日本共産党 前箕面市会議員 名手ひろきのブログ

日本共産党 
前箕面市会議員の名手ひろき(宏樹)のブログです。

箕面市の公立の稲保育所の民営化と株式会社への委託に反対

2022年07月14日 02時16分10秒 | 市議会

6月13日(水)

 参議院選挙がおわり、6月市議会で討論した内容をなど整理しています。

 現在公立保育所の稲保育所が来年4月から民営化されることになっています。日本共産党はこれに一貫して反対を続けてきましたが、上島市政の箕面市の新アウトソーシング計画にそって昨年11月から選定委員会が開かれ、3月、株式会社アートチャイルドケアを受託法人に決定し、6月の市議会には、建物を無償譲渡、土地を無償貸与を行う議案がだされ、名手宏樹は反対討論を行いました。以下ご紹介します。

日本共産党の名手宏樹でございます。

第53号議案「財産の無償譲渡及び無償貸付の件」に反対し意見を述べます。

 すでに述べられているように、本案件は、来年4月から現在、公立保育所の稲保育所を、箕面市アウトソーシング計画に基づき、株式会社アートチャイルドケアに民営化し、現在の建物を無償譲渡し土地を無償貸与しようとするものです。

 まず、公立保育所の役割は、

①行政が地域における保育に責任を持ち、地域の標準的保育を提供し、地域の保育水準を保つことです。 すべての子どもを受け入れ、地域の保育の質の向上を進めることです。標準的な保育を展開しながら私立の施設と連携することで、私立施設の特徴も鮮明になるのです。

②公立という行政機関の役割を生かし、子育て支援センター等と連携し、家庭支援や地域全体の子育て力を引き上げることです。

③自ら公立施設での保育実践を行い、地域の状況把握することで、行政の保育計画の策定、改善に直接生かすという役割です。

④行政機関として地域の様々な機関と連携し、養育困難な家庭、虐待を受けている子どもへの対応、障害のある子ども、医療的ケアの必要な子どもなどの受け入れを行い、さらに非常時には、地域を支えるセイフティーネットの中心を担うなど様々な重要な役割が公立保育所にはあります。

 それを、新改革プランにもとづき「民間との調整弁」として「公立保育所の役割は終わった」と次々と民営化してゆくことはまさに行政の子育て支援への責任放棄です。

 

株式会社法人は公立保育所の民営化の移管先としてはなじまない

 そのうえで、箕面市の公立の保育所を民営化をすすめてきましたが、今回、株式会社を選定し、土地建物を譲渡するのは初めてのケースになります。株式会社は、基本的に余剰価値を見いだし、利益をうみ出し、株主の配当を増やしていくことを目的としています。これは社会福祉法人との大きな違いです。余剰価値と利益を目的とするのでは、公立保育所の民営化の移管先としてはなじみません。保育士など職員の人件費削減などに向かわざるを得ません。そのため、株式会社を公立保育所の移管先の選定対象から除外した自治体もあります。

人の配置が頻繁に変われば、質の確保も安全も確保できません

 次にアートチャイルドケアの保育理念には、子どもの権利条約にもある、「子どもの最善の利益を尊重する」保育の考えでもある、支援保育の在り方についての記述も少なく、簡潔に書かれ過ぎています。支援児の受け入れについては「現在の稲保育所で受け入れている障害児のお子様は移管後も継続します。加配する職員も規定どおりに配置します」としていますが、職員の研修は、「当社の社内研修と箕面市で開催する研修に参加し、障害児への保育の在り方を学びます」とだけであまりにも簡単です。

 さらに、食育やアレルギー対応等に関しましても、「現在、法人の調理員が調理現場に入って、アレルギー対応、給食の取組等に日々の業務を通じて毎日学んでいる」と委員会答弁にもありましたが、年度初めより、定数の調理員に組み込まれて仕事をされていました。私も現場を見てきましたが、「その後、若い職員が入れ替わった」ともお聞きしています。引継ぎ中に、職員がコロコロ変わっていては業務の引継ぎにはなりません。「アレルギー対応は、口に入るもので、危機管理マニュアルや研修を行っている」「公立同等の質の高い給食の提供の手だてを講じ、質の高い給食をしていただけるものというふうに考えております」としても、現実の人の配置が頻繁に変わることになれば、質の確保も安全も確保できません。

 箕面市全体の保育基準の維持の点でも、公立保育所がこれまで担ってきた水準を民営化により、箕面市の理念をしっかりと受け継いでいくことのできる体制になっているのか、非常に疑問です。

 保育の引継ぎでも、「令和4年4月から令和5年3月末までの1年間、丸々引継ぎの期間として設定」と言いながら、今年5月は現状では月に2回ぐらいで、書類の確認が中心で、「今後、人は増やしてゆく」としていますが、誰が中心になって引き継ぐのか、現場の職員との連携を密にせず本当に綿密な引継ぎは大丈夫なのでしょうか。これまで民営化されてきた公立園であった瀬川、箕面保育所の引継ぎのように十分な手法でおこなわれるのでしょうか。

障害にかかわらず、支援の必要な児童の受入れはできるのか

 先にも述べましたが、「現在の支援児はそのままお引き受けします」ということですが、今後の、新たな支援の必要な子どもとか、要支援児を箕面市として引き受けていかなければいけないときに、今までなら、公立の稲保育所で引き受けてきた支援児を移管後の法人でも新たに受け入れられるようなしっかりと体制がつくられるのでしょうか。応募条件には「支援保育を実施の明記」がありますが、障害の程度にかかわらず、支援の必要な児童の受入れはできるのでしょうか。支援を必要とする子どもたちは、今後も増えるとの前提で、体制を取れるのでしょうか。

現場の保育体制こそが最も重要

 保育・幼児教育センターをつくって、「公立、民間でレベルで共に保育の質を上げてゆく方針」といいますが、保育の水準を上げていくことは期待をしますが、すべてを、新たにできる「保育・幼児教育センター」での研究、研修で解決できるものではありません。

 現場の保育体制こそが最も重要です。この点で、箕面市では公立の1歳児保育の対数を5:1から6対1へと国基準へと改悪してきたではありませんか。市の補助を増やし、公立と民間園で5:1へと戻すべきです。

現在の稲保育所の保育理念を十分に引き継げる確認ができない

 園舎の整備で、リニューアル工事をし、きれいな保育園になっても、働く保育士さんの処遇と保育の質・中味は一朝一夕では積み上げられません。保育体制の確保と保育士の質・中味がともなった保育を確保し、しっかりと引き継ぐというには時間がかかるのです。

 公立保育所の株式会社への民営化の推進とともに、現在の稲保育所の保育理念を十分に引き継げる体制と箕面の保育が引き継げる確認ができないという意見を述べ、この第53号議案財産の無償譲渡及び無償貸付の件に反対の意見といたします。