散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

京都紀行(5)

2007年05月19日 22時55分14秒 | 旅日記
2日目そろそろ夕方。

夕方まで時間があり、ローカルな感じの古河町商店街へ。鯛カブトが大量に売っていたり、肉屋のオヤジさんに「コロッケあるよ」と声をかけられたが、残念ながら空腹ではなかった。不思議なほど行列している鞄屋さんを経て、居酒屋「A」へ。

京都で有名な「A」であるが、残念ながら17時半についたときには既に満員であった。来る前に雑誌で読んだ記事を思い出し、割と近くにある「TS」へ。まだ空に明るさの残る時間帯であったが、既にカウンターには数人の客がおり、奥のテーブルに着席した。



実は少々二日酔いであり、最初の一杯はピコンパンチ。ロングカクテルで飲み易いであろうという思いと、ピコンの薬草効果を期待してのことである。予想通り胃に優しいカクテルを飲みつつ、突き出しの白身魚のパテを食べる。この店の食べ物が旨そうな予感を感じつつ、オードブル盛り合わせを注文。到着したのはスモークサーモン、生ハム、鴨である。割とありきたりであるが、旨いことは間違いない。



続いて「あまりドライでなく」とマティーニを注文。「これならどうですか。甘めに作りました」というマティーニは、確かにドライではないもののかなりのハードさである。次はムール貝トマトソース煮と赤ワインを注文した。ニンニク味が効きつつ、トマトソースも爽やかなムール貝が美味しく、パクパク食べつつさっぱりした赤ワインも飲み干す。



「大人の遊び場」という言葉がピッタリなバーであった。ある程度食べるものを食べたので、「A」は諦めて、バー「K」へ。今日の京都はかなり涼しく、私以外に半袖で歩いている人はいない。階段を昇り店内へ。



疲労感を感じて最初は甘めのチェリーブロッサムを注文。次にまたあまりドライでないマティーニをお願いした。「今日はどちらに」というバーテンダー氏の誘い水に、札幌からはるばる伊藤若冲を見に来た話をする。バーテンダー氏もバーで結構話題になるせいか、若冲を明日見に行くらしい。とても混雑することをレクチャーしておいた。

レバパテ、ピクルスなどのつまみにちょうど良いメニューを頼みつつ、三杯目に苦いカクテルをバーテンダー氏にお願いしたところ、シェリー+苦味のあるベルモットのカクテルが到着。それをゆっくり飲み、最後にジャックローズで締めることにした。「生のグレナディンが無いもので」とシロップ入りのジャックローズであるが、この店のは旨い。味はもちろん、カクテルを作成しているカウンターに下からピンポイントでライトが当たるという趣向があるのだ。このライトの中で作っている最中のカクテルは、通常以上に美味しく見える。

【バーKのトイレにはミニボトルの飾りがあった】


アルコール度数の強いカクテルを結構飲んだ。今日はこの辺でホテルへ(28178歩)。

京都紀行(4)

2007年05月19日 16時25分12秒 | 旅日記
2日目午後

京都市勧業館へ。京都の伝統工芸(京友禅、西陣など)を紹介するための超豪華施設である。まず貸しギャラリーで「京画水彩展」「楽々波回水墨画展」を見て、次に日図デザイン博物館のデザイン画を見学。それから伝統工芸館をさっと流し見る。途中で特別企画「輪島漆芸秀作展」をやっており、あまり興味がなかったのだが見てみることにしてみた。

まず、漆塗りのソファーがあり会場のオジサンが「どうぞ」と座らせてくれる。瑕をつけそうで不安になるようなできばえで、値段が500万円・・・。加賀空港の貴賓室においてあるような品物だということだ。後、驚いたのが通称「彦根屏風」を漆塗りで再現したものが、価格5000万円・・・。まあ、値段の高い品はともかく、漆器でも見ただけで美しさが分かるものがあることが良く分かり、良い経験であった。

さあ、次は京都市美術館別館「青塔社展」。グループ展ながら、各自の個性が伝わってくるようで、水準は高いと思う。京都市美術館では「日本アンデパンダン展」へ。



さすがにメッセージ色の強い作品が多いような気がする。かつては佐藤忠良、いわさきちひろ、本郷新、福沢一郎も出展していたらしい。

京都国立近代美術館では「福田平八郎展」はとばして(ちょっと作風に興味がない)、常設展を見る。



■「春霞」西山翠嶂:艶かしい天女にドキッ!


