晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨池をめぐる

2006-08-17 | 旅行記

 2006.8.15(火)◎   
 6:30 起床
           合宿を見物、休養

 キャファの合宿は八ヶ岳の涼しい気候の中、11日から17日まで行われている。この日はランとバイク、インターバルの効く良いコースだ。私はのんびり森の中を散歩したりジョギングしたり、休養に徹する。Img_0266

こんなところでランの練習

 走行 無し  費用 無し

 2006.8.16(水)◎
 6:30 起床
10:00 雨池~白駒池コース
16:20 閑人舎着

 雨池は八ヶ岳でも一番行ってみたいところ。やれ岩だ氷だと八ヶ岳に通っていた頃に山口耀久氏の「北八ツ彷徨」という本に出合った。その文章はすばらしい感性で書き上げられており、特に氏が先鋭なクライマーであったこともあり私は虜になってしまった。これほど何度も読んだ本も他にない。北八ツ、特に雨池は私の心に宝物のように保存されていた。今回雨池に会える、何か初恋のひとに会うようなわくわくした気持ちが盛り上がる。
 あいにく朝から天気が悪く、ガスが濃くかかっている。ころあいを見て八千穂自然園の林道から登りはじめる。最初聞こえていた車やバイクの騒音が聞こえなくなり、ジャリジャリという自分の靴音と鳥の声だけになってきた。
 1時間弱で八柱山登山道に到着、登る予定をしていたがガスで展望もよろしくないと勝手に判断し、林道を行く。唐松、トウヒ、コメツガ、シラビソどれがどれかよくわからないのだが、植生が順に変わってゆく。相変わらず自分の靴音と鳥の声だけが聞こえ、それ以外はシンと静まりかえっている。あれほど嫌った人工の気配が今度は恋しくなるのである。1時間あまりで麦草峠への分岐に出、昼食をとる。
 やがてがやがやと声がして自転車の連中が降りてきた。林道を下るというが、ほとんど乗れるところはないよと忠告、残念そうな顔をして下っていった。雨池への分岐まで登山者やカメラを担いだ人にあう。やっぱり夏なんだ。
 雨池への道は苔むした原生林で期待通りの景色なんだが、道は板で作られた通路となっており、興ざめも甚だしい。登山者の増加により、植生や地面の保護が必要となったためだろう。だけど私はマンションの廊下を歩いているような気分となった。
 突然視界が開け、雨池が現れた。初恋の人は待っていてくれた。だがすぐにガスが現れあっという間に池を包んでしまった。こんなに恥ずかしがり屋さんだったのか、周回をあきらめ振り返りつつもと来た道を行く。雨が激しくなり合羽を着る。雨の雨池か、まあいいか。Img_0275 Img_0272
 雨池着いたとたんにガスが出始めた。 Img_0273_2

Img_0274_1

麦草峠への道は先ほどの板道もあったが、北八ツ彷徨そのものといえる道だ。ここでは誰も来ないことを祈った。道標や木の種類を書いた看板などが少ないことがうれしい。苔むした倒木は悠久の時を語っている。十分に堪能したところで人や車の雑音が聞こえてきて麦草峠となった。Img_0276_1 これで逍遙は終わり、白駒池は自動車道を避けるために行っただけでさっさと通過する。剣が峰あたりでガスが濃くなり、森の中は真っ暗になった。「ガス切れろ」「ガス晴れろ」と声を出しながら、飛び降りていく。声出してないと怖くてしょうがないのだ。やがてスキー場、ペンション村が見えてきた。

走行 0Km 累計 796Km  費用15,400円

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おはらの風の盆

2006-08-17 | 旅行記

2006.8.14(月)◎   
 5:00 起床
 5:45 木曽福島発~権兵衛峠~南箕輪村~杖突峠~
13:30 茅野着
18:00 八千穂村閑人舎着

 木曽は山の中、永い夜が明けた。さっさとテントをたたみ、荷を整理する。昨日寝たところが夜明けとともにはっきりしてくる。小学校の記念碑の前であったようだ。Img_0238_1

