事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「LOGAN/ローガン」(2017 FOX)

2017-07-03 | 洋画

驚異的な回復力によって、不老不死だった男。ウルヴァリンの文字通り長大な物語をどう終わらせるか。この作品「LOGAN/ローガン」はもののみごとに描ききっている。

近未来。ウルヴァリンことローガン(ヒュー・ジャックマン)は、やつれた表情で運転手として金を稼いでいる。その金は、かつてX-MENを率いたチャールズ・エグゼヴィア(パトリック・スチュワート)の“能力”を制御する薬を買うためのもの。彼はアルツハイマーを患っており、能力を全開にしてしまうことで大きな被害をまわりに与えたことがあった……

あの超能力者たちがしょぼくれた感じが哀れ。何らかの事情で25年間もミュータントは出現せず、X-MENも過去の存在になっているのだ。気勢の上がらない話である。

そこへひとりの少女ローラが現れ、事態は一変する。彼女は全盛期のウルヴァリンと同様の能力を持っていた。それはなぜか。

不老不死が決して幸せなことではないのは容易に想像できる。ウルヴァリンが愛した存在はことごとく消えていく。あのジーン・グレイ(大好きファムケ・ヤンセン!)をはじめとして。

だからウルヴァリンは誰も愛さず、家族も持たない。そんな彼が、最後の最後に得たものとは。

シェーン」を下敷きにしたストーリーがとてもすばらしい。エグゼヴィアとローラがテレビでいっしょにあの名作を見るシーンがラストにきちんとつながる。シェーンが去って行くあのとき、実は負傷していたことを知っていましたか。だから「シェーン!カンバーック」という少年の呼び声は決して実現しないことだったのだ。同じように……

「ウルヴァリン・ザ・ファイナル」とか変な邦題がつかなくて本当によかった。ローガンというひとりの寂しかった男が、小さな幸せを抱いて去って行く物語は、「シェーン」というそっけないタイトルに呼応しているのだから。「3時10分、決断のとき」につづいて、ジェームズ・マンゴールドはみごとな“西部劇”をつくってくれた。傑作。

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