散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

辛い

2007年12月30日 23時38分28秒 | 食べ歩き
ライブドローイングを見終わって、琴似に移動。中華料理「R」へ初めて行って見る。中は結構広く、テーブルの一角にすわり紹興酒を注文。前菜はザーサイとくらげの酢の物。基本形だがなかなかいける。



まずは、小龍包、鶏のパリパリ揚げ、海鮮おこげを注文。小龍包はむっちりとした皮が美味しい。内部のスープは少なめかな。鶏のパリパリ揚げはそんなに皮がパリッとしている訳でもないが、むしろこの方が美味い。下味がよい感じについており、肉が柔らかい。もう、バリバリ食べてしまう。



海鮮おこげは熱々のところをサクッと食べる。あんの部分が美味しく、皿に残るのがもったいない。



続いて、野菜と豚肉の煮込み、イカの唐揚げ、麻婆豆腐。野菜と豚肉の煮込みは辛そうなスープに浸っている状態。これをすくいながら食べると、うーん、ほど良い辛さが効いたスープがしみわたる。「これはご飯欲しくなりますね」とお店の人に言った所、もともとまかないとして食べられていたそうで、ご飯との相性は抜群との事。



最後の麻婆豆腐がまた唐辛子+山椒のダブル辛さでたまらない。耐え切れずにご飯を注文し、あんの部分をタップリかけてご飯をかっ込む。もうこれは箸が止まらない勢いだ。



最後にイカの唐揚げをつまみに、すっかり存在を忘れていた紹興酒を飲む。刺激的な味に大満足だ。続いて、バー「D」へ。

久しぶりにやってきたが、年末のせいか大繁盛である。ちょうどカウンターの隙間にはまり、ローズバンク1991、アブソリュートシトロン+ストロベリーのカクテル、マティーニ、グラスホッパーで今年の飲み歩きの締めくくりである。

20071230ギャラリー巡り

2007年12月30日 19時49分16秒 | ART
今年最後のギャラリー巡り。ウェスト4→ミヤシタ→ATTIC→三越→ロフト→テンポラリースペースの6箇所。

■ギャラリーミヤシタ「Mari Fujita Exhibition 2007」。ギャラリーの入口が暗幕で仕切られている。それをくぐって入ると、ブロック塀状のもの。そこからはみ出す泥のような形とタンポポ。隙間から覗くとそこにはタンポポの生えている小さなスペースがある。これらには色彩がなく、全てが白色なのである。

タンポポってそこら辺に生えている草花という感じもあるが、よく考えると不気味な気がしないでもない。何とも言えない感興をわき起こすインスタレーションであったが、会場番の人の電話の声がうるさいのが残念。

■ATTIC「佐々木秀明 雫を聴く」。漏斗に入れた氷が解け、滴る水滴を下の器で受ける。その器を明りが照らしており、揺れる水面を通して背景に映し出すという光と音のインスタレーション。

暖炉の火や焚火を見ていてあきないように、この「冷たい炎」とも言える作品も見ていて飽きない。非常に気持ちよくなり、良い意味で眠くなりつつ約1時間ほど見てしまった。もう一つの特徴が音を聞かせることで、かすかに聞こえるビル外の自動車の音をバックに、水滴の音がする。実は見ている最中にリラックスしたせいか、急に体が軽くなった。「癒し」という言葉は好きではないが、そんな感じ。

話は変わるが、もう一つ見ていてあきないものにバーテンダーが氷を割る場面がある。大きな角氷を小さく分割していくのだが、意外とランダムな割れ方をするため、結構見ていて飽きないのだ。

■三越「黄金展」。金のすき焼き鍋、1200万円。バカバカしくてイイ。

■テンポラリースペース「木村環×藤谷康晴作品展 乱」。少々長くなりそうなので、別項。

20071230「木村環×藤谷康晴作品展 乱」

2007年12月30日 19時07分02秒 | ART
16時頃、テンポラリースペースに到着。藤谷康晴ライブドローイング実行委員会のメンバーが数人いる中、まずは木村さんの作品を見る。前回ちょっと見たときに作品のサイズが大きくなることによって違うものがあると思ったが、今回はドローイングのために作品が張られている位置と方向が変わっている。方向が変わるだけで、また新しい作品に触れているような気がしてくるものだ。

基本的に「頭部志向」なのだなと思う。今回は人の胸から湧き出しているものもあるのだが、首が長かったり、髪の毛が特徴的に描かれているものが多く、人間が頭の中で考えたものが実体化しているように見えるのである。

今回私の好きな作品は、蜘蛛の糸で紡いだスカーフのようなものをかぶっている女性。頭の上の蜘蛛に、さらに糸を伸ばして飛んできたのであろうか、もう一匹の蜘蛛が寄ってきている。

もう一つは、頭の上に木のやぐらを組んでいる人。屋上屋を架しすぎてしまい、妄想でどうにもならなくなっているかのようだ。

***
などと拝見しているうちに、17時、ライブドローイングが始まる時刻になった。観客は結局20人強だったかな? あまり広くない会場なので、わりとみっしり人がいる感じ。

藤谷さんが無言で登場、そのまま木村さんの作品の上に筆につけたインクを飛ばす。知らない人のために説明しておくが、今回のライブドローイングは木村さんが書いた画の上に、藤谷さんが画を描いてしまうという普通では考えられないようなことをするのである。

