PART33「翔ぶが如くその2」はこちら。
さあわたしが大河における最高傑作だと考えるドラマをいよいよ特集しますよ。バブルが崩壊するという、今から考えれば世の変わり目だった1991年にオンエアされたのが「太平記」だった。
熱狂しましたよ。なんて面白いんだ。精緻な脚本、意外なキャスティングのおかげもあったけれども、なにしろ題材が南北朝ですから。
まあ、わたしが高校時代に日本史を未履修だった(笑)こともあって、どうにもあの時代ってわかりにくいじゃないですか。
だいたい、平安時代から鎌倉時代への変わり目は、源平の合戦というわかりやすい一面があり、清盛、頼朝、義経らのオールスターがいる。
室町から江戸時代への過程は、戦国時代として何度も何度も大河のネタになっているのでおなじみ。信長、秀吉、家康の共演は定番だ。江戸時代から明治へは同様に(血なまぐさくはあるけれども)竜馬、西郷、大久保、桂が登場することで安心することができる。
でも南北朝はそうはいかない。大河どころか、テレビであつかうのも微妙な題材。だって皇統がからむので危なくて危なくて。
想像してみましょう。当時の天皇家は、皇位継承をめぐってふたつに分裂しており、交互に皇位を継ぐことになっていた。あまりにも不敬な例えだけれど、現代において今上と……やめよう。ほんとに危ない。
とりあえず、一方は北朝、もう一方が南朝で、現代の皇族は北朝方ということになっているんですって(すでに腰が引けている)。
その、北朝側のリーダーが足利尊氏であり、南朝側が後醍醐天皇と楠木正成という、なんかもうよくわからないけれども名前だけはバッチリな人たちだった。以下次号。