ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

水生昆虫大集合

2009-02-01 07:52:36 | その他昆虫と話題
 先月下旬に誠文堂新光社から「水生昆虫大集合」という子供向けの本が発売された。ゲンゴロウ、タガメなどの水生昆虫や、幼虫時代に水生のものや水面で暮らすアメンボなどをわかりやすい解説で紹介している。ホタルについても少しだけ触れられており、ゲンジボタルの幼虫の写真は、私が提供したものである。水辺、特に池などが減少している昨今、水生昆虫もかなり減ってきている。私自身、池で泳ぐゲンゴロウは見たことがないし、タガメは30年以上前に鳥取県で見ただけである。(最近では、両種ともペットショップで売られているが・・・)彼らについて学び、環境を保全していかなければ、ホタル以上に絶滅の危険性が高い。子供向けではあるが、たいへん良い本である。

水生昆虫大集合 水辺に生きる昆虫たち
子供の科学★サイエンスブックス

著者/訳者名 築地琢郎/著
出版社名 誠文堂新光社

目次

第1章 水生昆虫の暮らす世界(水生昆虫とは 水生昆虫の種類 水辺の環境)
第2章 水生昆虫たちの姿(タガメ コオイムシ オオコオイムシ ほか)
第3章 水生昆虫の採集・飼育(基本的な採集方法 飼育方法 飼育の仕方)


クマゼミ 東京都国立市でも鳴く

2007-09-16 13:51:57 | その他昆虫と話題
 午前9時、家の直ぐ近くの松の木でクマゼミが鳴いているのを聞いた。JR中央線国立駅からおよそ400mの場所である。国立で聞くのは初めてである。勤め先の渋谷区では、5~6年くらい前から神宮前6丁目で鳴いているのを聞いているが、国立までその範囲が広がってきたのであろうか。最近では、杉並区で光ファイバーに卵を産み付け、断線するなどの被害がでている。

 そもそもクマゼミは西日本に生息するセミであるが、最近では千葉県や茨城県でも生息が確認されている。原因は、成虫が自分で飛んで生息地域を広げているのではなく、公園などの植栽と一緒に幼虫や卵が持ち込まれるという人為的なものが大きいようだ。ただ、クマゼミが定着し、繁殖し始めた背景には、都内の気温上昇が大きく関与しているようだ。国内の樹木の移動は昔から行われていたので、かなり以前から都内にもクマゼミの幼虫が持ち込まれていたはずだが、東京の冬の低温を乗り切れなかった。近年、クマゼミが都内で繁殖するようになったのは、ヒートアイランド現象や地球温暖化の影響で、幼虫や卵が冬を越せるようになったためだろうと考えられる。また、大都市を中心に、クマゼミが増殖しているのは、乾燥化や気温上昇、公園整備などで地面が固くなり、他種のセミの幼虫が地中に潜り込めなくなったのが原因だとの結果を、大阪市立大の沼田英治教授(動物生理学)らがまとめている。
 きれいに整備された公園や運動場などでクマゼミが多いのに対し、アブラゼミは、うっそうとした林や落ち葉が多い公園に目立つことから、固さを3段階に変えた地面を作り、卵からふ化したばかりの幼虫が、1時間以内に地面に潜り込む成功率を比較した。地面の固さが「普通」ではクマゼミが約8割なのに対し、ニイニイゼミやツクツクボウシが2-3割、アブラゼミは1割強。「固い」では、クマゼミの1割が成功したのに、ほかのセミは1匹も成功しなかったという。

 それにしても、国立で鳴いていたクマゼミは、成虫が飛んできたのか?羽化したものなのかは分からないが、このままいけば、東京都内もクマゼミが大増殖していくことだろう。

クマゼミに限らず、北上している昆虫は多い。ツマグロヒョウモン、ナガサキアゲハ、モンキアゲハ・・・。モンキアゲハは、30年頃前に千葉県の南房総で見られたが、今では私の実家のある千葉県鎌ヶ谷市でも普通に見られる。


