2017年12月差額号 差額支給日を推理するPART3はこちら。
そのテレビドラマは2013年の7月にオンエア開始。主演に堺雅人、その妻に上戸彩、敵役が香川照之、キャストのトメが北大路欣也という布陣はむしろ地味なくらいで、おまけにネタが銀行。およそ高視聴率など望むべくもなかったのに、最終回で平成民放ドラマ最高の42.2%をたたき出しました。
もちろんこのドラマとは「半沢直樹」(TBS)のこと。お公家さんと呼ばれた東京三菱とイケイケの三和の激突をモデルにし、最後の最後にいちばん腹黒かったのは誰かがあらわになるなど、確かに他の業界にいる人間には興味深いドラマでした。
しかし知り合いの銀行員は「とても見ていられない」と敬遠。「出向」「裁量臨店」「金融庁検査」などの連続に胃が痛くなりそうだったと。特に、出向は本流から外されるイメージがありましたが、どうも近ごろは様子が違うようです。
日銀のマイナス金利政策の影響で、貸出金利が低下して銀行が本業でもうけるビジネスモデルが崩壊寸前。そのために合併(「華麗なる一族」ですかっ)や店舗統合、そしてリストラが予想されるため、他の業界に逃げ出す行員が増加しているのです。こうなると出向ずみの人はむしろラッキーかと。半沢、元気か。
銀行の収益悪化には、手数料の値上げという影響がすでに出ていて、おかげでうちの事務室も頭をかかえています。たとえば、金種指定で払い戻しをしようとすると、1万円をのぞいた枚数が
51枚~500枚 → 324円
501枚~1000枚 → 540円
と、手数料がかかってしまうことに。50枚までにおさめるのってけっこう大変なんですよ。卒業式の日に第三学年の保護者にそれぞれ返金するときに、はたしてどれだけ手数料がかかるものやら。
さて、どうして長々と金融の話をしたかというと、給料袋といっしょに×金の封筒もお渡しするからです。中身は「個人型確定拠出年金に関するアンケート」。それってなんだですって?もう忘れたんですか。iDeCo(イデコ)のことです。
この制度については昨年度に説明したとおり、
・公的年金に上乗せして給付される。
・加入年齢は60才未満。
・給付は60才から(加入期間が10年にみたない場合はもっと遅くなる)。
・銀行、証券会社、生命保険会社などについて、自分で積み立てる金融機関を選択する。
・運用のリスクは、すべて加入者に帰属。
・公務員の掛金の上限は月額12000円(将来的には年額144000円の範囲でコントロール)。
↑この、“将来的には”の部分が今月から可能になり、掛金は年単位で拠出すればいいことになりました。まあ、この低金利の時代だから運用益よりも節税効果(掛金全額が控除されます)に期待するか、むしろ株高の世の中なので勝負をかけるか、それは自分の責任でどうぞ。
なぜ労×のアンケートをお渡しするかというと、このアンケートを集約すること自体が職員のノルマになっているんですって。回答は事務室へ。きつい業界に、少しは協力してあげてください。え、こっちの業界の方がよっぽどブラックじゃないかって?それは言わない約束でしょ。
以下は事務連絡。
・今月からたいがいの人が昇給しています(くっそー、55才を超える人をのぞく)。発令書は来月。
・源泉徴収票を同封していますので一年間は絶対になくさないこと。
画像は「Destiny 鎌倉ものがたり」(2017 東宝=日テレ)
脚本監督:山崎貴 主演:堺雅人、高畑充希
どうにも前半が退屈でよけいなエピソードが多すぎると思ったら、後半ですべての伏線を刈りこんでみせた。やりすぎですけど。「三丁目の夕日」で、お茶碗ふたつでおむすびをつくって年配者を泣かせたように、この作品でもお茶碗に注目。エンドタイトルが始まっても席を立たないこと。
2018年2月号「就学援助。」につづく。