日本人は、とかく話し下手な人が多いといわれます。
周囲から評価されない、プレゼンが苦手、商談や交渉で会話が続かない、相手の気持ちがわからずに怒らせてしまうことがある、デートで会話が盛り上がらない、このように話し方に関する悩みを抱えている人は多くいます。しかし、ビジネスパーソンの誰もが重要と理解しながら、話し方を上達させるための訓練など、具体的に取り組まれることはまだ少ないようです。
そこで今回は、5月に『稼ぎ続ける人の話し方 ずっと貧乏な人の話し方』(青春文庫)を上梓したネクストサービス代表取締役で起業コンサルタントの松尾昭仁氏に、ビジネスで成功できる人とできない人の話し方の違いについて話を聞きました。
●断られることを恐れずに提案する
--営業で実績を挙げている人、プレゼンやセミナーなどで聴衆の心を一気につかむ人など、話上手な人の特徴はどこにあるのでしょうか?
松尾昭仁氏(以下、松尾) 例えば、営業の場面で、売り上げ成績が特によくない人は、自社の商品・サービスを購入してもらったら、お礼を言ってあっさりと退散してしまいます。一方、営業のうまい人は商品・サービスを購入してもらった後、礼儀正しくお礼を言いつつも、「ついでといってはなんですが、ご一緒にこちらの商品もいかがですか?」と別の商品も勧めます。
--あっさり退散せずに、粘り強くセールスを続けるのですね。
松尾 断られると思っていても、お願いすることを忘れないという姿勢が大事なのです。提案するのは無料ですし、リスクもありません。一方で、売り上げ成績がよくない人は「断られたら嫌だな」「図々しいと思われないかな」と、あれこれマイナス思考を働かせてしまい、行動が抑制されてしまうのです。
--営業のチャンスを自ら潰してしまっているということですね。
松尾 相手が嫌がっているときに「ついでの話」をしたら逆効果ですが、一旦商品を購入するという商談が成立している場合、相手との最低限の信頼関係は構築できており、そこで追加の提案をすることは、大抵の場合は失礼には当たらないでしょう。提案すらせずに退散することは、せっかくの販売機会を損失させているといえます。
●自己紹介の決まり文句を用意しておく
--出会ってすぐに相手の心をつかむために、自己紹介のコツなどはありますか?
松尾 自己紹介がうまくできない人は、自分が何者か、自分がどのような価値を与えているのか、明確にわかっていないのではないかと思います。言い換えるなら、自分の役割や価値を真剣に自問自答したことがないということでしょう。
--具体的には、どのような紹介がよいのでしょうか?
松尾 一般的に名刺交換の際には、「株式会社○○の松尾です」などと、自らが所属している会社名を挙げます。相手が自社のことをよく知っていればいいですが、そうでない場合には、自社をわかりやすく説明することが必要になってきます。
例えば「弊社は、海外から来日する著名人専門のメディアとして30年活動しています。多くの国のネイティブスピーカーや語学に堪能なスタッフばかりですので、インタビューなどの場面でも相手の意図を正確に受け取れると好評を得ています。私は長くスペインに滞在していましたので、スペイン語が得意です」などと、自社と自分が相手にとって、どのように役立つかを伝えると受け入れられやすくなります。ところが、これができない人が非常に多いのです。端的に自己紹介する決まり文句を普段から用意しておく必要があります。
人は社会に存在する限り、他人との接触や折衝を避けることはできませんから、ビジネスでの成否は、話し方で決まってしまうといっても過言ではありません。話し方が悪ければ、成功には漕ぎ着けられません。
一方、話し方が魅力的で、人を引きつけるものとなれば、周りの人からの評価は高まり、支援者も増えてくることでしょう。
(文=尾藤克之/経営コンサルタント)
●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。人間の内面にフォーカスしたEQメソッド導入に定評。リスクマネジメント協会「正会員認定資格HCRM」、ツヴァイ「結婚EQ診断」監修等の実績。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。
周囲から評価されない、プレゼンが苦手、商談や交渉で会話が続かない、相手の気持ちがわからずに怒らせてしまうことがある、デートで会話が盛り上がらない、このように話し方に関する悩みを抱えている人は多くいます。しかし、ビジネスパーソンの誰もが重要と理解しながら、話し方を上達させるための訓練など、具体的に取り組まれることはまだ少ないようです。
そこで今回は、5月に『稼ぎ続ける人の話し方 ずっと貧乏な人の話し方』(青春文庫)を上梓したネクストサービス代表取締役で起業コンサルタントの松尾昭仁氏に、ビジネスで成功できる人とできない人の話し方の違いについて話を聞きました。
●断られることを恐れずに提案する
--営業で実績を挙げている人、プレゼンやセミナーなどで聴衆の心を一気につかむ人など、話上手な人の特徴はどこにあるのでしょうか?
