事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言2019年8月号PART2 学校の働き方改革その2

2019-08-30 | 受験・学校

Little Italy - Stephen Bishop

その1はこちら

「一応、勤務不要日ってことになってるからいないことにしてくれ」

4週5休だの4週6休だのという中途半端な時期に「まとめ取り」なる折衷案に翻弄されたその頃の学校では、休みであろうが職員が学校に来るのは当然のように行われていて、まとめ取りは完全に形骸化。

勤務割表なる、ほんとうに何の意味があるのかさっぱりな事務も発生して学校事務職員も気が遠くなっただけだった。お若い方々はご存じないと思うけれど、あの事務はそんな不幸な出自があり、だから初手から不良事務職員だったわたしは、勤務割表なるものへはモチベーションが上がらないことおびただしいのであった(言い訳)。

この日本教育学会では、佐久間亜紀慶応大学教授が

「子どもを包摂する業務を、これ以上減らしてはいけない。生活支援と学習支援をトータルに行う教職文化は宝だ」

と注意を促したそうだ。この発想の人がまだ主流だとすれば(少なくとも保護者の多くはそう考えている)、学校の働き方改革の道は険しいと言わざるをえない。

もっとも、佐久間教授は、だからこそ正規雇用の教員をもっと採用しろという、きわめてまっとうな考えの持ち主のようで、その意味からすれば彼女の意見は傾聴に値する。

さて、本気で改革しようと思えば、解決策はまことにシンプルなのである。

・教員の仕事を減らす

そのためには

・教員、および学校事務職員やスクールサポートスタッフなどの職員を増やす

それが嫌なら

・教職調整額を廃止して時間外勤務手当を支給する

これしかない。ちゃんとこの問題と向き合わないかぎり(聖職観をこれまでのように利用し続けるかぎり)破断のときは近づいているとつくづく。金も出さず、人も増やさずになんとかしようというのは横着ってもんでしょうよ。

本日の1曲はチャカ・カーンつながりでスティーブン・ビショップの「リトル・イタリー」。この曲が入っている「ケアレス」というアルバムは名曲ぞろいです。泣いた泣いた。

PART3「最悪のシナリオ」につづく

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「シーソーモンスター」 伊坂幸太郎著 中央公論新社

2019-08-30 | ミステリ

海族と山族という、出会ってはいけない、しかし遭遇することで軋轢が必ず起こるふたつのグループ。そしてその紛争に介入せずに見守るだけの審判……このテーマは版元が“螺旋プロジェクト”として用意したもの。多くの作家が一大サーガを完結するために時代ごとに書いている。

で、伊坂幸太郎が受け持った表題作は昭和の時代。そして次の「スピンモンスター」はその数十年後。

“お題”を設定されることは、伊坂にとってむしろ望むところだったのではないか。何を書くかよりも、どう書くかにひたすら傾注。

嫁と姑の気が合わないという普遍的なお話(笑)が、とんでもない方向に転がっていく快感は、もうわたしの家庭から過ぎ去っているからこそ楽しめるのかな。あ、実は終わってなかったりするのかな。怖いから考えるのをよそう。

そしてスピンモンスターへのつながり具合が伊坂の真骨頂。こういうことがやりたいから伊坂ワールドではレギュラー陣がかたまっているんだろうなあと納得。

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