出演:ミムラ、津川雅彦、益岡徹、伊藤かずえ
「絶対、真打になる!」と、12歳の時に落語に目覚めて以来、大学の落研で学生コンクールを総なめにしてプロの門をたたいた香須美。拾ってくれたのは奇行三昧で知られる業界の札付き・三々亭平佐だった。一度も稽古をつけてくれないばかりか、不祥事を起こしてしまって、寄席にも出入り禁止状態。そんな破天荒な師匠にTV局から、これまで演じた者が必ず命を落とすという呪われた演目「緋扇長屋」に挑む話が舞い込む…。
ミムラ、という女優はほんとうに不思議な存在だと思う。所属事務所(スターダストプロモーション)が強力で、フジの月9の主役に強引に押し込んだ(オーディションで勝ち残ったことになってはいるが)経緯があったので、しょーもねーチンピラなのかと思えば、この作品のように、達者な落語を聞かせる熱演ぶりも見せる。
そのいかにもな熱演をいなす津川雅彦もうまい。作品全体に力みが見えるあたりが惜しい。津川の軽さが全体におよんでいれば、傑作になりえたはずだが。ただ、「タイガー&ドラゴン」「しゃべれどもしゃべれども」「寝ずの番」「の・ようなもの」と、落語ドラマにはずれなし、という伝統は今回も守られた。妙に艶めかしい伊藤かずえもいい。