松尾昭仁氏(以下、松尾) 例えば、営業の場面で、売り上げ成績が特によくない人は、自社の商品・サービスを購入してもらったら、お礼を言ってあっさりと退散してしまいます。一方、営業のうまい人は商品・サービスを購入してもらった後、礼儀正しくお礼を言いつつも、「ついでといってはなんですが、ご一緒にこちらの商品もいかがですか?」と別の商品も勧めます。
--あっさり退散せずに、粘り強くセールスを続けるのですね。
松尾 断られると思っていても、お願いすることを忘れないという姿勢が大事なのです。提案するのは無料ですし、リスクもありません。一方で、売り上げ成績がよくない人は「断られたら嫌だな」「図々しいと思われないかな」と、あれこれマイナス思考を働かせてしまい、行動が抑制されてしまうのです。
--営業のチャンスを自ら潰してしまっているということですね。
松尾 相手が嫌がっているときに「ついでの話」をしたら逆効果ですが、一旦商品を購入するという商談が成立している場合、相手との最低限の信頼関係は構築できており、そこで追加の提案をすることは、大抵の場合は失礼には当たらないでしょう。提案すらせずに退散することは、せっかくの販売機会を損失させているといえます。
●自己紹介の決まり文句を用意しておく
--出会ってすぐに相手の心をつかむために、自己紹介のコツなどはありますか?
松尾 自己紹介がうまくできない人は、自分が何者か、自分がどのような価値を与えているのか、明確にわかっていないのではないかと思います。言い換えるなら、自分の役割や価値を真剣に自問自答したことがないということでしょう。
--具体的には、どのような紹介がよいのでしょうか?
松尾 一般的に名刺交換の際には、「株式会社○○の松尾です」などと、自らが所属している会社名を挙げます。相手が自社のことをよく知っていればいいですが、そうでない場合には、自社をわかりやすく説明することが必要になってきます。
例えば「弊社は、海外から来日する著名人専門のメディアとして30年活動しています。多くの国のネイティブスピーカーや語学に堪能なスタッフばかりですので、インタビューなどの場面でも相手の意図を正確に受け取れると好評を得ています。私は長くスペインに滞在していましたので、スペイン語が得意です」などと、自社と自分が相手にとって、どのように役立つかを伝えると受け入れられやすくなります。ところが、これができない人が非常に多いのです。端的に自己紹介する決まり文句を普段から用意しておく必要があります。
人は社会に存在する限り、他人との接触や折衝を避けることはできませんから、ビジネスでの成否は、話し方で決まってしまうといっても過言ではありません。話し方が悪ければ、成功には漕ぎ着けられません。
一方、話し方が魅力的で、人を引きつけるものとなれば、周りの人からの評価は高まり、支援者も増えてくることでしょう。
(文=尾藤克之/経営コンサルタント)
●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。人間の内面にフォーカスしたEQメソッド導入に定評。リスクマネジメント協会「正会員認定資格HCRM」、ツヴァイ「結婚EQ診断」監修等の実績。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。