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ぽかぽか春庭「エミール・ガレ展 in 松濤美術館」

2024-06-06 00:00:01 | エッセイ、コラム


20240606
ぽかぽか春庭アート散歩>2024ア―ト散歩5月(1)エミール・ガレ展 in 松濤美術館

 あちこちでガラス芸術にふれることを楽しんできましたが、今回は渋谷区立松涛美術館でエミール・ガレ展を観覧しました。点数は120点ほどで、それほど多くはなかったですが、今回の特徴は個人所蔵の作品が多かったということ。
 相手美術館とのつながりとか館長はじめ職員の個人的な人脈などで交渉次第で、ひとつの美術館の所蔵品をまとめて借りてくることは、あちこちの美術展でありました。が、個人所蔵品は、オークションなどでの販売実績などを調べるのかわかりませんが、所有者との交渉はけっこうたいへんなんじゃないかと、娘と話しました。


 一点物の絵画はオークションなどで有名画家の作品になるととてつもない値段がつきます。なんでも鑑定団の鑑定を面白がってみていますが、だいたい先祖が残した日本画家の掛け軸とかネットオークションで落札した絵画には偽物が多くて、所有者のがっかりした顔を見るのが面白い。

 ガレ作品を所蔵している人、お金持ちなんだろうなと思いますが、ガレという署名が入っている作品でも、絵画のようなバカ高い値段にはならない。これは、作品が一点物ではない場合があるからです。ガレは企業家としてガラスや陶器の工房を経営しており、ガレの署名入りで「ガレ工房大量生産品」として、大衆的な品として販売しました。ガレがたったひとりで最初から最後まで作り上げた、という作品ではなく、あくまでもガレという署名が入った工房作品なのだ、ということ、今回図録を読んで知りました。と言っても一点は10万円から100万円ですから、私には買えませんが。
 6月4日放映のお宝鑑定団ではガレとドーム兄弟のガラス製品が鑑定に出されました。3月31日に小樽西洋美術館でガレやドーム兄弟のガラスを見て、5月31日にガレ展を見たばかりですから、あ、これは本物かも、と直感。鑑定では10点のガレとドーム兄弟で1130万円という値段。値段で鑑賞する貧乏人ですから、おお、すごい!と羨望。

 チケットを自前で買ったときは図録買わない自分ルールですが、今回の展示は個人コレクションが多いので、この次に同じ展示をするのは難しいかも、と思い、2200円を奮発。松涛美術館の次は静岡美術館でへ巡回するそうですが、東京で同じコレクションが展示されるかどうかわかりませんので、娘と二人で見るならいいか、と購入。

 図録、カラー写真もきれいですし、ガラス製品制作のさまざまな技法解説のページや、研究者の論文も読みごたえがありました。日本人はなぜガレが好きなのか、という展示を担当した学芸員の論文もおもしろかった。印象派やアールヌーボーのアーティストはジャポニズムを取り入れているから、と漠然と思っていましたが、それだけじゃないみたい。ガレは表面的なジャポニズムだけじゃなく、輪廻転生とか深い精神的な内容まで表現しようとしていて、日本人の琴線に触れるのだ、というような解説でした。へぇ!

 1階ロビーの猫の置物は撮影自由。
猫型置物1865-1890
 

第1章 奇想のデザインを世に問う気鋭の工芸作家出現
・歴史主義 古典ギリシャローマ、ロココ様式

 ゴブレット(霊獣)1880年代     花器(ニンフ)1880-1886頃
 

・異国趣味 ジャポニズム、オリエンタル模様 
 1878年パリ万博で「月光色」とガレが名付けたガラス器が大人気に。これまでアートの世界には無縁だった昆虫が表現されています。北斎漫画などに出ているカエルや昆虫がそのままガラス器にうつされています。

 花器セミ1882(月光ガラス)      食器皿フロラル(コスモス)1881         
   
1870-1878頃香炉ヘラクレスオオカブト  植込鉢エジプト風1880-1884頃    
 

大杯(貝に跨るカエル、コイ)1883頃     花器セミ1884
  

第2章 深化を遂げる思索の造形
 ガレの工房ではガラス製品、陶器のほか、木製家具も制作しました。
 飾り棚エリンギウム1896-1898    花器(キク)1900頃   
  
酒瓶とグラス(ジュ二パー)1900 
          花器(ネコヤナギ)1890代と蓋物(ラン)1890-1894
    
  花器(トンボ、ススキ)1900頃  花器(ケシ、セミ)1890頃   
 


第3章 花開くアールヌーボー様式

花器(バラ)1901頃        脚付杯(バラ)1901-1904頃
    
 花器(ソテツ)1900-1904頃  
花器(アサガオ)1900-1904    花器(クジャクヤママユ)1900頃   
 
花器(プラタナス)1890      煙草入れ(トンボ、ブルーベル)1884)  
  

花器(オダマキ)1898-1900    ランプ(ジャンヌダルク)1903   
         
ランプ     
  
              花器(貝がら)1885-1889頃
              
  
  
花器’(ラン)1897頃と花器(セミ)1889-1905
      花器(湖水風景図)1878-1889 花器(チョウ、草花1878-1880)
 
蓋付瓶(アーモンド)1900-1904    台付花器(オモダカ)1890-1900頃  
                
         
 花器(ユリの実スズメ)1898-1900頃 
   
 花器(サイネリア)1890-1894頃      脚付杯(トンボ1890-1900)
 

  花器(ケシ、セミ)1890頃    香水瓶1878頃  
 
 
 
 建築ツアーの前と後ろに時間をとってゆっくり館内を回りました。「渋谷区民は無料」という措置、うらやまし。「目黒美術館は区民1割引き」というケチくさいこと言わずに、無料にしてほしい。2200円の図録を高いと感じる、私の貧乏がいけないのだけれど。


 おまけ。何でも鑑定団のガレ作品最高値350万円。


<つづく>
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