「松陰の遺言」はこちら。
前回の視聴率は18.1%。もう当たったとかそれ以前に微動だにしない。これはむしろ“下がらない”ことのほうに特徴はあるかも。大河ドラマは洗面器のような視聴率曲線を描くことが多いので。
さて今回は、会津藩が京都守護職を受けいれるまでの経緯を。
わたしは日本史に暗いものだから、会津藩は幕府の命を狂喜して受けたものだと思っていました。長州が宗教的熱狂で倒幕に走ったように。
しかし八重の兄が言うように、二百里も離れた京に出兵することは、藩を疲弊させることは必定。それ以上に、いまから考えれば薩摩や長州に憎まれ、会津を明治以降の不遇に追いやった契機だったわけだ。
松平容保が無茶に走った背景に、自分が養子であり、一種のコピーであるコンプレックスはなかっただろうか。同様の境遇だった義姉(稲森いずみは痩せましたねえ!)に、心の底で嫉妬していた正室の死は悲しい。
福島枠で秋吉久美子がいよいよ。長女(市川実日子)から乳児までの母親として、そして薙刀の名人として登場。得体の知れない、妙に艶めかしい感じが本領発揮。長女の性格がガチガチなのはその反動?
八重は今回もなにもしていない。むしろ政治の激動期に、なにもできないでいる歯がゆさが伝わる。こういう動きの少ない前半だから、タイトルバックに彼女を大きくフューチャーしたのかな。あれは新機軸。
草笛光子のナレーションはおみごと。わたし、女性版鈴木瑞穂ではないかと思っております。酒田のある飲み屋にやってきたときに会いたかったなあ。
ナレーションは、ドラマにとってターボのようなもので、否応なしに盛り上げてくれる。三谷幸喜は「新選組!」でそこを嫌ったのだろう。実人生にナレーションは誰もつぶやいてくれないし。でも、やはり大河ドラマの味は、神のような上から目線にもあるんじゃないかな。
ということで今回の視聴率は……誰だって18%前後だと読みますわな。それにしても貫地谷しほりはこれからどう八重の人生にからんでくるんだろう………………ええええっ、そういうことだったのかっ。
第七話「将軍の首」につづく。