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ロボットを制した者が世界を制する

2014年06月16日 07時01分58秒 | 経済
ロボットは、コンピューター、機械、医学などの先端技術が融合し、応用分野は医療・介護、産業、自動車など多岐にわたる。人口減少に伴う人手不足対策にも資する。日本はトップクラスのロボット技術を誇っており、成長戦略の目玉として官民挙げて力を入れる方針だ。こうした中、異業種とも言える米ITソフト大手米グーグルや日本のソフトバンクが華々しく参入。「世界の生産拠点」として発展する中国も最大の市場に踊り出ようとしている。


ロボットはコンピューター(電脳)とメカニズム(機械)、メディカル(医学)が融合し、すべて分野の総合体。「ロボットを制した者が世界を制する」と言われている。


ロボットをめぐる熱い闘いに火をつけたのはグーグル。世界のロボットベンチャー8社を一気に買収したことが昨年12月に判明し、世界に衝撃が走った。グーグルは買収目的など詳細を明かさず、その戦略は謎に包まれている。買収した8社のうち、最も注目されたのは東京大学発ベンチャー「シャフト」。昨年末、米フロリダ州のカーレース場で開かれたロボットコンテスト予選で、同社の二足歩行ロボット「エス・ワン」は、米航空宇宙局(NASA)やマサチューセッツ工科大学(MIT)など強豪を押しのけて、参加16チームの中で、トップで予選を通過した。

 

このコンテストでは、2011年3 月の東京電力福島第一原発事故を想定した、がれきなどの障害物が積み重なる過酷な環境下で、ロボットがスムーズに作業できるかが試された。ロボットは複雑な障害物の中を歩いたり、急なはしごを上ったりするなど8つの課題に挑戦。他のロボットが転倒し動かなくなる中、シャフトは着実に課題をこなし、難易度の高い、ロボットによる四輪駆動車の運転もパーフェクトだった。それだけに、日本の有力なロボットベンチャーがあっさり買収されたのは衝撃的だった。


◆ソフトバンク、会話するヒト型ロボット発売へ


日本企業ではソフトバンクがロボットの将来性に着目し、仏ロボットベンチャー、アルデバラン・ロボティクスの株式の78%を買収。ソフトバンクはアルデバランと共同開発した、人の感情を理解できるヒト型ロボット「Pepper(ペッパー)」を、来年2月から一般向けに販売する。本体価格は19万8千円。高さ約1.2メートルで、体重28キロ。人工知能(AI)を使い、額と口にあるカメラで人の表情を読み取り、頭のマイクで声色から感情を推定。言葉の簡単なやりとりもできる。


ソフトバンクの孫正義社長は「脳型コンピューターがモーターという筋肉と合体するとロボットになり、やがて知的ロボットと共存する社会になる。そのときロボットビジネスの覇権を握るのは、モーターや部品をつくる自動車や電機メーカーではなく、脳をつくるところになる」と語っている。


◆人手不足を補う産業ロボット


労働人口減少に伴う人手不足を補うためのツールとして、産業ロボットのニーズは拡大する一方。製造工場や建設現場の単純労働はロボットに置き換えられるとの見方も出ている。


この分野で発展目覚ましいのが中国。「外国メーカーの生産拠点が集中さらに拡大しているので今後世界の中心になる」と予測されている。2012年に9万7千台だったが2016年には21万6千台と倍増、韓国、ドイツを抜いて日本の31万台についで2位に躍り出るという。中国が2013年に購入した産業用ロボットは、前年比約60%増の3万6560台。日本の2万6015台、米国の2万3679台を大幅に上回った。早晩、中国が世界最大の産業用ロボット市場になると予測されている。


日本は一貫してこの分野で世界をリードしてきたが、このところの景気低迷により頭打ち。労働力と低賃金を売り物に経済を拡大してきた中国は労働人口の伸び鈍化や賃金上昇に直面、対策としてロボット活用に積極的に取り組んでいる。浙江省政府は今後5年で820億ドル(約8兆2000億円)を投資し、工場の生産工程の自動化をバックアップする。早晩中国が世界一の産業ロボット市場になると見られている。(八牧浩行)
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