ぐんま昆虫の森

2005-11-16 14:47:45 | その他昆虫と話題
先日、「日本ホタルの会」の主催で「ぐんま昆虫の森」見学会が開催された。30名ほどの参加で、親子ずれも目立った。観光バスで園に到着すると矢島稔園長が出迎えてくれた。関係者専用の通用口から入り、通常では見ることの出来ない標本室をはじめ、さまざまな施設を矢島園長の案内で見学させていただいた。安藤忠雄氏の建築もさることながら、広大な敷地は里山そのものであり、世界に希に見る昆虫園である。群馬県議会やマスコミに批判されながらも、信念を貫いて10年という歳月をかけて完成した。現在でも新聞等でたたかれているそうだが、矢島園長の夢と情熱は、すばらしいと思う。今度は、夏の季節に訪れたいと思う。別れ際に私だけ矢島園長のサイン入り図書(新刊)をいただき、感激した1日であった。
見学会の様子は、「日本ホタルの会」のホームページに載っている。

ヘラクレスオオカブト死す

2005-07-08 19:17:31 | その他昆虫と話題
ヘラクレスオオカブトのオスが急死してしまった。休眠あけから1年くらいは生きるらしいが、僅かな命だった。原因は分からない。ガラス蓋付きの桐の標本箱に入れた。メスは相変わらず元気であるが、繁殖の機会を失ってしまった。飼育は2度目で、しかも立派な成虫にすることができた。もう飼うことはないだろう。

クロアゲハの孵化

2005-05-22 21:52:23 | その他昆虫と話題
ベランダに樹高約1mほどのミカンの鉢植えがある。もう、かれこれ5,6年まえに購入したものだが、ミカンがなるのを楽しむためではなく、アゲハチョウのために買った物だ。毎年、必ずベランダのこの小さなミカンの木に産卵してくれる。今年も勿論産卵してくれた。すでに2cmほどに育った幼虫たちが今日も葉っぱを食べている。いつもアゲハチョウだけなのが、今年はクロアゲハがやってきて、5個ほど産卵していった。たまたま通りすがりだったのかもしれないが、結構嬉しいものである。5個とも孵化して2mmほどの幼虫が這い回っている。鳥に食べられないように、捕虫網の網の部分だけはずして枝ごと覆ってやった。クロアゲハの1齢幼虫は、アゲハチョウのそれと少し形態が異なっており、頭部に1対の突起がある。一ヶ月で蛹になるだろう。無事に育って欲しいものである。

ヘラクレスオオカブトムシ

2005-05-08 11:35:22 | その他昆虫と話題
ヘラクレスオオカブトのオスが羽化して約3週間がたった。今日はこれまでの特大ケースから、小さなプラスチックケースにお引っ越し。蛹室でひっくり返っているオスを取り出し、マットを敷いた小さなケースに入れると、1~2分でこれまで黒色だった上翅が特有の山吹色に変色。まさしくヘラクレス・ヘラクレス(原名亜種)。胸角は、若干曲がり気味だが、ほとんど真っ直ぐに伸びている。基部は太い。体長を測定すると133mmであった。まずまずの大きさ。これから、もう一ヶ月は休眠だろう。お休みなさい。ところでメスの方は元気いっぱいで、最近では一緒に入れてあるクヌギの小さな丸太を頭部でガリガリと削っている。ゼリーは2日で1個食べきるというペースである。