■「髪を梳く婦人」エドガー・ドガ:小品だけれども落ち着く。


■「夜明け、夜でも昼でもなく」ザオ・ウーキー:暗い抽象画。筆のタッチが前衛書道にも似ている。
■「曠野」里見勝蔵:こりゃまたヴラマンクチックな作品。


■「北白川幻想」三尾公三:青い背景に白いミシンと手首の描かれた静かに神秘的な作品。
■「赤い土の上の出来事」:火星風景を思わせる細密描写が気に入った。

以上で美術館巡りは終了。他にも展覧会をやっているのだが、どこでもやっているようなものよりも、京都に来たならではのものを見たい。どうやらこの近辺はギャラリーの多い地域らしく、歩いているうちにまず「星野画廊」という画廊を発見。小ぢんまりサイズの「わだつみのこえ」本郷新、ピンクフロイドの「原子心母」ジャケットを思い出させる鹿子木孟郎の「放牧」など良い作品があった。

さらに「GALLERYはねうさぎ」へ。2室あり、どちらも若い女性の個展である。「窓花個展 感情論」は増殖するニョロニョロ(byムーミン)のような物体を大量に描き、彩色した作品。「大谷かほる展」は綿などの柔らかい素材にスタンプしたような版画展。なるほど、京都ならではという感じでもないが見ることができてよかった。

もひとつ「ギャラリーたづ」で石本正の花の画(この人、舞妓さんを描くと凄いのだが)、堂本印象の作品を見る。それから「アートスペース884」で「彩々展」というグループ写真展。これは京都ならではの素材も多く作品になっている。

京都紀行(3)

2007年05月19日 13時06分15秒 | 旅日記
2日目午前
かなり早く起きて、ホテルの朝食バイキングへ。今日は洋風主体で行ってみた。



美術館の開く前に京都タワー観光。エレベータで展望台に上る。京都タワーの展望台は中が2層になった楕円体の上の部分から入り、下の部分に抜けてからエレベータで地上に戻る。精神的なものであるのだが、楕円体の下の部分にいると足元がスカスカするような感じで落ち着かない。軽度の高所恐怖症である私はそそくさと地上に降りた。



【京都タワーのキャラクター「たわわちゃん」・・・どうよ】


さあ、今回のメインテーマ相国寺「伊藤若冲展」へ出発だ。会場に近づくにつれ段々人が増えてきて、最終的に美術館の建物の周りから大行列となった。





ほぼ建物の周りを1周し、いいだけ歩いてから館内に入る。しかし、第一室の最初は伊藤若冲像(久保田米僊)から始まり、中々時間がかかりそうだ。途中で痺れを切らして「動植綵絵を見に来たのだ!」と決然と第2室へと移動することにした。

そうまでして来た第2室だが、もはや大混雑。それでもまだましに見える後半部分から見ることにした。こちらは何とか最前列に入ることができ、じわじわ進む。幸い若冲の画は見るのに時間がかかるので、ゆっくり動くのは望む所である。前に三の丸尚蔵館で鶏の図はかなり見たので、それ以外のものがやはり目に付く。

■老松孔雀図:孔雀の孤高ともいえる姿から気品が漂う。
■老松白鳳図:こちらもまた白色の翼の輝きが素晴らしい。
■蓮池遊魚図:水中というより空中を泳ぐ魚たち。なぜか一匹違う種類の魚が可愛い。
■秋塘軍雀図:デザインパターンとも思えるような奇妙な雀たち。
■雪中鴛鴦図:鴛鴦もさることながら、この奇妙な枝ぶりと輝く雪は何だろうか。
■雪中錦鶏図:こちらは極彩色の錦鶏に、粘りつくような謎の雪。
■老松鸚鵡図:鸚鵡に「一体何を考えているのですか?」と問いかけてみたくなるような表情。
■芦雁図:これが今回の私のナンバーワン。氷の張る水面に向けて、急降下してくる雁の姿。激突するのか着水できるのか、緊張感が走る。
■薔薇小禽図、桃花小禽図:まさに花の過剰・過剰・過剰。
■池辺郡虫図:カエル大集合。
■貝甲図:貝大集合。
■群魚図:お魚大集合。

最後は少々いい加減な紹介になってしまったが、とにかく若冲の情熱あふれすぎて、現代にまで過剰に届く動植綵絵であった。

会場の前半部分はより一層の大混雑で、あまりの行列の動かなさにどんどん割り込みが発生し、その結果さらに人が動けなくなるという悪循環。会場の警備員の仕切りが悪いせいもあり、ラッシュ状態(札幌の地下鉄は通勤時間帯でもここまで込まない)での観覧はひどく疲れた。

燃え尽きて外へ。四条河原町に戻り錦市場散策。京都らしいものとしては、鱧、実山椒、ぐじ、生姜天ぷら(関西圏?)、鯛の子(生も煮たのもあり)、鯉・イサザ(琵琶湖の川魚?)、ひやしあめなどがあり、やはり面白い。



ひとしきり市場を眺めてから、新京極の「SS」で早めの昼食を取ることにした。昼から酒を飲む人の集う有名店であるが、あまりまだ客がいない。細長楕円形カウンターの片側に座り、スタウトとビフカツ(関西ならではの味だ)。





スタウトは通常黒ビールよりも濃厚甘めの苦い味。ビフカツは手のひら大2枚のボリュームで、衣がやや厚いため(値段を考えるとやむなしか)腹一杯になった。