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ぽかぽか春庭「志村ふくみ100歳記念展 in 大倉集館」

2025-02-16 00:00:01 | エッセイ、コラム


20250216
ぽかぽか春庭アート散歩>2025アート散歩春よこい(2)志村ふくみ100歳記念展 in 大倉集古館

 1月16日、「志村ふくみ 100 歳記念 ―《秋霞》から《野の果て》まで― 」を観覧。
 初めて志村ふくみの染めを見たのは、竹橋の旧近衛師団司令部庁舎が近代工芸館として利用されていたときだったと思います。「一生に一度は志村ふくみの染めた着物を着る機会がありますように」と願い続けて、ン十年。高貴幸齢者になっても、当然そんなチャンスはありませんでした。だいたい娘の七歳七五三祝いで訪問着を妹に借りて着て神社へのお参りに行って以後、浴衣以外に着ていない。でも、着物を見るのは大好き。糸と針の仕事は、糸を紬ぐのも染色も刺繍もみんな好き。 

大倉集古館の口上
 染織家・志村ふくみ(1924~)の 100 歳記念回顧展である本展は、紬織りを独自の感性と想像力で、芸術性の高 い作品として発展させた人間国宝・志村ふくみの芸術思想と、自然にある無数の色を抽出して糸を染め織ると いう、人と自然が共生する営みに一生を捧げる仕事を紹介します。ふくみが染織の道に入るきっかけとなった 《秋霞》、100 歳を目前にして若き日を回想した《野の果てⅡ》、次世代へのメッセージを託した石牟礼道子原 作の新作能「沖宮 おきみや 」の衣裳などを展示し、彼女の足跡を辿ります。 あわせて、ふくみを染織の道に導いた母・小野豊(おのとよ 1895-1984)と民藝精神や、ふくみの芸術精神を育 んだ夭折の画家である兄・小野元衞 お の もと え (1919-47)にも焦点を当てます。 31 歳で染織の世界に入り、ものづくりに対する独自の芸術理念を貫きながら 70 年にわたって創りあげてきた ふくみの作品の展観を通じて、多くの人々に感動を与え、その精神が後世に引き継がれてゆく契機となれば幸 いです。

 地下1階の映像には、娘の洋子さんといっしょに歩いて、草木染の染料になる葉や枝を集める姿も映されていました。「自然の中から色をいただく」という志村ふくみさんは、お母さんの生き方から学び、草木から抽出した色で絹糸を染め、機にかけた縦糸に横糸を通し、布が出来上がっていく。大倉集古館のガラスの中に縫いあがった着物が展示されていて、美しい染めであったけれど、着物はやはり手にとり袖を通してこそ、本当の美しさがわかるのだろうと想像する。一枚でもいいから、ガラスを通さないで見たかったけれど、それは別の機会に。

 志村ふくみの母、小野豊(1895-1984)の作品「吉隠」1960頃


 染色家として、志村さんはその心をエッセイにしたため、読者は一色ひと色に込められた心を文字にして味わうことができます。私も何冊かもっていますけれど、文字がすとんと心に染まるには、やはりその着物をまとった人の心がいちばん身にしみるのだろうと感じます。

 志村ふくみ「野の果てⅡ」2023     「風露」2000

  

 石牟礼道子との共同作品『沖宮』がすばらしかった。石牟礼が能の作品を書き上げ、志村ふくみが能衣装を監修したというのはテレビで見たことがあるけれど、数分の画面で流されただけだったので、どのような衣装だったのかじっくり見ることなどできなかった。会期終了3日前のぎりぎりで観覧したので、見ることができたのは後期展示だけでしたが、小袖や舞衣(都機工房制作志村ふくみ監修)を見ることができました。
 「沖宮」は、石牟礼道子の最後の作品です。上演される機会があれば見に行きたいですが、映像でもいいから見たい。

 会期終了直前の駆け込み観覧でしたが、間に合って見ることができてよかった。すてきな着物を着こなしているマダ~ムもいる中、いつものジーンズ&パーカースタイルで気はひけたけれど、襤褸は着てても心は錦。

<つづく>
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