ジョニー・デップ、ジェフリー・ラッシュ、ハビエル・バルデム……ひたすら癖の強い名優を集めて、でもやっていることは「カリブの海賊」ごっこ(笑)。いやそれがいけないと言っているわけではなくて、そういう“ごっこ”を重厚な役者にやらせるからこのシリーズは成功しているのだと思う。
ちょっと想像してみて。ジョニー・デップがいないパイレーツ・オブ・カリビアンってありえないでしょ。あのとんがった俳優が第1作に出演を決めたのにはおおいに驚かされたけれど、以降のすべてを映画館で観ることになったのは、すべてジョニデのおかげ。わたしは簡単な客。
しかも、このシリーズの特徴は何度も主張しているように、“さほど面白くはない”ことだった(笑)。だからこそ、全世界で馬鹿げたヒットを記録したんだと思います。映画というよりも、ゆるゆるのアトラクションとして。
ところが前作あたりから、困ったことに普通に面白くなってきてしまったのだ。今回も、宝探し一直線のストーリーに度外れたCGをぶちこみ、最後にほろりとさせるあたり(「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」と同じ手を使っています)、よくできている。イギリスとスペインの艦隊はやっぱり仲が悪いんだなあとか、ハビエル・バルデムが出演を決めたのは、前作で奥さんのペネロペ・クルスがいい思いをしたからかなとか、笑える小ネタもたっぷり。
でも、おかげで(かどうかは知らないけれど)北米での興行が振るわなかったのは皮肉。その分を中国や日本の馬鹿ヒットで補うから続篇は必至だけれども……。
オーランド・ブルームを再登場させておいて、キーラ・ナイトレイはどうしたんだよっ!と思わせておいて最後の最後に。彼女は、1作目から十数年経っていることが信じられないくらい変わらない。まあそんなことを言ったらジョニデは(あのメイクもあるし)まったく変わっちゃいないわけだけど。
エンドタイトルはちゃんと最後まで観なければダメ。なんと某超有名ミュージシャンが特別出演していることが判明。どこに出てたんだよ。まあ、ジョニデの父親役がストーンズのキース・リチャーズだったんだから、あの人が出てても不思議はないけど。
原題はDead Men Tell No Tales 「死人に口なし」。でもこの作品では壮絶に死者がしゃべりまくっております(笑)。