 出発しようとしていると近所のおばさんがやってきた。あいさつをすると、やたらしゃべりだし、身の上話まで聞かされて出発が遅れる。昨晩の花火大会は上松の大会だった。R19を少し行くと道の駅があった。ここまで来れば良かったと思うが、昨日の私にはわからない。腹減ってるが店は開いていない。コンビニでおにぎりを買って一息つく。しばらくで木曽義仲挙兵の八幡宮というのがある。この山奥でよくぞ挙兵出来たのかと感心する。きれいなトイレが印象的だ。Img_0244_1
Img_0241  

トイレの姫と殿のマークがかわいい。社殿横の大ケヤキは写真に入らない。

 R19を分かれR361にはいる。権兵衛峠にさしかかるところが大きく山崩れし、一方通行となっている。やがて姥神トンネル1826mというやたら長いトンネルを通過、少し登っており、永久にトンネルを通っている感じがする。続いて番所トンネル828m、先ほどの半分以下なので驚かない。この二つのトンネルを総称して権兵衛トンネルというのかななどと脳天気に思っていた私に、悲惨な光景が現れた、真の権兵衛トンネル4,470mである。あの姥神トンネルの倍以上の距離である。腹をくくって、昼食休憩をとる。トンネルの手前は広場になっており、ご丁寧にトンネルの説明がしてある。峠はトンネルの4分の1ぐらいのところで、あとは下りとなっている。これだけが唯一の救いだ。旧峠はしっかり山を越えており、トンネルと高度にして500m高い。もちろんトンネルを選択し永い恐怖と戦う。トンネルをぬけると、なにか宇宙から生還したような気持ちとなった。下りはいつものように快適であっという間に南箕輪に到着、高遠への街道となる。Img_0253
Img_0252

権兵衛トンネルとその能書きの看板

 高遠は是非寄ってみたい町で、宿が取れれば泊まろうと思っていたのだが、相変わらずのお盆のにぎわいで通りすぎることとする。

 長い杖突街道をじりじり登る、やがて杖突峠の登りとなるが、ここでトラブルが起こった。昨日一昨日とかなり無理をしたためか、左の膝上の筋肉が痛み出したのである。ついには踏むことが出来なくなり、引き足だけで登る。峠の最後の2Kmは歩いてしまった。杖突峠は高速道路が開通していないとき八ヶ岳によく通った峠である。峠にはゴルフ場がある、その当時は気づかなかったのだが、、、Img_0263_1
 下りは八ヶ岳や茅野の町の景色が最高、写真にとってもその美しさ、雄大さが表せないので私の心の乾板に刻みつける。
 八千穂で合宿中のキャファの辻本さんに電話する。最初から車で迎えに来てもらう予定だったのだ。この足では麦草峠は越されない。299号線のラーメン屋でビールとラーメンで一人で乾杯、この3日間よく頑張った。お盆の期間を越中から飛騨そして信州へと風のように走った。「おはらの風の盆」と名付けよう。ちなみに「おわらの風の盆」は9月1日から3日間。

★峠列伝(12)2006年8月14日 権兵衛峠 国道361号線 長野県
 困難度 3  景観 4  水場 有り  歩道 無し  その他 トンネル主体の峠で旧道(本物の権兵衛峠は一級品)

    ★峠列伝(13)2006年8月14日 杖突峠 国道152号線 長野県
 困難度 3  景観 5  水場 有り  歩道 無し  その他 高遠側はダラダラ登り、茅野側は急登、景色は絶品

走行 79Km 累計 796Km  費用3,501円

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野宿

2006-08-17 | 旅行記

2006.8.13(日)◎     日中28度
 6:30 起床
 8:00 飛騨古川発~高山~木曾街道~美女峠~長峰峠~開田高原~
19:00 木曽福島到着

 ライダーは私たち自転車で旅している者をチャリダーと言う。すっかり定着している言葉のようであるが、私はチャリンコというのもチャリダーというのも何か馬鹿にされているようで嫌である。皆さんはいかがなもんですか。Img_0224

古川のYH、よく呑んだ相生のライダー君

 今日のコースも昨日同様登り道とトンネルと車の多さに悩まされるコースだ。だいたいこのコースを選んだのは親不知のトンネルが嫌だから迂回したものであるが、いっそ親不知を通過した方が楽だったのではないか。特にお盆の車の多さには辟易する、食堂や名所などは人だかりで寄る気もしない、ここ三日間は走りに専念しようと決める。
 古川の町は落ち着いた宿場町でゆっくり歩いてみたいところもあるのだが先ほどの理由で先を急ぐ。Img_0226
古川の公衆便所「ふるかわや」 

