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ぽかぽか春庭「薔薇と蕎麦」

2013-05-18 00:00:01 | エッセイ、コラム

2013/05/18
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十三里半日記2013年5月(2)薔薇と蕎麦

 「薔薇」と「蕎麦」は目にすれば読めるけれど、何度練習しても、あとで書こうとすると「あれ、どう書くんだっけ」と戸惑う漢字の代表です。そらで書ける人、すごい。

 今年もバラの季節になって神代植物園のバラ園に行ってきました。旧古河庭園のバラが、ゴールデンウイークにはもう咲き終わりだったので、どうかなと思いながら、9日に神代植物園に行ったのですが、多摩地域のほうが少し気温が低いらしく、見頃でした。つるバラはまだ咲いていないのもありましたが。

 むろん花見の前には腹ごしらえが先。深大寺周辺の蕎麦屋のうち、今回は「玉㐂」に寄りました。ざるそばと筍てんぷら。筍てんぷらは二人前600円とありました。一人前ってたけのこ二切れくらいだろうから、二人前でもあ食べられるだろうと思って注文しました。するとお皿に山盛りのタケノコが出てきました。
 お会計のとき聞いたら、一人客には注文されれば一人前も出しているのだと。でも、自宅に生えているのを朝とったという「食材費無料」の筍、とってすぐに茹でるから、えぐみもなくて美味しいというお店の人の説明通り、3人前でも食べてしまえそうなくらい、おいしかったです。

 以前に、以下のようなバラ蘊蓄を書きました。
 日本には野生種のバラが古来より咲いていて、古名はイバラ、ウマラでした。万葉集には二首の歌があります。(拙訳:春庭)
からたちと茨刈り除け倉建てむ屎遠くまれ櫛造る刀自:忌部首(3832)
(カラタチとイバラを刈り取ってそこに倉を建てるから、木で櫛を作っている女の方々よ、イバラに刺されないよう、遠くへ行って用を足しなさいよ)
道の辺の茨(うまら)の末(うれ)に延(は)ほ豆のからまる君を別(はか)れか行かむ:丈部鳥(4352)
(道の辺のイバラの枝先に絡まる豆のつるのように、遠く去っていくわたしに絡まりついて離れない愛しいおまえと、今や別れて行かなければならない)

 また、『常陸国風土記』の茨城郡条には、地名起源伝説にイバラが出てきます。
昔国巣(くず)、俗(くにひと)の語(ことば)に都(つ)知久母(ちくも)、又夜(や)都(つ)賀波岐(かはぎ)と云ふ。山の佐(さ)伯(へき)、野の佐伯在りき。普(あまね)く土窟(つちむろ)を堀置きて、常に穴に居(す)み、人の来る有れば、則(すなは)ち窟(むろ)に入りて竄(かく)り、その人去れば更(また)郊(の)に出でて遊ぶ(中略)
 此の時、大臣(おほのおみ)の族(やから)・黒坂(くろさか)命(のみこと)、出で遊べる時を伺候(うかが)ひて、茨蕀(うばら)を穴の内に施(い)れ、即ち騎(うまのり)の兵(つはもの)を縦(はな)ちて、急(にはか)に遂(お)ひ迫(せ)めしめき。佐(さ)伯(へき)等(ども)、常の如く土窟(つちむろ)に走り帰り、尽(ことごと)に茨蕀に繫(かか)りて衝き害疾(そこな)はれ死に散(あら)けき。故(かれ)、茨蕀を取りて、県(あがた)の名に着(つ)けきといひき。」


「穴に住み人をおびやかす土賊の佐伯を滅ぼすために、イバラを穴に仕掛け、追い込んでイバラに身をかけさせた」とある。佐伯氏はエミシ(蝦夷)系の人と言われています。勇猛をもって知られたエミシを撃つのに、イバラを住処の穴蔵にいれておいてやっつけた、という記述、にわかには信じがたい。『続日本紀』にその名がみえるアテルイらが何度もみやこの軍勢を破っていることを考えても、エミシが穴に敷かれたイバラに引っかかって死ぬとは思われないのです。
 でも、風土記が書かれたころにはイバラゆえに佐伯氏が滅んだ、という伝説が出来上がっていたのでしょう。

 神代植物園のバラ園に入ってまずしたことは、バラソフトクリームを食べること。250円。食べながら、「バラ原種コーナー」を見ました。例年バラ園の園芸種が見頃のころには、原種のバラはもう散っていることが多かったです。今年は、原種コーナーがきれいに咲いていました。ハマナスやノイバラなどの日本の野生種は、ヨーロッパ園芸種の元になった原種です。

原種コーナーのバラ
サンショウバラ

ナニワイバラ

中国の原種 黄モッコウバラ


 9日は、東京の気温27度という夏日。一枚二枚と脱いでいき、チュニックシャツ一枚になってバラの間を歩きました。「香りのバラコーナー」で、バラアイスの香料は「リンカーン」という種類のバラの香りと同じだと思いました。ソフトアイスに天然のバラエッセンスを使っているんじゃなくて、合成の香りでしょうけれど。

 もう盛りは過ぎてしまった藤棚の下でしばし休憩。閉園時間の5時までのんびりしていました。大きな一眼レフカメラを下げている人、イーゼルにキャンバスを載せてスケッチしている人、恋人をバラの前に立たせてケータイで撮影している人、みなそれぞれの楽しみ方をしています。私は毎年少しはバラの名前と花を一致させて覚えたいと思うのに、毎年「あらら、この花はこういう名前なんだ」と、思います。

マリアカラス  

チャールストン

 車椅子を押していっしょにバラを楽しんでいる人々を見ていて、九州の青い鳥さんが車椅子で藤を見に行ったと大喜びしているブログを思い出しました。そういえば、この神代植物園も車椅子には不自由な作りです。足下のおぼつかない高齢者や車椅子の人にも楽しめるようにバリアフリーにしてほしいと思いました。私も、年取ってからだってバラを楽しみたい。

薔薇の香りを楽しむ


 バス代、深大寺蕎麦、神代植物園入園料、バラソフトクリームなどなどで、5月9日の行楽費は、合計2600円ほど。半額の1300円を貯金。金額がまとまったら、東銀座のいわて銀河プラザで買い物します。
「まめぶ汁」なんぞがジェジェジェブームで大人気みたいです。私はうに海宝漬や生わかめを買いたい。買うことで、復興のお手伝い。
 
 給与の税金天引き欄を見たら、復興税というのがさっ引かれていました。この復興税は、九州の林道整備などに使われちゃったみたいです。「復興地への木材安定供給に役立つ」という名目がついて、復興に寄与するってことになったみたい。頭にきます。ちゃんと岩手や福島、宮城の人にとどく税であってほしい。

<つづく>
コメント (6)
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