「痾」麻耶雄嵩
何だろうこの収まりの悪さは。主人公は煉獄の中のまま(再読)。
「あいにくの雨で」麻耶雄嵩
正解が出てもやりきれなさだけが残る。この作者のデビュー作が”バカ”トリック
で凄い爽快感があって大好きだったのだが、それ以降はもやもやしているな(再読)。
「SPEED GRAPHER3」仁木稔
人々が欲望のままに変化して、襲いかかってくる。それだけ。
美意識も何もない。
「ねじの回転」恩田陸
うーん、多分凄く面白い話なんだろうけど・・・
正直に言うと歴史改変ものは、昔嫌と言うほど読んだので、今更どんな作品に出会っても驚くことはないのだろう。
「試験に出ないパズル」高田崇史
絶対こんなパズルみたいな状況ありえねえよ、っていうのを狙ってるからな。明るく楽しい。こういう作品もぜひあるべき。
何だろうこの収まりの悪さは。主人公は煉獄の中のまま(再読)。
「あいにくの雨で」麻耶雄嵩
正解が出てもやりきれなさだけが残る。この作者のデビュー作が”バカ”トリック
で凄い爽快感があって大好きだったのだが、それ以降はもやもやしているな(再読)。
「SPEED GRAPHER3」仁木稔
人々が欲望のままに変化して、襲いかかってくる。それだけ。
美意識も何もない。
「ねじの回転」恩田陸
うーん、多分凄く面白い話なんだろうけど・・・
正直に言うと歴史改変ものは、昔嫌と言うほど読んだので、今更どんな作品に出会っても驚くことはないのだろう。
「試験に出ないパズル」高田崇史
絶対こんなパズルみたいな状況ありえねえよ、っていうのを狙ってるからな。明るく楽しい。こういう作品もぜひあるべき。
3日目。本日は美術館めぐり。
朝食は上野駅でカレー蕎麦。蕎麦のコシも何も無いぐだぐだ加減だが、カレーの入ったつゆは酒びたりの体にしみ渡る。
東京都美術館の「プーシキン美術館展」へ。
開館の9時ちょっと前に行けば大丈夫と踏んでいたのだが、ついた時点で既に地下の入口から地上まで大行列。先が見えないがどう考えても100人以上の行列だろう。明日が最終日という日取りがまずかったか・・・
開場と共に突入し、いきなり混みだす入口付近を飛ばして、人のいない中盤から見ることにする。いつも思うのだが、主催者挨拶やら、画の解説を読むことに一番時間をかけ、画そのものをあまり見ない人たちは何をしに来ているのだろうか。
総評としては、印象派は足早に通り過ぎながら見ると腰砕けでつまらないがじっくり見ると結構良いものもある。それからゴッホはどこまで行ってもゴッホである。それからドガのセンスのよさ再認識というところか。マティスの「金魚」が目玉のようだが、あまりピンとは来なかった。個別には、以下の画が気になった。
「写真スタジオでポーズする踊り子」ドガ:センス素晴らしい。
踊り子の画はつまらないと勝手に思い込んでいたが、実物を見て印象が一変した。大きなガラス窓、背景の建物、気持ちよい画だ。
「サン=トロペの松の木」シニャック:リズミカルな点描が心地よい。点描で描かれた空が非常に印象的だ。
「刑務所の中庭」ゴッホ:元は誰かの版画で、それを模写したらしいが、出口の無い陰鬱さはゴッホと言うしかない。
「母の接吻」ウジェーヌ・カリエール:一番印象深い。母娘の愛情を描いたと言うが、幽霊とも見まがうモノクロームっぽい不思議な画。
「道化役者」エドゥアール・マネ:7色刷りで派手なのに垢抜けしている。
「毛皮の帽子をかぶった女」ポール=セザール・エルー:女性が美しく柔らかいタッチで描かれている。繊細。
「小川」モーリス・ド・ヴラマンク:小川と言いつつ嵐を思わせるタッチで、「おお、ヴラマンク!」と見た瞬間に思う。
「女王イザボー」パブロ・ピカソ:ピカソには殆ど興味がないのだが、この画は人間の内面性まで表現されているようで、印象に残る。
