HCD-Net 発足記念フォーラム:講演(3) 海保博之氏
機構の発足、おめでとうございます。学会設立ばやりの昨今、「NPO法人」組織は斬新です。とらわれのない自由闊達な活動を祈念しております。
さて、還暦を過ぎると昔話が多くなります。その昔話から。
1987年に「ユーザ・読み手の心をつかむマニュアルの書き方」(加藤隆、原田悦子、堀啓造)(共立出版)という本を出しました。
この本のタイトル「ユーザ・読み手の心をつかむ」はすばらしいタイトルだと思いませんか。共立出版の編集部の方がつけてくれました。当時、ワープロが一般に普及しはじめた時期です。素人ユーザにいかにこの高度な技術の使い方を伝えたらよいか、メーカーの皆様、大変なご苦労をされていたようです。
そんな時のこのタイトルの本。売れに売れました。といっても、ミリオンセラーならぬ、テンサウザンドセラーですが。その本のなかで訴えたことは、「ぐうたら」で「To err is human」といった、いわば低規格人間像をベースにしてマニュアルを設計するとしたらどういうことに配慮すべきかということでした。
そして、またまた昔話です。
1991年に黒須正明先生、原田悦子先生と一緒に「認知的インタフェース;コンピュータとの知的つきあい方」(新曜社)を出させていただき、これもいまだ、版を重ねております。韓国語にも翻訳されました。その本のあとがきで、本書刊行のひそかな願いとして3つ挙げました。参考までに。
その1.インタフェース設計に携わっている技術者、デザイナーの方々に、ユーザの心理を知ってもらいたい、ということ
その2.心理学の研究者も実験室、研究室の外に目を向けてほしいこと。これほど、世の中から期待されていながら、心理研究者が動かないのは、横着といってもよいかもしれません。和田秀樹氏の言葉を紹介しておきます。「日本ではまだ、心理学は“ただの学問”という扱いしかされていない」
その3.ユーザにも賢くなってほしいこと。これは改善されました。高校レベルで「情報」が一つの教科になりました。画期的なことです。
さて最後に、機構にお願いしたいこと。いろいろありますが、一つだけ。それは、いろいろのところにどんどん出撃して活動していただきたいということです。10年遅れている領域がまだまだあちこちにあります。
NPO法人「人間中心設計推進機構」の多彩な活動を心から祈念して、私の話を終えたいと思います。
機構の発足、おめでとうございます。学会設立ばやりの昨今、「NPO法人」組織は斬新です。とらわれのない自由闊達な活動を祈念しております。
さて、還暦を過ぎると昔話が多くなります。その昔話から。
1987年に「ユーザ・読み手の心をつかむマニュアルの書き方」(加藤隆、原田悦子、堀啓造)(共立出版)という本を出しました。
この本のタイトル「ユーザ・読み手の心をつかむ」はすばらしいタイトルだと思いませんか。共立出版の編集部の方がつけてくれました。当時、ワープロが一般に普及しはじめた時期です。素人ユーザにいかにこの高度な技術の使い方を伝えたらよいか、メーカーの皆様、大変なご苦労をされていたようです。
そんな時のこのタイトルの本。売れに売れました。といっても、ミリオンセラーならぬ、テンサウザンドセラーですが。その本のなかで訴えたことは、「ぐうたら」で「To err is human」といった、いわば低規格人間像をベースにしてマニュアルを設計するとしたらどういうことに配慮すべきかということでした。
そして、またまた昔話です。
1991年に黒須正明先生、原田悦子先生と一緒に「認知的インタフェース;コンピュータとの知的つきあい方」(新曜社)を出させていただき、これもいまだ、版を重ねております。韓国語にも翻訳されました。その本のあとがきで、本書刊行のひそかな願いとして3つ挙げました。参考までに。
その1.インタフェース設計に携わっている技術者、デザイナーの方々に、ユーザの心理を知ってもらいたい、ということ
その2.心理学の研究者も実験室、研究室の外に目を向けてほしいこと。これほど、世の中から期待されていながら、心理研究者が動かないのは、横着といってもよいかもしれません。和田秀樹氏の言葉を紹介しておきます。「日本ではまだ、心理学は“ただの学問”という扱いしかされていない」
その3.ユーザにも賢くなってほしいこと。これは改善されました。高校レベルで「情報」が一つの教科になりました。画期的なことです。
さて最後に、機構にお願いしたいこと。いろいろありますが、一つだけ。それは、いろいろのところにどんどん出撃して活動していただきたいということです。10年遅れている領域がまだまだあちこちにあります。
NPO法人「人間中心設計推進機構」の多彩な活動を心から祈念して、私の話を終えたいと思います。