PART1はこちら。
男子フィギュアがあった翌朝、わたしの父親は我慢できないかのようにつぶやいた。
「あの、織田ナントカの靴ひもな……そう簡単に切れるもんだんが?なんかの陰謀でねが?」
陰謀史観か少女マンガかよ。妻は苦笑し「あの子はねぇ……」とあきれていた。
思い起こせば織田は、酒気帯びだのプログラムをまちがえただの、そのたびに涙を滂沱のごとく流していたわけだ。こんなタイプは、きっとネット上で遠慮なくぶったたかれているに違いないと思ったがそうでもない。
むしろ「逆境をのりこえてよくがんばった」とか「感動した」のオンパレード。おやおや。
それでは同じ入賞組である国母があれほどバッシングされたのとえらい違いではないか。いったいなぜなのだろう。ちょっと考えてみた。
・スノボは前回のメロだの童夢で“生意気なやつら”というパブリックイメージが先行していたので叩きやすかった。
・フィギュアは今大会で圧倒的に視聴率が見込めるコンテンツなので、マスコミの論調が織田に同情的だった。
・高橋が銅メダルをとったために、慶祝ムードが織田への批判を一掃した。
・なにはともあれ日本人はフィギュアが好き。
……こんなとこですか。しかしわたしは国母に肩入れする。
PART3につづく。