PART11「春の坂道」はこちら。
大河ドラマ十作目、テレビ放送20周年を記念して破格の製作費が注ぎこまれた「新・平家物語」だけれど、わたしは見てなくて「飛び出せ!青春」に夢中になってました。
そろそろ色気づいたわたしは、レッツ・ビギン!と無責任に生徒を煽る学園ドラマのほうが、辛気くさい時代劇よりも好きだったみたいだ。にしてもあのドラマは青春ものの教科書のような作品だった。校長が有島一郎で教頭が穂積隆信という鉄板のコンビと、酒井和歌子の、いかにも東宝の女優らしいツンデレぶり……
大河の話でした。とにかくスタッフもキャストも豪華版。原作が吉川英治で脚本が平岩弓枝。そして音楽が冨田勲ときた。富田は「花の生涯」「天と地と」につづいての登板。わたしにとっては「新日本紀行」「ジャングル大帝」の人ですけどね。
あふれるほどの豪華キャストは羅列するだけでもたいへん。平清盛に仲代達矢、時忠に山崎努、経盛に郷ひろみ、敦盛に中村勘九郎(五代目)……ううう平家は似たような名前が多くてかなわん。
源氏は頼朝に高橋幸治、義経に志垣太郎、政子が栗原小巻で常盤御前が若尾文子、北条時政が加東大介で武蔵坊弁慶が佐藤允。そしてイメージとはちょっと違って木曽義仲に林与一(どちらかといえば貴族風の人なのに。名前は那須与一っぽいけど)。
陰の主役とも言うべき後白河法皇は滝沢修。落語の演目でも有名な崇徳院(「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ」の作者)に田村正和、建礼門院徳子に佐久間良子。これに緒形拳と五十嵐じゅん、そして藤田まことが加わる。
いくらギャラが安いことで有名なNHKでも、これだけのキャストを集めるとはすごい。逆にいえば、映画界に常に下に見られていたテレビドラマが、ここに至って完全に市民権を得たということだろうか。
PART13「国盗り物語」につづく。