思ったより早く見終わったため、三井記念美術館の「美の伝統 三井家伝世の名宝」展へ。
さすがに三井、美術館そのものの重厚感に驚く。出品されているものも秀吉、光秀、加藤清正由来だったりして、さぞかし昔から商売してますなー、という感じだ。出品されたものの中で印象に残ったものは、以下。
「中興名物 玳皮盞 鸞天目」藍と赤の混じった微妙な色加減と、内側に鳳凰の模様が入った茶碗。日本製では2点しかない国宝の茶碗「志野茶碗 銘卯花墻」よりこっちの方が好み。
「日月松鶴図屏風」2双とも松と鶴、片方には日、片方には月が描かれているのだが、微妙にシンクロしつつわずかに変化をつけたデザインが素晴らしい。
「四君子蒔絵鞘小さ刀拵」四君子とは梅・竹・蘭・菊のことらしいが、蒔絵や金具にこれらの植物を配した、刀の鞘である。マニア心をそそる精密細工で、非常に欲しくなる一品。
これまで東京国立博物館でも日本刀はさっと見る程度で興味がなかったのだが、こうして絞った点数でじっくり見ると、中々に面白いものである。どちらかというと刀身よりは、鞘などの細工の方に目が行くが。
ここで、鑑賞を一時中断し、一度行ってみたかった赤羽へ。赤羽で酒・飲み屋とくれば名前の出る、2大名店「I」「M」へ行くのである。まずは、午前7時から開いている酒飲み天国「I」へ。ここは最近流行の立ち飲みではなく、まさにオヤジのための立ち飲みである。カウンターに場所を確保したが、明らかに私が一番若い。
レモンサワーともつ煮込みを注文。この店のつまみは110円と220円が基本、実にありがたい価格設定だ。煮込みはさすがに量は少なめだが、相当柔らかく煮込まれたもつが入っておりなかなか立派なものである。ボリュームが多ければ色々なものを頼めないと考えれば、一人客には量が少ないのもメリットに見えてくる。
続いてハイボールとガツ刺し(メニューにはガッツ刺しと書いてある)を注文。ここのハイボールは焼酎+炭酸だ。ウィスキーの場合はウィスキーハイボールと注文しなければならないようである。ガッツ刺しは刺しとは言ってもボイルしたガツを酢みそで食べるもの。これも量少なめながら焼酎には合う。
周囲のオッサンたちは競馬の話をしたり、思い思いに楽しんでいる。若いネーチャンが来る立ち飲みやではこうはならないだろう。店主は大忙しで酒や料理をだしつつ、「これ1杯3800円の大吟醸なんだけど誰か飲まない」などと無理な誘いをかけている。そんなのに金を払う人間がこの店に来るだろうか・・・。ある客は「悪いねえ、300円の酒!」と言って周りを爆笑させていた。店主は「じゃあ料理2品つけて4000円でどう?」とさらに無理な営業活動を続けていたが、私はこの辺で切り上げることにした。
行きたかったもう一軒が朝9時開店、川魚料理が名物の「M」である。
8割程度の混み具合で活気あふれるカウンターの端っこに座ることができた。まず、黒ビールと名物鯉のあらいを注文。生まれて初めて食べる鯉だが、洗いにしてあるせいか非常に淡白でくせが無い。ちょうど良いコリコリした歯ざわりと濃い目の酢みそ味である。
なるべく名物っぽいものを、と次に鰻かぶと焼を注文。鰻の頭が五個×2串で200円。かすかに骨っぽさが感じられるが、サクサクした歯ごたえに山椒の香・コッテリしたタレが旨い。
この店は中央に司令塔のおかみさん、カウンター内を縦横無尽に動き回るおねえさん達の動きが素晴らしく、ちょっと声をかければ気持ちの良い反応で素晴らしく落ち着ける店だ。
最後に常温の酒とエビステーキカツという謎の食べ物を注文した。これはエビと魚すり身を四角に整形してフライにしたものであった。普通のソースを出してくれるだけでなく、タルタルソースがついているのも偉い。熱々のフライを食べて終了。
(他にもなまずフライ、すっぽん鍋・煮凝りなど興味深いメニューが目白押しであった)
