2017年5月号PART1「読売新聞を読んでね」はこちら。
「自衛隊、防衛省とも連携のある候補を、ぜひ2期目の当選をお願いしたいと、防衛省、自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いをしたいと思っています」
もちろんこれは稲田防衛大臣が都議選の自民党候補の集会で発したもの。先月の失言王、大西議員もびっくりのレベル。自衛隊の政治的中立がどうしたと問題になっているようだけれど、わたしは別の意味でこの発言が怖い。
まず、この程度の人物が自衛隊のトップにいることが怖い。もしも明日、なんらかの軍事的“状況”が発生したとき、この稲田朋美が自衛隊を率いるのだ。おまけに最高指揮監督権はあの安倍晋三が握っている。極右コンビがどのような行動に出るのか、わたしは不安でならない。
そして、この大臣は感覚として自衛隊を“自分のもの”だと思っているらしいことがうかがい知れる。極端なことを言えば私兵だと。これまでの失言の数々から、感情を制御できないお調子者に、そう言って悪ければ「子ども」に危ないおもちゃを持たせては絶対にいけないことは現内閣を支持している人たちでもおわかりいただけるでしょう?
最も怖いのは、彼女が防衛省でどのような公務をどのように行っているか、自衛官たちは冷静に見ているはずで、彼ら彼女らが上司としての大臣をどう評価しているかは容易に想像できる。文民統制は近代軍にとって絶対的前提。しかしこの大臣が居座れば居座るほど(居座ってくれたほうが現内閣が弱体化することは確実なので、辞任も罷免もしないでほしいという気持ちも少しはあるけれど)、文民への忠誠心は薄れていく。これが国家的危機でなくてなんだろう。
政治と金をめぐる問題でうんざりしていた時期はまだ幸せだった。極右たちは、積極的に亡国を志向しているとしかわたしには思えない。この大臣が次の総理候補だと自他ともに認めていたことがあったなんて、悪い冗談です。
実は昨夜、ないしょだけどフランチャイズでいっしょになったのは自衛隊。そぉーっと訊きました
「どうなの?トップが稲田って気分は」
みんなニコニコしていました。何も、申しますまい。
2017年7月号PART1「玄人好み。」につづく。