ヘラクレスオオカブト

2005-04-21 18:23:12 | その他昆虫と話題
久しぶりにオスのヘラクレスオオカブトの蛹室を覗いたところ、羽化していた。まだ上翅が赤色をしているので羽化後1~2日くらいであろう。正確に計測できないが、約13cmで羽化不全もなく完全な個体である。胸角は黒くまっすぐに伸び、頭角にはいくつもの突起がある。まさしく原種のヘラクレス・ヘラクレスである。これから約1~2ヶ月休眠時間である。ゆっく寝かせてあげよう。ところで、メスの方はゼリーを食べては寝て食べては寝ての毎日である。最初の大食漢はなくなった。去年、いや一昨年かもしれないが家にあったカブトムシゼリーを与えていたが、先日、三鷹市の奈良オオクワセンターからバナナゼリーというものを購入したので与えてみたが、まだ食べていない。子供も大喜びだが、子供よりも自分が一番喜んでいる。デジカメがないので、画像を載せられないのが残念である。

コオロギ相撲

2005-03-13 11:21:42 | その他昆虫と話題
昨日、「日本ホタルの会」主催の第8回談話会が行われた。ホタルだけではなく様々な生き物について学ぶことも大切として今回はコオロギを取り上げ、また小さな子供も参加できる内容であった。ちいさなゲージに入れられたフタホシコオロギが参加者全員に1匹ずつ配られ、まずはコオロギの戦闘意欲を高めるために細い筆のようなものでコオロギの頭をかるくなでてやる。そして、土俵となるケージに1匹ずついれた後、間の仕切を取り除くと2匹が取っ組み合いをするのである。勝った方はチリチリと鳴き、負けた方はいそいそと退散する。私の息子も参加したが、いつまでも楽しかったと言っていた。詳細は「日本ホタルの会」ホームページをご覧いただきたい。
http://www.nihon-hotaru.com/

ヘラクレスオオカブトムシ

2005-03-06 11:38:02 | その他昆虫と話題
昨年の7月に、息子にせがまれてヘラクレスオオカブトの幼虫を3匹購入し、飼育しているのだが、本日、オスの幼虫が前蛹から蛹化した。だいだい色の蛹が土繭の中で横たわっている。胸角の曲がりがほとんどない大型である。実は、1匹は死んでしまい、残りの1匹は既にメスとして羽化しており、羽化後の休眠中である。2ヶ月くらいは休眠するらしい。飼育の下調べで初めて知ったのだが、ヘラクレスオオカブトにはいくつかの亜種がいる。オーソドックスなものはヘラクレス・リッキーだが、胸角が幾分細く、湾曲している。我が家のものはヘラクレス・ヘラクレス(グアドループ産F1)という原種で、胸角が太く、真っ直ぐに伸びるものである。感動ものである。私が子供の頃は、日本のカブトムシもそうであったが、ヘラクレスといえば、夢のまた夢。あこがれであった。それを今は目の前にしている。息子以上に私が喜んでいるのである。羽化するのは、およそ一ヶ月後であろう。こうご期待。

啓蟄

2005-03-05 19:07:56 | その他昆虫と話題
今日は「啓蟄」である。啓蟄とは、暦の二十四節気のひとつで、雨水後15日めの3月5日頃に当たる。 “啓”は『ひらく』、“蟄”は『土中で冬ごもりしている虫』の意で、文字通り地中で冬ごもりしていた虫が春の到来を感じ、草木が芽吹くと同時に地上へ這い出してくるという意味である。
二十四節気(にじゅうしせっき)とは、太陽年をその黄経に従って24等分して、季節を表すのに用いる中国古来の語。太陰暦の日付と季節を一致させる為に考案されたもので、明治5年まで使用された太陰太陽暦のひとつ。等分点はそれぞれ立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨・立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑・立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降・立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒と名付けられている。 天文学的には太陽の黄経が345度になったときである。
しかし、実際に虫が這い出してくるのは、平均気温が10℃以上で地中の温度が気温を上回る様になる4月上旬過ぎである。啓蟄と言う節気は、実際の季節とかけ離れてしまっている事になる。この3月5日を旧暦で考えれば、旧暦を新暦に換算すると3月28日になる。つまり、現在の暦では、3月28日が啓蟄なのである。