いずれも流石に有名になるだけのことはある店だった。使った金額はIで690円、Mで1750円。このお得感も得がたいものがある。すっかり私は赤羽が好きになった。
少々酔いつつも東急Bunkamura「スコットランド国立美術館展」へ。
好きなタイプの画が多く、行って良かった。
こちらで印象に残ったものは、以下。
「アスパラガスのある静物」フランソワ・ボンヴァン:土の匂いがするようなアスパラガスの画。質実剛健。
「峡谷の川」ギュスターブ・クールベ:札幌で見たどの作品よりも深い緑が印象深い。
「開演前」エドガー・ドガ:ドガ再発見2作目。こちらは赤やオレンジが使われカラフルだが、やはりセンス良し。
「積み藁、雪の効果」クロード・モネ:モネはこういう画も描くのか。青く積もった雪が綺麗。
「《水浴》のための習作」ジョルジュ・スーラ:点描じゃないスーラ作品は珍しいのかな。ポイントがビシッと押さえてある感じ。
「優しき目は常に変わらず」ジョン・エヴァレット・ミレイ:ミレイがモデルを理想化して描いたそうだが、それで良いのよ。そんな理想的な人なんかいませんと言われても。この画の女性をちょっと好きになったかも知れない(酔ってるな、私)。
「青白い光」デイヴィッド・ヤング・キャメロン:青い湖が幻想的。
見終わってから周辺をふらふらしていると、「松濤美術館」の案内があるので行ってみることにした。やっていたのは「幻想のコレクション芝川照吉」展である。
このオッサンが誰だか知らなかったが、毛織物貿易で金持ちになり、いろいろな美術家を支援したパトロンらしい。
青木繁「女の顔」や、どことなく「道路と土手と塀」を思わせる岸田劉生の「道と電信柱」「代々木付近」など、今年何点か見ることのできた人の作品を駄目押しで見て満足。素晴らしいコレクションを持っていたが関東大震災で散逸してしまったらしい。一体どれだけのものがあったのか、想像するだけで見たくなる展覧会であった。
以上で新橋へ移動。
新橋の立ち飲み「U」へ。この店は料理が旨く、何回か来たことがある。まず、尾瀬の雪解け本醸造とハゼ天ぷらを注文。店長が「天ぷら時間かかりますよ」と言う。この方、口調は強いが、裏のない話しっぷりなので、感じが悪くならない。活〆アイナメ薄造りを先に出してもらって待つことにした。アイナメはポン酢で食べるのだが、この刺身がまた旨い。アラの厚切りも味があったが、これもフグを超えるかもしれない味わいだ。
常連が徐々に集まってきて各々注文。刺身ではサザエ刺し・アジなめろうがお勧めらしいのだが「いやあ、手がかかるなあ」と店主が自爆するお勧めメニューである。私の注文したハゼ天ぷらは人気のようで、あちこちから「俺もハゼ」「こっちも」と声が上がり、ついにオーバフロー・・・
実は隣に同じ経営の居酒屋「U」があるのだが、そこからミャンマー出身のAさんをヘルプで呼ぶことになった。店長はヘロヘロで「ハゼ5人前。順番はこちらさん、それからこっち、次は○○さん、それから・・・」と指示して、引き続き刺身作りを続ける。
Aさんはキャリアも長いしっかりした人で、やっと私のハゼ天ぷらが到着した。5匹盛りで、一口食べると白い身はホクホク、やっぱりハゼは天ぷら向きの魚である。塩で食べ、天つゆで食べ、すっかり満足。店長が「これに懲りずにまた来てください」と鋭い目で見送ってくれた。
最後はやはりバー。
歩いて浜松町方面にある「G」へ。最初は飲み物+おつまみセットというのがあり、この中からレダイグ1979年(19年もの)と、なな福のローストポークを選んだ。スカイ島、ジュラ島など色々な島ものモルトがあるが、マル島のレダイグは初めてである。程よいバランスと癖のある味がちょうど良い。
ローストポークはよく味がしみていて、歯ごたえもさっくり。これはピッタリだ。
