事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「隠れ教育費 」栁澤 靖明&福嶋 尚子著 太郎次郎社エディタス

2019-09-11 | 受験・学校

「本当の学校事務の話をしよう」で読者の度肝を抜いたヤナギサワが、つづいて太郎次郎社エディタスから刊行した問題作。

今回はヤナギサワ(美男)と福島尚子氏(美女)の共著という形になっている。ここはぜひともチェックしなければと付箋をつけながら読んでいたら本がやたらに緑っぽくなってしまった(緑色の付箋紙を使ってたので)。

構成は、学校における各種の費用負担の【実態】【歴史】【理念】【対策】を追っていく形になっていて、ヤナギサワが【実態】【対策】篇。福島氏が【歴史】【理念】篇を担当。

こう書くとこむずかしい本のように思われるかもしれない。でも全然そんなことはなくて、例によってヤナギサワはギャグを封印するのに苦労しているし(笑)、一気呵成に読めます。とにかく面白いのだ。

前作が学校事務を前面に押し出していたのに比べ、今度はむしろ保護者や業界全体に向けて説明する体裁になっている。というか一種のミステリのようになっているのだ。

それはどういうことかというと、ミステリの基本は5W1Hだ。

・いつ(when)

・どこで(where)

・だれが(who)

・なぜ(why)

・なにを(what)

・どうした(how)

この本において、各種の隠れ教育費(このタイトルがすでにミステリ風味)の5W1Hを名探偵たちが解明するつくりになっている。そしてこの“信用できる語り手たち”は、学校という世界の外にいる方々に説明するスタンスをとりながら、返す刀で業界人に「で、あんたたち自身はこの問題をどう考えているの?」と切っ先を向けてもいる。そのスリリングさもこの本の魅力のひとつ。

では次回からその中身をのぞいてみましょう。っていうかその前にみんなこの本を買ってくれると話は早いのでよろしくね。テストに出るぞ!

版元のサイトはこちら。

http://www.tarojiro.co.jp/product/5935/  

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ロケットマンふたたび

2019-09-11 | 洋画

Elton John - Grey Seal 1973 (With Lyrics!)

PART1はこちら

「ボヘミアン・ラプソディ」のときに驚いたのは、フレディ・マーキュリーがザンジバル出身だったりゲイだったりに激しくコンプレックスを抱いていることだった。リスナーとして、アーティストが“そんなこと”で悩んでいるなど想像もしなかった。フレディはフレディじゃん、と。

エルトンの闇はもっと深い。彼は子ども時代から父親に愛されたことがないのだ。軍人だった父は、息子をハグすることもなく、レコードコレクションに触れることも許さない。

この愛情欠乏症は、父親が新しい家庭のなかで息子たちを溺愛していることを知ってなお深刻化する。そして、お決まりのゲイ。これまたボヘミアン・ラプソディと同様にスタッフとそういうことになり、同様に裏切られる。なんかもうロックスターの定番ですか。

エルトンを演じたのは「キングスマン」のタロン・エガートン。あの映画でスウェーデンの王女様と×××セックスをしたせいできっと目覚めて……すみません冗談です。

演出は、ブライアン・シンガーが現場から放り出されたあとに「ボヘミアン・ラプソディ」を仕上げたデクスター・フレッチャー。彼はつづいてボーイ・ジョージの伝記映画を撮るんだとか。ゲイ三部作ですか。

エルトンはこの作品のなかでひたすらに作詞のバーニー・トーピンを愛し続け、そして反目する。エルトンはコンプレックスのかたまりだから(ゲイだけでなく、薄毛、ルックスなどに悩んでいたことが察せられる)詞を書くことが出来ず、そんなときに出会ったのが天才&美貌の作詞家なのだから恋い焦がれるのも無理はない。しかしバーニーはノンケだったのである。

少なからず不満だったのは、タロンは健闘しているとはいえ、やはり歌はエルトンで行ってほしかったと思う。あふれる天才が、ついに飽和点に達して「僕の歌は君の歌」ができあがるなどのエピソードももっとほしかったとつくづく。

それだとボヘミアン・ラプソディの二番煎じになっちゃう?けっこうじゃないですか。選曲も、詞でストーリーを語るというコンセプトだから仕方がないとはいえ、どうも納得できない。キキ・ディーとの「恋のデュエット」や「悲しみのバラード」は(わたしは大好きなんだけど)ストーリーに合ってたかなあ。

あ、驚いたのは母親役がブライス・ダラス・ハワードだったこと。去年の「炎の王国」でセクシーなところを見せた彼女が、一転して冷たい母親に……役者やのぉ。

曲は「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」からライブバージョンの「グレイ・シール」好き。いかにもピアニストがつくったロック。

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