<雇用崩壊で若者はアジアへ出稼ぎに>
日本企業が次から次へと祖国ニッポンを見限り始めている。最大の理由は、言うまでもなく長期化するハイパー円高だ。今週に入りドル・円相場は一時、1ドル=77円台に突入した。今年3月には83円台をキープしていたから、わずか4カ月間に5円以上も円高が進んだことになる。市場では、「7月中の75円台もあり得る」ともっぱらだ。対ユーロも94円台と超円高にある。
「今期(13年3月期)の為替想定レートは対ドルで80円、対ユーロが105円です。いまの超円高だと巨額差損が発生し、業績を直撃します。大赤字に転落しかねません」(大手メーカー関係者)
輸出企業は、何もしない日銀・政府にシビレを切らし、日本を捨て、海外脱出を加速させている。ここ1週間の報道だけでも、「東レ、チェコに新工場」「クボタ、タイに工場建設」「ホンダ、米工場を増強」「花王、フィリピン工場増強」「ユニ・チャーム、中国で生産子会社を設立」……と続いている。
「ほんの少し前まで、企業はコッソリと海外移転を進めていました。ところが、ここへきて輸出企業の幹部たちは、『日本にいてはもう持たない』と公言し、堂々と海外進出を表明するようになってきました」(市場関係者)
こうなると海外脱出の本格化は止めようがない。その先に待っているのは雇用崩壊だ。経済評論家の杉村富生氏が指摘する。
「海外移転ラッシュで、日本の雇用は失われることになります。若い世代の失業者急増が心配です。現状でも若者層(15~24歳)の6月失業率は、全体の失業率4.8%よりずっと高い8.5%でした。しかも、この数値は見せかけです。働く意欲をなくし、就職活動をあきらめてしまった若者は大勢いますが、彼らは失業者数にカウントされません。この人たちを加えた実際の若者失業率は20%を軽く超えているでしょう。企業の海外移転で、若者の職場はさらに失われます。残された道は、アジアへの出稼ぎです。それが現実になる日が間もなくやってきます」
海外脱出ラッシュは日本経済を根底から揺るがす事態。ハイパー円高を放置した日銀・政府の責任は重大だ。
(日刊ゲンダイ2012年7月25日掲載)
日本企業が次から次へと祖国ニッポンを見限り始めている。最大の理由は、言うまでもなく長期化するハイパー円高だ。今週に入りドル・円相場は一時、1ドル=77円台に突入した。今年3月には83円台をキープしていたから、わずか4カ月間に5円以上も円高が進んだことになる。市場では、「7月中の75円台もあり得る」ともっぱらだ。対ユーロも94円台と超円高にある。
「今期(13年3月期)の為替想定レートは対ドルで80円、対ユーロが105円です。いまの超円高だと巨額差損が発生し、業績を直撃します。大赤字に転落しかねません」(大手メーカー関係者)
輸出企業は、何もしない日銀・政府にシビレを切らし、日本を捨て、海外脱出を加速させている。ここ1週間の報道だけでも、「東レ、チェコに新工場」「クボタ、タイに工場建設」「ホンダ、米工場を増強」「花王、フィリピン工場増強」「ユニ・チャーム、中国で生産子会社を設立」……と続いている。
「ほんの少し前まで、企業はコッソリと海外移転を進めていました。ところが、ここへきて輸出企業の幹部たちは、『日本にいてはもう持たない』と公言し、堂々と海外進出を表明するようになってきました」(市場関係者)
こうなると海外脱出の本格化は止めようがない。その先に待っているのは雇用崩壊だ。経済評論家の杉村富生氏が指摘する。
「海外移転ラッシュで、日本の雇用は失われることになります。若い世代の失業者急増が心配です。現状でも若者層(15~24歳)の6月失業率は、全体の失業率4.8%よりずっと高い8.5%でした。しかも、この数値は見せかけです。働く意欲をなくし、就職活動をあきらめてしまった若者は大勢いますが、彼らは失業者数にカウントされません。この人たちを加えた実際の若者失業率は20%を軽く超えているでしょう。企業の海外移転で、若者の職場はさらに失われます。残された道は、アジアへの出稼ぎです。それが現実になる日が間もなくやってきます」
海外脱出ラッシュは日本経済を根底から揺るがす事態。ハイパー円高を放置した日銀・政府の責任は重大だ。
(日刊ゲンダイ2012年7月25日掲載)