続いてカクテル。
まずはアクアビットで、とお願いすると、アクアビット+グランマルニエ+ライムのカクテルが登場した。なるほど、甘みと酸味を加えるのが一番バランスが良いようだ。次にカンパリのカクテル。カンパリ+マーゲントロプフェン+オレンジ+ライムのカクテルはフルーツの中にも薬草味が感じられ、じっくり飲める味だ。つい機嫌が良くなって最後にマティーニ。自分では絶好調のようだが、多分ベロベロに酔っているのだろう。
空港で飛行機のチケットが見つからなくなったり、酔っ払い状態のまま札幌へ。後は交通機関におまかせだったのだが、新千歳空港の除雪のため着陸一時間待ち。到着するとJR最終はとっくに出ており、バスに揺られること2時間。家に到着したのは午前1時を回っていた。明日は日曜日で良かった・・・
朝食は上野駅でカレー蕎麦。蕎麦のコシも何も無いぐだぐだ加減だが、カレーの入ったつゆは酒びたりの体にしみ渡る。
東京都美術館の「プーシキン美術館展」へ。
開館の9時ちょっと前に行けば大丈夫と踏んでいたのだが、ついた時点で既に地下の入口から地上まで大行列。先が見えないがどう考えても100人以上の行列だろう。明日が最終日という日取りがまずかったか・・・
開場と共に突入し、いきなり混みだす入口付近を飛ばして、人のいない中盤から見ることにする。いつも思うのだが、主催者挨拶やら、画の解説を読むことに一番時間をかけ、画そのものをあまり見ない人たちは何をしに来ているのだろうか。
総評としては、印象派は足早に通り過ぎながら見ると腰砕けでつまらないがじっくり見ると結構良いものもある。それからゴッホはどこまで行ってもゴッホである。それからドガのセンスのよさ再認識というところか。マティスの「金魚」が目玉のようだが、あまりピンとは来なかった。個別には、以下の画が気になった。
「写真スタジオでポーズする踊り子」ドガ:センス素晴らしい。
踊り子の画はつまらないと勝手に思い込んでいたが、実物を見て印象が一変した。大きなガラス窓、背景の建物、気持ちよい画だ。
「サン=トロペの松の木」シニャック:リズミカルな点描が心地よい。点描で描かれた空が非常に印象的だ。
「刑務所の中庭」ゴッホ:元は誰かの版画で、それを模写したらしいが、出口の無い陰鬱さはゴッホと言うしかない。
「母の接吻」ウジェーヌ・カリエール:一番印象深い。母娘の愛情を描いたと言うが、幽霊とも見まがうモノクロームっぽい不思議な画。
「道化役者」エドゥアール・マネ:7色刷りで派手なのに垢抜けしている。
「毛皮の帽子をかぶった女」ポール=セザール・エルー:女性が美しく柔らかいタッチで描かれている。繊細。
「小川」モーリス・ド・ヴラマンク:小川と言いつつ嵐を思わせるタッチで、「おお、ヴラマンク!」と見た瞬間に思う。
「女王イザボー」パブロ・ピカソ:ピカソには殆ど興味がないのだが、この画は人間の内面性まで表現されているようで、印象に残る。
思ったより早く見終わったため、三井記念美術館の「美の伝統 三井家伝世の名宝」展へ。
さすがに三井、美術館そのものの重厚感に驚く。出品されているものも秀吉、光秀、加藤清正由来だったりして、さぞかし昔から商売してますなー、という感じだ。出品されたものの中で印象に残ったものは、以下。
「中興名物 玳皮盞 鸞天目」藍と赤の混じった微妙な色加減と、内側に鳳凰の模様が入った茶碗。日本製では2点しかない国宝の茶碗「志野茶碗 銘卯花墻」よりこっちの方が好み。
「日月松鶴図屏風」2双とも松と鶴、片方には日、片方には月が描かれているのだが、微妙にシンクロしつつわずかに変化をつけたデザインが素晴らしい。
「四君子蒔絵鞘小さ刀拵」四君子とは梅・竹・蘭・菊のことらしいが、蒔絵や金具にこれらの植物を配した、刀の鞘である。マニア心をそそる精密細工で、非常に欲しくなる一品。