高山も同様に人と車の大混雑で、残念ながら県道を東に迂回し、R361に入る。すぐに美女峠の登りとなり、名前に反し急で狭い最悪の登りだ。他府県ナンバーの乗用車がひっきりなしでもううんざり。あまりに急で歩きが続く、やっとこさの思いで貧相な峠を越えると、そこは別天地、レストハウスや公園が完備し、池にはボートが浮かんでいる。ばかばかしくて写真も撮らないで先を急ぐ。美女峠の下りは一瞬、その後ダム沿いの登りとトンネルが嫌というほど続く。大学のサイクリング部の連中と抜きつ抜かれつして登って行く、聞くと野麦峠を越えるとか。塩沢温泉に食堂があったので2度目の昼食をとる。すごい定食で腹一杯になる。宿泊も出来るのだがまだ二時半だ、頑張って日和田ロッジのキャンプ場まで行こう。
 野麦峠の分岐に出る。日本の軽工業の発展を支えた女工たちは古川に集められ、徒歩で野麦街道を越え、諏訪まで行ったという。何日かかったのか知らないが、男でも難渋する山道を、不安を抱いたまま歩いたのだろう。そして待っているのは低賃金と長時間労働、体を壊しまたしても野麦峠を越えて帰郷するという哀しい話である。今日の日本の繁栄が彼女たちの犠牲の上にあることを理解しなければならないだろう。Img_0231

左が野麦峠への道、遙かな山並みを越えることとなる。

 長峰峠に近づいたときキャンプ場3Kmの看板がある、まてよ3Kmなら峠を越えた方が早いだろう、越えれば開田高原で宿もしっかりあるぞと峠越えを選ぶ。開田高原への下りは最高に気持ちよい道路だ。さっそく大きそうな民宿を訪ねる。
「今日は満室なんですよ」「まあいいか、そのうち見つかるだろう」ところが行けども行けども満室で断られる。案内所で聞いても一件も明いていない。開田高原のキャンプ場はもうかなり登り直さなくてはいけない。木曽福島までには宿も見つかるだろうし、最悪木曽福島ではなんとかなるだろう。距離は27Kmと書いてあるがどうせ下りだろう、と甘く考えていた。途中の民宿もすべて断られ、道も九蔵峠というのがあり、木曽福島には薄暗くなって到着した。宿もいっぱいの様子で、期待していたビジネスホテルなど見あたらない。急に心細くなり、野宿を決める。とぼとぼ国道を歩き周りを見渡す。すっかり暗くなり泣きたい気持ち。町はずれの学校に相撲場がある、ここが最適と思って学校の人を探すが、夏休みのため誰もいない。学校に無断で入るのはまずいと思い、校門を出たところに格好の空き地がある、もう足は動かない116Km11時間も漕ぎ続けているのだ。
 テントを張ってシュラフにもぐる。2度の昼食のせいでおなかは大丈夫、水とビスケット2枚食べ眠る。南の方角に花火が上がり、ドーンドーンと聞こえてくる。お盆の花火大会だ。でもこちらは風呂にも入れず情けないやら、哀しいやら。

  ★峠列伝(10)2006年8月13日 美女峠 国道361号線 岐阜県
 困難度 4  景観 3  水場 有り  歩道 無し  その他 道路幅狭く、急登

    ★峠列伝(11)2006年8月13日 長峰峠 国道361号線 岐阜県
 困難度 4  景観 4  水場 有り  歩道 無し  その他 ダム沿い、トンネ ル多し、急登ではないがとにかく長いImg_0233

走行 116Km 累計 718Km  費用1,854円

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恐怖の国道41号線

2006-08-17 | 旅行記

 2006.8.12(土)◎●     日中28度
 6:00 起床
 7:25 富山発~庵谷(ロスタイム1時間)~茂住夕立で1時間雨宿り~神原峠~
16:10 飛騨古川YH到着

