『改めて日本語を考える』その48。上場企業を見ているとやはり漢字の名前が多い。しかし、カタカナ表記の会社も相当数あり、その意味がわからない会社も多い。そんな会社の名前の由来を少しだけ調べてみた。
外食チェーンを運営している『ゼンショー』、(ゼンショーホールディングス)の会社名は知らずとも『すき家』『はま寿司』『ココス』『なか卯』『ロッテリア』と言ったお店を知らない日本人はあまりいない。
ではゼンショーの意味はなんだろう。創業者の小川賢太郎氏が一代で成した会社であり、社是が『全勝、善商、禅商』が社名の由来。ただ、実際にはとにかくM&Aで伸びた会社だけあり、全て成功、つまり『全勝』を社員に求めることが一番大切なことのようである。
社長の苗字が社名になっている会社も多い。有名なのはニトリ(似鳥)、コメリ(米利)、ヤマダ電機(山田)、ホンダ(本田宗一郎)、フジクラ(創業者、藤倉善八)、クボタ(同、久保田権四郎)、マツダ(松田重次郎)など。
ただ、創業時は異なる名前でそれを今の社名に改名したものも多く、フジクラは藤倉電線、マツダは東洋工業などだったのだが、CIの際に創業者の苗字を社名にした会社もある。
(昔のマツダ)
同じように創業者の姓を使ったのが、リンナイ。ただ、2人の創業メンバーの林兼吉・内藤秀次郎の頭の2字を使い、初めは『ナイリン』とするつもりだったのだが、語呂が悪いため『林内商会』としてスタート。
これをカタカナにして使っているものである。上場企業ではないが、ブリヂストンは創業家石橋家を英訳し、『ブリッジ(橋)ストーン(石)』を繋げたというのは有名である。
創業の地を使っているのが、クラボウ(倉敷紡績)、カネカ(鐘淵化学)、カネボウ(鐘淵紡績、その後にクラシエと改称)など結構多い。
その中で珍しい例はグンゼ(郡是製絲が創業時の社名)である。社名の由来は創業地の何鹿郡(現在の京都府綾部市)の地場産業である蚕糸業を郡を挙げて推進することが郡の急務という考えによる。つまり、『郡の是とすること』を体現しようとしたのが社名となっている。
合併の際に元の企業名を繋げた例はアンリツ(1931年に安中電機と共立電機が合併した際に半分ずつ安・立を繋げての社名に)、アイシン(1965年に愛知工業と新川電機が合併。愛・新を繋げて社名に)、全てカタカナではないが、グルメ杵屋もサンドイッチのグルメとうどんの杵屋が合併した会社なのである。
他にも色々あるが、また次回。