学校事務職員の楽しみのひとつに、(怒られそうだけれども)勤務校の図書館に、わりと自分の好きな本を入れることがカウントできます。正確に言うと、そういうことを許す図書主任や司書教諭、そして司書がいることが前提ですが。
わたしは常にそういう恵まれたスタッフといっしょに仕事をしてきたので、転勤のたびに伊坂幸太郎や小野不由美の著作を徹底してリコメンドしてきた。わたしが中学生のときに出会いたかった作家だもの。「事務職員からのこの1冊」です。
米澤穂信もそのひとり。古典部シリーズと小市民シリーズこそ、小説を読むということの入り口として最適。デビュー作「氷菓」に始まる古典部シリーズは、
「愚者のエンドロール」
「ふたりの距離の概算」
と続いて、版元によればついに売り上げ200万部突破とか。ひえー。小説が売れないってどこの国の話だよ。
ということで、去年転勤してきた本校の図書館には……あ、小市民シリーズはあるけど古典部はないぞ。ということで司書に直接リクエストした。
「絶対に面白いから」
去年、「蜜蜂と遠雷」をすすめたためにある程度の信頼はあるようで、ちゃーんと全巻購入してくれました。そして司書本人がこのシリーズに耽溺している(笑)。え、今度は佐藤正午を入れてくれるんですかっ!
わたしも、最新作「いまさら翼といわれても」だけは読んでいなかったので、貸出前に読ませてもらいました。役得役得。
やる気のないヒーローである折木奉太郎と、無意識過剰なヒロイン、千反田えるの関係は相変わらず微妙。しかしタイトル作である「いまさら翼といわれても」のラストで……そう来たかあ!
かくしてまたも最新作を首を長くして待つことになる。タイトルにこめられた意味は重い。ちょっと感動しちゃいました。早く新作を!もう転勤はしないから米澤の本は全部うちの図書館に入れるんでっ!