 ブログの投稿や旅の情報を得るためにパソコンを持ち歩いているが、問題はどこでインターネットを接続するかである。ここまで接続できたのは、越前市図書館、KKR金沢ホテル、そして昨日の宿KKR銀嶺荘なのだ。フレッツスポットを契約しているのだが使用したのは銀嶺荘が初めてで、実は宿の方でも使用したのは私が最初だそうだ。越前市の図書館でも初めての使用者ということであったが接続ができなかった。最近はあらゆる宿で接続できるようになっているが、接続先の検索では現れない。結構使えるものだ。
 さて今日はR41の難所を越えなければならない、宿に頼んで早めの朝食を摂らせてもらう。銀嶺荘は本当にいろんな意味でお世話になった。Img_0205

富山駅周辺はきれいに開発されて、レトロなものは少ないが、この居酒屋さんの古看板には感激した。

早朝の富山は車も少なく、のんびり景色を楽しみながら進む、立山連峰の姿を見たかったがかすんで見えない、今日登っていく南方の山が遙かに見える。道沿いにはます寿司の店が点在し、もう開店している。あわてて昨日のうちに買う必要は無かったのだ。駅で販売している源の工場も見えてきた。観光客が見学するホールのようなところもあり、やたらでかい。
 山が近づいてくると道も狭くなり、車も増えてくる。もうお盆休みの佳境に入っているのだ。他府県ナンバーの車も増え、その間に仕事を続けている大型トラックもかなり多い。山の間を国道と神通川とJRが並んで走るようになるともうだめ、自転車が安全に走れる余地など全く無い。その上トンネルと雪のシェイドが連続する。もう勘弁、ということで庵谷で川向こうの道へ逃げることとする。恐ろしく高いダムの橋を渡り坂を登ると通行止めの看板、やむなく迂回路を登っていくが、すごい坂道、人の通行の様子もなく不安になる。今日の天気予報は午前中雷雨というもので、空が真っ暗になってきた。山の夕立は半端じゃない、ここで孤立でもしてしまったら、、、などと不安になってくる。車怖いけど国道に戻ろう、村から下った道を登り返す。そこでチエントラブル前がトップで後ろがロウになるとチエンが張ってしまってどうにもならなくなる。その状態にならないようにすればよいのだが、焦っているとき必ず起こる。サイドバッグをすべておろし、後輪をはずす、手は油で真っ黒だ。Img_0209_1
迂回しようとしたダムImg_0211
霊験あらたかな水場Img_0213
お寺で雨宿り、雨も雷も半端じゃない

 約一時間のタイムロスで国道に戻る。途中おいしそうな水場がある、ボトルを満タンにし、暗雲の下を行く、いつ降ってもおかしくない。茂住というところでポツポツと来たと思ったら一気に雨と雷の応酬だ。右手にお寺の山門があり、飛び込むが雷が怖い、お堂に飛び込みやっと落ち着く。ゆっくります寿司をほおばる、ただ雷と雨は尋常じゃない、2,3発は近所に落ちているだろう。一時間で再出発、相変わらずトンネル、シェード、大型トラックにおびえながらよろよろ進む、足下は千尋の谷だ。

Img_0216

延々と続くスノウシェイドImg_0218

足下は千尋の谷Img_0219


神岡は鉱山の町、最近はカミオカンデで有名。段々山容が優しくなり、気持ちは和むがだらだらの登りは永遠に続くみたい、R41を離れ神原峠に向かう。これもだらだらと登るが景色はなかなか良い、道の周辺がきれいなのだ。峠の頂上付近に公園があり、峠のうんちくが書いてある。Img_0220 峠を越えるとすばらしい下り坂、杉崎に一気に着いた。ここでYHに電話する。場所聞いてがっくり、R41を行った方が近かったのだ。でもきれいな峠を越したしまあいいか。YHはログハウス風の立派な建物で、気持ちよい。近所に日帰り温泉があるが、疲れ切って行く勇気が出ない。ライダーの方々とビールをしこたま飲んで眠る。明日も恐ろしい登りと距離にチャレンジしなければならないのだ。

  ★峠列伝(9)2006年8月12日 神原峠 国道41号線から柏原をとおり古川にぬ  ける県道上 岐阜県
 困難度 2  景観 4  水場 無し  歩道 無し  その他 車通行少なし、周囲はきれいに清掃されていて気持ちがよい、古川側はかなり急

走行 80Km 累計 602Km  費用12,970円

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