2006.11.10(金) 快晴 道中22度
6:50 起床
8:30 偕楽園YH発~偕楽園逍遙
10:25 偕楽園YH出発~R50~笠間~県道42~道祖神峠~県道140~
16:00 新田家着(石岡市)
水戸は落ち着いた良い街である。偕楽園は斉昭公の遺志を活かして無料の公園である。
出発前にこれだけは行っておかなくてはと思い、散策する。公園や庭園は絶対に一人で散策するものである。昨年栗林公園を団体で行ったのだが何の感動も何の記憶ものこっていないのだ。団体で行くと自分自身のペースで行動したり思考したりすることができない。
三千本の梅林と仙奕台からの眺め
私が庭園を散策するときほとんどを空想に費やすのである。例えば偕楽園の3000本の梅にしても、今は花も実も無いが春の満開の風景を空想するのである。あるいは自分自身が徳川の殿様になってお供を連れて散策している姿を空想するのである。仙奕台(せんえきだい)からの眺めだって、電車や車の風景ではなく江戸時代の市街が見えるのである。そうすると全然退屈しないし、楽しいことこの上ない。偕楽園は梅林の他に、杉林、竹林があり、市街地の中に原生林のような林があるのがとても奇妙な気がする。という訳で一周半2時間あまりの散策になってしまった。
竹林に朝日が
門を出るといきなり21世紀にワープしてどうどうと車の走る街になってしまった。 昨日見残した歴史館内の水戸農校旧本館、水海道小学校旧本館などゆっくり見る。職員さんに、朝から1時間毎に鳴っている花火のことを「風流ですねえ、昔の太鼓か大砲の変わりですかね」と言うと「えっそんなもの鳴っていますか、そりゃ何かイベントでもあるのじゃないですか」という返事、興ざめである。道理で出発時には時間に関係なくどんどん鳴り始めた。
水戸農校と水海道小学校
R50は幹線道路であり立派な国道である、片側2車線で歩道も両側に広く物集街道ほどの幅がある。流石に茨城県じゃと思いつつ走るも、10Kmも行くと片側一車線となり
歩道も無くなった。やっぱたいしたことないわ。笠間を少し過ぎたところで、新田君に電話する。新田穂高君は15年ぐらい前沖縄の伊是名島トライアスロン大会で初めてであった。私は大会初の審判長(もっとも審判はひとりであったが)に派遣されて行き、彼はランナーズ社を退社し、フリーのスポーツライターとして取材に来ていたのである。その後年賀状のやりとりをしていたのだが、ある日日経新聞の書評で彼の茅葺きの家に暮らす本を知り、その後彼の出版物は総て揃っていると思う。都会生まれの彼が茅葺きの家に暮らし、百姓するなんて驚きものである。出版物の中には田舎暮らしをするための用具や農法など具体的に書いてあり、まさに田舎暮らしのバイブルである。今回の旅で新田家を訪ねることは一つの目標でもあったので、電話をするときはドキドキした。YHに泊まって訪問しようと思っていたら、明日明後日は用事があるので泊まりますかということ、二つ返事で泊めていただくことにする。
新田家への道のりを聞くと道祖神峠を越えるとのこと、この峠は地図を見ながら通ってみたいなと思っていたので願ったりかなったりだ。峠に上がる手前で、町がやってる食堂に寄る。850円の天丼は海老2匹、舞茸や野菜の天ぷらがどっさりのり、つゆと漬け物と一品が付き京都なら2,000円はする代物だ。得した気分で道祖神峠を登る。名の通り古い街道のようだが、旧の峠は現在の峠と違っており時間の都合で訪ねられなかった。
下りの途中に石塔があり、やはり古い街道のようだ。
道祖神峠への道と街道沿いの石塔
下りの途中を左折し村々を通り抜ける。道を尋ねると、このあたりも訛がきつい、でもそのことは嬉しいことだ。畑は収穫が終わって寒々としていた東北と違い、白菜、ネギ、大根、蕪など青々としており果樹も豊富で豊かな農村という感じだ。コンビニやフランチャイズの店が無く、私の大好きな風景である。ヘルメットをかぶった中学生や小学生に「こんにちは」と挨拶されると嬉しい気分になる。農協で待ち合わせて茅葺きの家に向かう。畑の中をうねうねと進むと、立派な門が現れた、「庄屋さんの家か」「そうらしいです。」茅葺きの屋根も表の方は葺き終わって立派なものである。本だけで見ているとダッシュ村のように妙にすっきりしていてユートピアの様な想像をするのだけれど、期待通り雑然とした私の育った茅葺きの家同様の農家であった。そして新田君はすっかり農家の親父になっていた。
新田家の大門、前面は葺き替えが終わって立派
田舎暮らし8年で穀物と野菜類はやっと自給でるようになったとのこと、雑誌の編集や執筆のかたわらだから大変なことだと思う。家でとれた野菜とお土産にもらった大仏芋で鍋を頂く。私の持参した泡盛で、家の話、百姓の話、旅の話、自転車の話もう際限がない。
右手が筍芋、左手が大仏芋、どちらもでかい
勇弥君に湧かしてもらったお風呂に入り、座敷で沢山の布団を借り寝かせてもらう。ありがとう、楽しい夜をありがとう。
新田君のえらいところは、好きなことを私のように一人でやるのではなく、奥さんと二人の子供と一緒にやっているところだ。「うちは教育も自給なんですよ」ってテレビも見ない、塾も行かないあゆちゃんと勇弥君がどんな大人になるか、私の方が楽しみにしているのである。
走行距離 53Km 累計4,225Km 費用1,523円
★峠列伝(24)道祖神峠(茨城県県道42号線) 困難度 3 景色 3 水場 有り 歩道 無し 古い街道の様子