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◆ルールその2
特に東日本において、県庁所在地が置かれた場所の旧郡名を県名にした例がとても多い。歴史的な背景を完全に無視している。(岩手、宮城、山梨など)
◆京都と大阪だけが「府」なのはなぜか
実はむかしは府がもっとあったんですって。京都と大阪以外を列挙すれば、
・江戸府(のちに東京府に改称)
・箱舘府
・長崎府
・神奈川府
・度会府(伊勢)
・奈良府
・越後府
・甲斐府
合計10の府があり、これらは重要な拠点であると同時に徳川幕府直轄領だった。東京が都となり、他の七つが県になったのに、京都と大阪(当時は大坂)のふたつが府のままだったのは、京都には歴史、大坂には商業という売り物があり、ブランドとして残したというところらしい。
◆なぜ北海道だけが「道」なのか
まったくですよね。というか都道府県名のなかでただひとつ、北海道だけが個人の意見によって名づけられたって知ってました?
道(どう)というのは、律令制の時代から使われていた地域区分で、道(みち)の名が地域の総称になっている。東海道とか、山陽道とかって、そういう意味合いもあったんだ。でも北海道はまだ蝦夷地と呼ばれていて、さあ呼称をどうしようとしたときに、幕末に活躍した探検家にして地理学者、松浦武四郎という人物が登場。彼はアイヌ研究の先駆者でもあり、政府に「道名の義につき意見書」を提出。六つの候補名のなかに「北加伊道」があったという。
そしてこの「加伊(カイ)」とは、アイヌ民族がみずからの土地をそう呼んでいたのだとか。これは……いい話じゃないですか。以下次号。