天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」67

2011年10月08日 | 映画感想
「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」

珍しくダーが「どうしても見たいから一緒に見に行こう」と言って来た。
あれ?確か2001年公開のバートン版の時は私が「見に行かない?」って誘ったら「猿見て何が楽しいねん」
って一蹴したハズなのに~。ちなみにバートン版は散々でしたよねー、ラジー候補&受賞もしてたよねw

おーっと脱線。
なんでも本作は68年に公開になった一番最初の「猿の惑星」の世界がそもそもどうして出来上がったのか・・・という
「猿の惑星ビギンズ」的なモノらしいです。
まあ最近よくある「過去作品をリスペクトして設定を尊重しつつ新しいオリジナルストーリーでビギンズを制作」のパターン
「後付けビギンズ系」の傑作はやっぱりバットマンなんじゃないかな?まーアレと同じ系譜だと思って頂ければ。

簡単なあらすじは
米サンフランシスコにある製薬会社に勤める科学者のウィル達はアルツハイマーに劇的に効く新薬を発明してチンパンジーに
臨床実験をするものの、効果の現れたハズのチンパンジーは暴れ出して射殺されてしまい、それがきっかけで実験も頓挫する。
だがしかし、暴れた猿は実は妊娠していて(腹の子供を守る為に興奮したらしい)射殺後に取り出された子猿をウィルは連れ帰り
「シーザー」と名付けて自宅で育てる事にした。
数年後、シーザーは人間並み(以上?)の発達をする。どうやら胎児の頃に母体が摂取した新薬の影響を受けていると判明した事で
封印されていたハズの新薬開発研究が一気に加速するのだが・・・

まず68年の作品のビギンズだけど設定を現代にしている(よね?)事で観客がすんなり世界観に入れる。これは有難い。
そしてキモの「何故人間よりも知能指数の高いサル族というのが発生したのか」という理由付けを実に破綻なく上手く設定して来た。
この設定なら実際どうなのかはともかく、シロウト目に見た感じ「科学的根拠・裏付けがある」ような体の仕上がりになっている。

この「破綻なき設定」は細部にまで渡っていて、例えば新薬の効果の深度が人間と猿では治験結果に違いが出るというのも1つ、
効果の深度が違えば副作用の深度も違うだろうし、副作用の質も違うだろう。
また長期服用を余儀なくされる薬に対しては「抗体」が出来て次第に薬に耐性が出来てしまうというリスクを追うという点についても
本作はきっちり言及していて(というか、その抗体反応を脚本に生かす所まで昇華している!)全くもってソツがない。

更に言えば、ビギンズとしては最終的にこの「高知能サル」が大量に増える事と同時に「人類が絶滅の危機に陥るまで人口の爆発的減少」
という事象が起こらなければいけないというダブルミッションがある訳だが、その両方を上手く導くように伏線を敷いている。
この「人口の爆発的減少」のくだりは本編が終わったら直ぐに席を立たずにしばらくスクリーンを見ていれば判る。

そんなこんなで非常によく練れた脚本、そして現代映像技術の粋を結集した素晴らしい猿映像の数々!
68年版なんてさー、明らかに誰が見ても判る「猿ヅラ」被って大真面目に演技してたよね。今見たらしむけんのバカ殿だってもーちょっと
リアルな感じに作ってあるぜ!って言いたくなる位ヘッポコな特殊メイクだったと思うwww
それが40数年経つとこーまでリアルな世界観と映像になるのかと・・・もう溜息しか出ません。

ところで、
映像も脚本も本当に非の打ちどころもないと私も太鼓判を押すのですがー・・・大して面白いと思わなかった(あれ?)

何て言えばいいんだろー。「出来過ぎ」って言うのか?いい子ちゃん過ぎる?優等生過ぎる?
んーんーんー。もうコレは表現するのが難し過ぎるんだ。
とにかく簡単に言っちゃえば「自分のツボには入らなかった」としか言いようがないっていうのか!^^;

脚本練り過ぎて上手にキレイに作り込み過ぎちゃった・・・とでも言えばいいのか。
確かに破綻ない設定、過去の作品をリスペクトしつつ現代の設定に上手にシフトした作り、映像美、役者の演技、
全てにおいて平均点の高い作品だなーという印象があるんだけど、整い過ぎていて味気ない・・・とまで言うと乱暴過ぎるか。
んー。高級料亭で2万円の懐石コース食った後で、腹一杯のハズなのに何故かその後で馴染みの汚い屋台でラーメン食いたくなるような、
なんか・・・「真円よりも少しいびつな形の円の方が味わいがある」みたいな気分になっちゃうんですよ。

ちなみに一緒に見に行ったダー(←ごく平均的かつ真っ当な感覚の人)は本作をかなり高評価していたし、むしろ積極的に感動したそうで
「途中でウルウルしちゃったぞ!」とか言ってました。
え?ウルウル?そんなシーンあったっけ?と素で聞いた私に本気で人格否定発言をしそうな勢いだったので(苦笑)
本当に本作は良く出来ていて感動出来る秀作だと思います!単に私のツボじゃない出来過ぎな作品なだけです!すんませんっ!!
コメント (6)
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