2020.4.24(金)曇り
「絶滅の人類史」なぜ「私たち」が生き延びたのか 更科功著
NHK出版新書 2018年1月第1刷 古本
「残酷な進化論」(2020.)があまりに面白かったので買ってしまった。予想どおり大変面白く、古代史に於ける森浩一先生の様な感じだ。教科書に載ってる進化論では腑に落ちないことがいくらでもあるのだが本書では想像力を駆使して納得のいく結果を導き出してくれる。
それにしても「絶滅の人類史」とはいったい何だろう。人類が絶滅するってことだろうか。そうじゃないのだ、絶滅した人類の歴史ということだろう。人類は我々ホモサピエンスだけだと思っている方が多いだろうけど、ジャワ原人や北京原人だって人類だけどホモサピエンスではないのだ。彼らは絶滅してしまったホモ・エレクトスであり、ホモサピエンスと時代の重なった人類はネアンデルタール人など4種が数えられている。人類は700万年前から現在発見されているだけでも17種もあり、16種が絶滅しているということだ。なぜホモサピエンスだけが生き残ったのかは人類史の謎なんだが、その謎にも本書は言及している。
四足歩行から直立二足歩行に移る過程はよく教科書などに図が載っているが、中腰の不安定なもので環境に適応したものではない。瞬発力も持久力もなく、外敵に襲われたらひとたまりもないスタイルである。そんな不安定な中腰スタイルの人類の化石は一つも見つかっていないそうだ。じゃあいきなり四足から直立二足歩行に進化したのだろうか。答は本書のお楽しみ。
直立二足歩行の不利な点として、腰痛と難産が取りあげられているがそれらに対応する対処法としての進化については記述されていない。人類の進化としてはそこまで必要ないのかも知れない。
さてもうひとつの人類としての特徴とは、何だろう。犬歯の縮小がチンパンジーにあって人類にないものだということだ。なんで犬歯が縮小したのだろう。使わないからだ。ではなぜ使わなかったのだろう。と疑問は拡がっていくのだけど、絶妙の論理で解いていく。
とまあ読まないと答えの出ないことばかりなのだが、先ほどの人類史の謎の答えを教えよう。地球上に最終的に残った人類はホモサピエンスとホモネアンデルターレンシスなのだが、サピエンスが残ってネアンデルタールが滅びたのかは、子孫をどれだけ残せたかの差であると結論づけている。つづく
【今日の”のびちゃん”】NO. 30
コロナ自粛でどっこも出かけられなくなった。病院だけではかわいそうなんだが、今しばらくの辛抱か。じょんと同じでおおい町の芝生広場が好きなんだが、写真でこらえてくれ。(4月3日)