天気 曇一時雨
暗い曇天の一日。同じ12月5日の、4年前の写真があった。以前住んでいたマンションの階段途中から撮ったらしい、満天星(どうだん)躑躅の紅葉だ。出入口に植えてあり、春先は花を楽しませてくれ、晩秋には紅葉が綺麗だった。
父の生涯で唯一の句集の名が「どうだんの花」だった。
どうだんは花の盛りを高ぶらず
という句からとったもの。満天星の小さな白い花は鈴蘭のように俯いて咲く。どんなに咲き満ちても、華やかに自己主張はしない花だ。私は父が亡くなってから俳句を始め、句集を読み返し、この句を良い句、と思えるようになった。ただ、父自らを詠んだものとは到底思えない。父親の外での評判は知らないが、家では「たかぶらぬ」どころか「たかぶる」に「高慢」という意味があるなら少々当てはまる父親だった。人生の大事な場面で父と衝突しなかった子供は居ない。無論、末っ子の私も。
父のことはさておき・・また、部屋で転倒して軽い負傷をした人が出た。元々さして足の悪い人ではなく、外出の時は杖をついているけれど普段はなくてもいいような人。なのに二日前の昼食後、自室で転倒し腰が痛くて動けなくなった。無論、緊急呼び出しのボタンはあるが、それはベッドサイドだから、起き上がらねば届かない。痛くて起き上がれず、介護士さんがおやつを持ってくるまで2時間、床に倒れたままになっていたそうだ。骨折でもしていたら動かない方がいい、とも判断したようだ。
介護施設でも、呼び鈴押せなかったらどうにもならない。介護士が来るまで待つしか・・。夕食時間に食堂へ行かなければ呼びに来てくれる。
トイレにも同じ装置はあるけれど、いずれにせよ、そこまで行かねばならない。呼び鈴押せなかったら・・あんまり考えたことがなかった。スマホも、常に身につけている訳ではないし。
結局、介護士さんが救急車を呼ぶ騒ぎになったが、骨折もなく打撲だけで済んだそうだ。今日は自分の足で食事に来ていたし・・良かった、良かった。車椅子の人が増えたら、介護士も大変。周りも迷惑。って、認知症だけではなく車椅子も明日は我が身、と思っていなくては。
とにかく、転倒注意。
枯れ薄原白髪の父が来る KUMI