事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

学校の「当たり前」をやめた PART2

2019-09-03 | 受験・学校

Sonny Clark - Cool Struttin'

PART1はこちら

工藤氏がそれぞれ推し進めた改革について、その背後にある彼の考え方が記してあるので引用してみます。

・宿題廃止

「批判や誤解を恐れずに言えば、教員が宿題を出すのは子どもたちの『関心・意欲・態度』を測り、評価(通知表)の資料とするためではないですか。もっと私たちは専門性を発揮しないといけない」

「宿題を全廃したことで、最も喜んだのは、受験を控えた3年生の生徒たちでした。それは『負担が減って楽になったから』ではありません。自分にとって重要ではない非効率な作業から解放されたからです。」

……麹町中という伝統校だからこそできることだろう、という反駁は理解できる。学習習慣をつけることそれ自体に苦しんでいる学校の方が多いではないかと。ただ、工藤氏の主張を論破できる教員が、それではどれだけいるだろうか。

・定期テスト廃止

「一夜漬けでの学習は『テストの点数を取る』という目的においては有効ですが、学習成果を持続的に維持する上では効果的とは言えません。テストが終わったら、かなりの部分は忘れてしまうものです。そうしたプロセスを経て獲得した点数・評価は、その生徒にとっての『瞬間最大風速』にすぎず、それをもって成績をつけたり、学力が付いていると判断することは、適切な評価とは言えません。」

……痛っ。この指摘は一夜漬けオンリーだったわたしにも痛い(笑)。もちろん定期テストがなくなっただけで話は終わらず、かわりに単元テストや実力テストがその分増えている。

・固定担任制の廃止

「例えば、生徒のすべてを1人の担任に委ねることになってしまいがちなため、固定担任制では、子どもたちを保護者にとっての学級の良し悪しは、多くの場合、担任に紐づけられる傾向があります。学級の中で問題が起きれば、子どもたちや保護者は安易に担任のせいにしたり、また担任の方も自分で問題を抱え込んでしまったりする状況が生まれていきます。」以下次号

本日の1曲は、ジャケットからなにからむやみにかっこいいソニー・クラークのクール・ストラッティン。メンツがまたすごい。

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「人類最年長」島田雅彦著 文藝春秋

2019-09-03 | 本と雑誌

万延二年二月三日(1861年3月13日)に生まれたと称する男が、看護師に語る近現代史。

奥泉光は東京に語らせるという手法を採用したが、島田は“死なない”人間を主人公にもってきた。ある意味ストレート。

作家としてこんな形で歴史を語る欲求は抑えきれないに違いないのだが、この書の勘所はもうひとつ。若い頃の記憶は微細だけれども、次第に人生が駆け足になってくるあたり。

還暦が近いわたしですら実感しているのだから、159才まで生きた主人公にとってはそれはそれは……。いつまでもルックスが変わらないため、戸籍を取り替えざるをえないあたりの展開が可笑しい。

ケン・グリムウッドの「リプレイ」では、何度も人生をやり直す主人公が、前世に残してきた家族との別れになかなか対応できないあたりの描写にうなったが、この小説も多くの死に彩られている。長生きをするのって、しんどいねえ。

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