動きを選択的に制御し、性能やエネルギー効率を高
めた新しい電子デバイス分野。
【還啓論文】
・Edwards, B., Dowinton, O., Hall, A.E. et al. Giant valley-Zeeman
coupling in the surface layer of an intercalated transition metal dichalcogenide. ・Nat. Mater. 22, 459–465 (2023).
・ https://doi.org/10.1038/s41563-022-01459-z
および材料科学における新たな技術。谷(バレー)の形をしたエネギ
ーバンドを有する物質にて、スピン状態やエネルギーに対応した運動
量空間での電子の動きを選択的に制御し、性能やエネルギー効率を高
めた新しい電子デバイス分野。
【還啓論文】
・Edwards, B., Dowinton, O., Hall, A.E. et al. Giant valley-Zeeman
coupling in the surface layer of an intercalated transition metal dichalcogenide. ・Nat. Mater. 22, 459–465 (2023).
・ https://doi.org/10.1038/s41563-022-01459-z
❏ ナノ秒紫外レーザーでPVにナノ構造を形成
核融合科学研究所(NIFS)らの研究グループは,ナノ秒紫外レーザー
によりシリコン太陽電池表面に20nm程度の先端を有するナノドット構
造形成した。
【概要】
わたし(たち)が1989年に「ネオコンバーテック」を着想たことがら
ことごとく実現されているなかで、このグループは、現在、シリコン
表面に1~10 mmの大きさをもつピラミッド構造を形成させ、太陽光エ
ネルギーの電気エネルギーへの変換効率高まり(20%)となっている。
核融合科学研究所(NIFS)らの研究グループは,ナノ秒紫外レーザー
によりシリコン太陽電池表面に20nm程度の先端を有するナノドット構
造形成した。
【概要】
わたし(たち)が1989年に「ネオコンバーテック」を着想たことがら
ことごとく実現されているなかで、このグループは、現在、シリコン
表面に1~10 mmの大きさをもつピラミッド構造を形成させ、太陽光エ
ネルギーの電気エネルギーへの変換効率高まり(20%)となっている。
そこで、同研究グル-プは変換効率の向上に、太陽光スペクトルの最
大強度となる500 nm付近の太陽光を吸収させる数100 nm以下の大きさ
のナノ微細構造をピラミッド構造表面を、モスアイ構造・ポーラス構
造・レーザー誘起周期構造(LIPSS)により(シリコン太陽電池表面
上のLIPSSは、他の方法と比較し時間節約や結晶性保持できる利点が
ある)。融解閾値フルエンスが0.5 J/cm2以下のXeClエキシマレーザー
パルスを用いてシリコン太陽電池のピラミッド構造表面にLIPSSを形
成に成功し、反射率減少はLIPSSの間隔と強く関係、LIPSSが形成され
た後もシリコン太陽電池の結晶性を保持されることを報告してきた。
大強度となる500 nm付近の太陽光を吸収させる数100 nm以下の大きさ
のナノ微細構造をピラミッド構造表面を、モスアイ構造・ポーラス構
造・レーザー誘起周期構造(LIPSS)により(シリコン太陽電池表面
上のLIPSSは、他の方法と比較し時間節約や結晶性保持できる利点が
ある)。融解閾値フルエンスが0.5 J/cm2以下のXeClエキシマレーザー
パルスを用いてシリコン太陽電池のピラミッド構造表面にLIPSSを形
成に成功し、反射率減少はLIPSSの間隔と強く関係、LIPSSが形成され
た後もシリコン太陽電池の結晶性を保持されることを報告してきた。
反射率低減には、屈折率が上部から下部まで連続変化する三角形状の
ナノドット構造(微小突起構造)を作製(それまでにナノドット構造
形成に関する研究で、シリコン太陽電池の反射率低減に最適なナノド
ット構造の形状、大きさおよび密度はなかった。
図1 ナノドット構造形成の概略図
ナノドット構造(微小突起構造)を作製(それまでにナノドット構造
形成に関する研究で、シリコン太陽電池の反射率低減に最適なナノド
ット構造の形状、大きさおよび密度はなかった。
図1 ナノドット構造形成の概略図
発振波長248 nm、パルス幅20 nsのKrFエキシマレーザーを用いてシリ
コン太陽電池表面上に図1のような高密度に三角形ナノドット構造形
に成功。シリコン太陽電池の融解閾値0.47 J/cm2以下のレーザーフル
エンスでKrFエキシマレーザーを照射したところ、図1のようにナノド
ット構造は、レーザーがシリコン太陽電池のピラミッド構造表面に対
しS偏光として照射される面(S偏光面)のみに形成されることを発見
コン太陽電池表面上に図1のような高密度に三角形ナノドット構造形
に成功。シリコン太陽電池の融解閾値0.47 J/cm2以下のレーザーフル
エンスでKrFエキシマレーザーを照射したところ、図1のようにナノド
ット構造は、レーザーがシリコン太陽電池のピラミッド構造表面に対
しS偏光として照射される面(S偏光面)のみに形成されることを発見
成されたナノドット構造の大きさは①先端が約20nmである三角形のナ
ノドット構造のサイズは、②レーザーの回折限界よりも小さく、ナノ
ドット構造密度はレーザー波長に関係し、③レーザー波長の2乗に反
比例しており,短波長レーザー照射が高密度化に有効であることを見
出し、④ピラミッド構造の S偏光面のみにナノドット構造形成された
シリコン太陽電池の500nmでの反射率は約5%を達成。⑤顕微ラマン分
光を用いてシリコン太陽電池結晶を評価し,ナノドット構造を形成さ
せることにより表面に圧縮応力が発生していた。⑥また、バンドギャ
ップ評価し,シリコン太陽電池バンドギャップエネルギーがより高く
なることがわかる。
【効果】
これらによりナノドット構造は融解閾値の半分程度の弱いレーザーフ
ルエンスで照射しても形成され,高効率かつ大面積加工できる。
【掲載論文】
タイトル:High-density nanodot structures on silicon solar cell surfaces irradiated
by ultraviolet laser pulses below the melting threshold fluence(紫外レーザー
パルスを融解閾値以下のレーザーフルエンスで照射されたシリコン太
陽電池表面上の高密度ナノドット構造)
ノドット構造のサイズは、②レーザーの回折限界よりも小さく、ナノ
ドット構造密度はレーザー波長に関係し、③レーザー波長の2乗に反
比例しており,短波長レーザー照射が高密度化に有効であることを見
出し、④ピラミッド構造の S偏光面のみにナノドット構造形成された
シリコン太陽電池の500nmでの反射率は約5%を達成。⑤顕微ラマン分
光を用いてシリコン太陽電池結晶を評価し,ナノドット構造を形成さ
せることにより表面に圧縮応力が発生していた。⑥また、バンドギャ
ップ評価し,シリコン太陽電池バンドギャップエネルギーがより高く
なることがわかる。
【効果】
これらによりナノドット構造は融解閾値の半分程度の弱いレーザーフ
ルエンスで照射しても形成され,高効率かつ大面積加工できる。
【掲載論文】
タイトル:High-density nanodot structures on silicon solar cell surfaces irradiated
by ultraviolet laser pulses below the melting threshold fluence(紫外レーザー
パルスを融解閾値以下のレーザーフルエンスで照射されたシリコン太
陽電池表面上の高密度ナノドット構造)
掲載誌:J. Phys. D: Appl. Phys. 57 (2024) 385101 DOI:10.1088/1361-6463/ad58ec