
松涛美術館設計段階での模型
20240608
ぽかぽか春庭アート散歩>2024建築散歩(1)白井晟一の松涛美術館
2022年に松涛美術館で開催された白井誠一展で、白井の設計図や模型で、建築業績の全貌を見ることができました。白井の作品は取り壊されてしまったものが多く、現在見学可能な作品は数少ない。松涛美術館は都内で見学可能な渋谷区立の施設です。元土木事務所跡地に建てられ、1981年に開館しました。
松涛美術館は、特別展でもぐるっとパスで入館できるので、ぐるっとパス使用可能期間内に一度は来館してきました。しかし、水曜日に出かけることが多かったので、毎週金曜日に実施されている館内ガイドツアーに参加したことはありませんでした。娘は、金曜日の夜間開館に美術館巡りをすることが多く、今回建築ガイドツアーにも参加を決めました。それで私もいっしょに金曜日に建築ツアーに参加。
エントランス前から解説スタート。白井晟一の紹介。渋谷区の施設だったところを利用して計画されたが、白井の建築は予想以上に高級品が必要で、当初の予算を上回った、ということを説明してくれました。エントランスの外壁の石は、白井の希望で韓国産の石が指名され白井は名もなかった石に紅雲石という名を与えました。学芸員さんは、白井が設計したもうひとつの美術館である静岡市立芹沢銈介美術館 の外壁も紅雲石が使われていることを教えてくれました。いつか、行ってみたいです。壁の右側には、「泉」が。今は出していないけれど、水はちゃんと出るんだとか。


エントランスの天井も白井のデザイン。これまで天井に目を向けたことなかった。展示室や館長室のドアなどには現在では入手困難なブラジリアンローズウッドを使用するなど、随所に高級建材が使われ、渋谷区の当初予算は大幅にUP。

建物ガイドツアーが始まって以来という多くの参加者だったために、人数を半分ずつ分けて、見学。私と娘の組は、最初に地下2階を見学しました。地下ホールでは、椅子を並べて講演会を行ったり、グループごとに机についてワークショップを実施したりする。講演会用にスライドを映すスクリーンとともにチョークを使う黒板が壁に設置されていたことは45年前の時代を表している、と説明がありました。私が勤務した私立大学のひとつも、2018年に私がやめるまで黒板使用を続けていました。ホワイトボードを設置し直さないうちに、パソコンスライドをスクリーンに映せばいいことになって、黒板はそのまま残されました。
1階と展示スペースで天井の梁のように見えるのは梁ではなく、空調ダクトを隠すための木目調の梁もどき。窓も白井のこだわりの魚鱗形の窓枠。地下2階から屋上まで吹き抜け、中庭の噴水が「癒し空間」になっています。



開館からしばらくは、2階にはサロンミューゼという喫茶店があり、飲み物を飲みながら展示を楽しむことができた、という説明がありました。私が最初に松涛美術館を訪れたころには閉鎖されていました。
噴水上の渡り廊下。以前、オープンしていたときに渉ってみたことがありましたが、この日はクローズ。

階段も白井のこだわりのらせん階段

最後は普段非公開の館長室もドアからひとりずつ、部屋には入らず覗くことができました。館長室の写真は不可。
40分間の建築ガイドツアー、楽しかったです。

<おわり>