これまで東京国立博物館でも日本刀はさっと見る程度で興味がなかったのだが、こうして絞った点数でじっくり見ると、中々に面白いものである。どちらかというと刀身よりは、鞘などの細工の方に目が行くが。
ここで、鑑賞を一時中断し、一度行ってみたかった赤羽へ。赤羽で酒・飲み屋とくれば名前の出る、2大名店「I」「M」へ行くのである。まずは、午前7時から開いている酒飲み天国「I」へ。ここは最近流行の立ち飲みではなく、まさにオヤジのための立ち飲みである。カウンターに場所を確保したが、明らかに私が一番若い。
レモンサワーともつ煮込みを注文。この店のつまみは110円と220円が基本、実にありがたい価格設定だ。煮込みはさすがに量は少なめだが、相当柔らかく煮込まれたもつが入っておりなかなか立派なものである。ボリュームが多ければ色々なものを頼めないと考えれば、一人客には量が少ないのもメリットに見えてくる。
続いてハイボールとガツ刺し(メニューにはガッツ刺しと書いてある)を注文。ここのハイボールは焼酎+炭酸だ。ウィスキーの場合はウィスキーハイボールと注文しなければならないようである。ガッツ刺しは刺しとは言ってもボイルしたガツを酢みそで食べるもの。これも量少なめながら焼酎には合う。
周囲のオッサンたちは競馬の話をしたり、思い思いに楽しんでいる。若いネーチャンが来る立ち飲みやではこうはならないだろう。店主は大忙しで酒や料理をだしつつ、「これ1杯3800円の大吟醸なんだけど誰か飲まない」などと無理な誘いをかけている。そんなのに金を払う人間がこの店に来るだろうか・・・。ある客は「悪いねえ、300円の酒!」と言って周りを爆笑させていた。店主は「じゃあ料理2品つけて4000円でどう?」とさらに無理な営業活動を続けていたが、私はこの辺で切り上げることにした。
行きたかったもう一軒が朝9時開店、川魚料理が名物の「M」である。
8割程度の混み具合で活気あふれるカウンターの端っこに座ることができた。まず、黒ビールと名物鯉のあらいを注文。生まれて初めて食べる鯉だが、洗いにしてあるせいか非常に淡白でくせが無い。ちょうど良いコリコリした歯ざわりと濃い目の酢みそ味である。
なるべく名物っぽいものを、と次に鰻かぶと焼を注文。鰻の頭が五個×2串で200円。かすかに骨っぽさが感じられるが、サクサクした歯ごたえに山椒の香・コッテリしたタレが旨い。
この店は中央に司令塔のおかみさん、カウンター内を縦横無尽に動き回るおねえさん達の動きが素晴らしく、ちょっと声をかければ気持ちの良い反応で素晴らしく落ち着ける店だ。
最後に常温の酒とエビステーキカツという謎の食べ物を注文した。これはエビと魚すり身を四角に整形してフライにしたものであった。普通のソースを出してくれるだけでなく、タルタルソースがついているのも偉い。熱々のフライを食べて終了。
(他にもなまずフライ、すっぽん鍋・煮凝りなど興味深いメニューが目白押しであった)
いずれも流石に有名になるだけのことはある店だった。使った金額はIで690円、Mで1750円。このお得感も得がたいものがある。すっかり私は赤羽が好きになった。
少々酔いつつも東急Bunkamura「スコットランド国立美術館展」へ。
好きなタイプの画が多く、行って良かった。
こちらで印象に残ったものは、以下。
「アスパラガスのある静物」フランソワ・ボンヴァン:土の匂いがするようなアスパラガスの画。質実剛健。
「峡谷の川」ギュスターブ・クールベ:札幌で見たどの作品よりも深い緑が印象深い。
「開演前」エドガー・ドガ:ドガ再発見2作目。こちらは赤やオレンジが使われカラフルだが、やはりセンス良し。
「積み藁、雪の効果」クロード・モネ:モネはこういう画も描くのか。青く積もった雪が綺麗。
