今回の沖縄遠征におけるトンボの目的は、すでに掲載したリュウキュウハグロトンボ以外に、トビイロヤンマとカラスヤンマの撮影であった。トビイロヤンマは早朝と夕方のみ活動する種なので、那覇市内に予約したホテルには泊まらずにレンタカーで移動し、夜明け前(日の出は5時36分)の5時から生息地と思われる場所で探索を開始した。湿地の周りを歩いていると、多数のトンボが水路の上や低木の周りを飛び回る姿が目に入った。トビイロヤンマである。
トビイロヤンマは意外と小さいという印象。薄暗い中でも水色の複眼は確認できる。小さな虫を捕まえて食べるために、かなりのスピードで飛び回るので、カメラで捉えることは不可能である。上空を飛ぶ姿を何とか撮ったが、証拠にもならない1枚。かなり広範囲を20~30頭が飛んでいたように思われる。朝日が顔を出すころにはほとんどの個体はいなくなり、6時にはまったく飛翔しなくなった。夕方は、18時半頃から日の入り時刻を過ぎるまで飛翔するようである。
この湿地では、真っ黒な翅の大きなヤンマが滑空していた。カラスヤンマのメスである。急いでカメラを向けたがピントが合わず、それ以後はチャンスがなかった。この近くの海岸沿いの松林では、その上を群飛するらしいという情報も得たが、産卵シーンならばチャンスも多そうだと思い、清流で昼過ぎまで待機したが、この日は結局現れず撮影することはできなかった。
夜は那覇でホタルの観察と撮影をし、ホテルに宿泊。トビイロヤンマとカラスヤンマが心残りである。実はリュウキュウハグロトンボにも出会えていなかった。ただし、ホテルからポイントまで2時間以上の道のり。ホテルであれこれ考え、インターネットで別のポイントを探して、翌日はカラスヤンマとリュウキュウハグロトンボに的を絞ることにした。
密林の中を流れる渓流。到着後、早速リュウキュウハグロトンボに出会う。ただし、例によってカバンからカメラを出した途端にレンズが曇る。その後、リュウキュウハグロトンボは無事に撮影でき、渓流を下って行くと堰によって川の水が溜まった場所で、カラスヤンマが産卵中であった。(10時)ただし、カメラを向けた時には頭上高く飛び去り、大木の中へと消えてしまった。
しばらくまっていると、流れの上を行き来するトンボが見えた。カラスヤンマのオスである。ホバリングはしない。10mくらいの範囲を行ったり来たり探雌&パトロール飛翔しているのである。15分ほど経つと頭上の木々の中へと消えていった。その後12時過ぎに2頭のオスが、再び飛翔し始めた。メスも来るに違いない。メスが来るまでの間、置きピンでオスの飛翔を撮影。数十枚撮ったがすべてピンボケ。かろうじて種類が分かる程度の3枚を以下に掲載した。メスは結局現れず、蒸し暑さからの体力の限界も近く、仕方なく諦めて帰ることにした。
トンボの撮影に2日間かけたが、これまでに紹介した種の他に、ハラボソトンボ、アオビタイトンボなども撮影し、写真には撮れなかったが、オオキイロトンボのタンデム飛翔も見た。以下に掲載した写真の中には初見初撮影の種もあるが、証拠にもならない程度のものばかりであるから、自身の「撮影済み昆虫リスト」には加えない事とした。
今回はカラスヤンマ探索に多くの時間を割いたため、トゲオトンボやイトトンボ類など沖縄にしかいないにも関わらず出会えなかった種も多い。初めての沖縄において、正確な情報もないまま自身の勘を頼りに探索をしたが、一週間くらい滞在しないとすべての目標は達成できないように思う。今回は多くの事を学んだので、来年また絶対に再訪し、多くの種を奇麗な写真に収めたいと思う。
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。
トビイロヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.0 1/400秒 ISO 200(撮影地:沖縄県 2022.6.23 6:02)
カラスヤンマ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / シャッタースピード優先AE F2.8 1/640秒 ISO 1000(撮影地:沖縄県 2022.6.24 12:08)
カラスヤンマ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / シャッタースピード優先AE F2.8 1/640秒 ISO 800(撮影地:沖縄県 2022.6.24 12:09)
カラスヤンマ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / シャッタースピード優先AE F2.8 1/640秒 ISO 500(撮影地:沖縄県 2022.6.24 12:09)
ハラボソトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.0 1/400秒 ISO 2500(撮影地:沖縄県 2022.6.23 5:49)
アオビタイトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影地:沖縄県 2022.6.23 9:06)
ショウジョウトンボ沖縄個体群
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 1000 +2/3EV(撮影地:沖縄県 2022.6.23 8:58)
ショウジョウトンボ沖縄個体群
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 1000 +2/3EV(撮影地:沖縄県 2022.6.23 8:58)
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2022 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます