第26回「誰がために城はある」はこちら。
前回の視聴率は12.4%とほぼ動かず。上向く要素が今のところあまり見当たらない。小藩の細腕繁盛記に自らを封じているようなので、それは覚悟の上かと。
そう開き直ってしまえば、確かに気賀をいくさもなしに手に入れる手法は(腹黒くて)けっこうです。例によって政次と直虎の盤面で、押したり引いたりを描くのは「真田丸」がCGで情勢を解説していたのと共通。視聴者にとって、いま主人公が攻めているのか攻められているのかがわかりやすいつくりになっている。
ドラマにおけるCGは驚くほどのレベルに達していて、湖面に泊めた船の上で「ここに城をつくる」と宣言する龍雲丸、なんて画にはむかしの大河の演出家たちは「おれのときにもこういうのがやりたかった!」と歯がみしていることでしょう。水上の描写は金がかかって仕方がないらしいし。「勝海舟」とか「風と雲と虹と」とか、無理してたもんなあ。あ、「平清盛」は見ていなかったので壇ノ浦とかはどんな描写だったんだろう。
ただドラマ的には劣化しているのではないかと。誰でも知っている定番の講談ではなく、ほぼ無名の女性城主が幕末までつづく高名な藩(なにしろあの小林正樹の「切腹」の舞台となるくらいだから)の礎を築いた経緯を、有能な女性脚本家を起用して……わかるんだけれども、どうもやっぱり弾まない。
もう折り返し地点を過ぎて、来週は驚くほどわかりやすい扮装の武田信玄(松平健)が登場するみたい。それが、起爆剤になるとも思えないあたりが……
視聴率はやっぱり12%台でしょ。わたしも見続けるかどうか微妙なラインに来ています。今日は半日「深夜食堂」のDVDを見ていたので、南渓和尚(小林薫)が大活躍の展開なら絶対に見るんですけどね。
第28回「死の帳面」につづく。