「《水浴》のための習作」ジョルジュ・スーラ:点描じゃないスーラ作品は珍しいのかな。ポイントがビシッと押さえてある感じ。
「優しき目は常に変わらず」ジョン・エヴァレット・ミレイ:ミレイがモデルを理想化して描いたそうだが、それで良いのよ。そんな理想的な人なんかいませんと言われても。この画の女性をちょっと好きになったかも知れない(酔ってるな、私)。
「青白い光」デイヴィッド・ヤング・キャメロン:青い湖が幻想的。
見終わってから周辺をふらふらしていると、「松濤美術館」の案内があるので行ってみることにした。やっていたのは「幻想のコレクション芝川照吉」展である。
このオッサンが誰だか知らなかったが、毛織物貿易で金持ちになり、いろいろな美術家を支援したパトロンらしい。
青木繁「女の顔」や、どことなく「道路と土手と塀」を思わせる岸田劉生の「道と電信柱」「代々木付近」など、今年何点か見ることのできた人の作品を駄目押しで見て満足。素晴らしいコレクションを持っていたが関東大震災で散逸してしまったらしい。一体どれだけのものがあったのか、想像するだけで見たくなる展覧会であった。
以上で新橋へ移動。
新橋の立ち飲み「U」へ。この店は料理が旨く、何回か来たことがある。まず、尾瀬の雪解け本醸造とハゼ天ぷらを注文。店長が「天ぷら時間かかりますよ」と言う。この方、口調は強いが、裏のない話しっぷりなので、感じが悪くならない。活〆アイナメ薄造りを先に出してもらって待つことにした。アイナメはポン酢で食べるのだが、この刺身がまた旨い。アラの厚切りも味があったが、これもフグを超えるかもしれない味わいだ。
常連が徐々に集まってきて各々注文。刺身ではサザエ刺し・アジなめろうがお勧めらしいのだが「いやあ、手がかかるなあ」と店主が自爆するお勧めメニューである。私の注文したハゼ天ぷらは人気のようで、あちこちから「俺もハゼ」「こっちも」と声が上がり、ついにオーバフロー・・・
実は隣に同じ経営の居酒屋「U」があるのだが、そこからミャンマー出身のAさんをヘルプで呼ぶことになった。店長はヘロヘロで「ハゼ5人前。順番はこちらさん、それからこっち、次は○○さん、それから・・・」と指示して、引き続き刺身作りを続ける。
Aさんはキャリアも長いしっかりした人で、やっと私のハゼ天ぷらが到着した。5匹盛りで、一口食べると白い身はホクホク、やっぱりハゼは天ぷら向きの魚である。塩で食べ、天つゆで食べ、すっかり満足。店長が「これに懲りずにまた来てください」と鋭い目で見送ってくれた。
最後はやはりバー。
歩いて浜松町方面にある「G」へ。最初は飲み物+おつまみセットというのがあり、この中からレダイグ1979年(19年もの)と、なな福のローストポークを選んだ。スカイ島、ジュラ島など色々な島ものモルトがあるが、マル島のレダイグは初めてである。程よいバランスと癖のある味がちょうど良い。
ローストポークはよく味がしみていて、歯ごたえもさっくり。これはピッタリだ。
続いてカクテル。
まずはアクアビットで、とお願いすると、アクアビット+グランマルニエ+ライムのカクテルが登場した。なるほど、甘みと酸味を加えるのが一番バランスが良いようだ。次にカンパリのカクテル。カンパリ+マーゲントロプフェン+オレンジ+ライムのカクテルはフルーツの中にも薬草味が感じられ、じっくり飲める味だ。つい機嫌が良くなって最後にマティーニ。自分では絶好調のようだが、多分ベロベロに酔っているのだろう。
空港で飛行機のチケットが見つからなくなったり、酔っ払い状態のまま札幌へ。後は交通機関におまかせだったのだが、新千歳空港の除雪のため着陸一時間待ち。到着するとJR最終はとっくに出ており、バスに揺られること2時間。家に到着したのは午前1時を回っていた。明日は日曜日で良かった・・・