まずは、以下のような感じ。
・羽のようなものにインクをはじいて飛ばす。
・さらに雷のような線を入れる
・別の翼の上に金属製の筆のようなもの(名称をしらない)でインクを伸ばす。暗黒の裂け目を作っているかのようだ。
・人の胸に広がる海のうえに、謎の生命体を描く。海にいる人たちに魔の手を伸ばすかのよう。
・男の肩にうねうねとした線を伸ばし、人面瘡のようなものが生ずる。さらにその一筋が一人の女を縛る。

ここまで見て思ったことは、「業や念の実体化」ということである。木村さんの作品は気持ちよいだけの見やすいものではない。そこには何かしらの想い、時には暗い想いが隠されていると思う。藤谷さんの線はそれを実体化させているような気がするのだ。従って、暗い想いをかかえた作品(と、私が勝手に思うもの)ほど、藤谷さんの線も走っているように見える。

さらにドローイングは続く。
・女性の喉首に細かいひび線を入れる。この細かさからすると、女性の念の深さはストーカークラスだ。
・木村作品の命とも言える髪状の線にも書き込む。これは隣の作品まで線が伸びる。
・作中の鉛筆を持った手に細かい書き込み。この「手」が一番業が深いかも(作者だから)。鉛筆から放電しているかのよう。
・キャベツの中で眠る3人の前で、一瞬藤谷さんの手が止まり首がひねられた。

今回の形式では「後攻有利」だと私は思っていた。後に書くほうが好き放題できるのだろうと。しかしここまで来て急に逆のことを思うようになった。「先行(先攻の間違い)有利」であると。どうしても先に描いてあるものの形と想いは無視できない。「場」の強さというべきものを感じるのだ。

武道でも「後の先」という言葉があって、先に動き出した方をわずかに後から動いて制するということがあるらしいのだが、それはあくまでも一瞬の場合のことであろう。先に動いた方に完璧なワールドを作られてしまっては、後から動く方に勝機は少ない。最善でも引き分けではあるまいか。

その証拠に、業や念を感じさせにくいキャベツ作品では、元々描かれてこそいないが、存在していたキャベツの葉のしわをなぞっているだけのように見えた。藤谷作品の線の強さが感じられない。

さらに、続く。
・黒髪の女性。この人も業が深そうだなあ。案の定、顔全体に黒い線が伸び、まるで耳なし法一(しかし、黒髪そのものと女性の胸には筆が伸びない)。
・次はやぐら男のやぐらをつたって線が延び、油田のように噴出する。
・頭部が石筍のようになった人にインクを載せる。想いが石化しているせいか、わりとあっさり。
・さらに2枚の作品の中間に異界を出現させる。

ここに来てまた思った。まさに女性の象徴たる黒髪とバストには手が出ないのか。木村さんが描いた上に描けば良いって訳でもないが、何にもない白い部分に突然画を描いてもなあ。なんだか勝負に関係のないところで得意技を出させてもらったプロレスラーの気分だ。

・頭の割れた男の頭部から、エビか蠍のような奇妙な物体。
・一輪の花か? と思えるもの。
・巣から落ちた石のような卵を守るようにネット状の線。守るというより逃がさずに魔界に取り込もうとしているかも知れない。
・3つの作品の間に関係性を作り出すかのように線を引く。
・終盤、白いインクのしぶきを飛ばす。
・ビーカーから流れる液体を、白インクで塗る。
・黒髪女の唇を丁寧に白く塗り、爪でスクラッチして黒い色を出す。

白いインクは何の象徴だろう。業や念の中に、一点の清らかさの象徴だろうか。作品同士の関係性を生み出す線と、液体を浄化する白い色は「効果あり」という所だろう。

19時になり、これにてライブ終了。万雷の拍手。私にとっては緊張と腰痛の2時間であった。ライブ終了と同時に、見ていた人たちが急に写真を撮り出す。それを見て、私は絶対撮らないぞと思う。この場の空気と私の思ったことは写らないから。

普段私は展覧会を見ても、ブログには極端な話「見た。私は好き」位の事しか書いていない。今回は思う所が色々あり、好き放題書かせてもらった。勝ち負けをつけることに不愉快な思いをする人や、異論がある人もいるのだろうけど、少なくとも正直な感想である。

(なんだか、珍しい調子で書いてしまいました。それだけ興味深かったことは間違いありません。人の作品やすることに対して偉そうなことが言える者でもないのに、好き勝手を書いてすみませんでした)

おせちの前にカレー

2007年12月30日 12時24分49秒 | 食べ歩き
今日の札幌は天気もよく、雪がすっかり融けてしまったため歩きやすかった(一部、交通量の少ない通りを除く)。最後のギャラリー巡りをし、途中、大通のカレー屋さん「K」へ。

今日は珍しくベジタブルのカレーにしてみた。ここは小さめのナンとライス盛り合わせで出てくるので、どちらも試すことができる。ナンは写真を撮っている間にも良い香りが立ち上ってくるのだ。





さて、今日のカレーは中辛だが、やはり私としては食べるのがギリギリの辛さ。少々油もあって、ちょっと胃が重たい感じになってしまった。ふつうと中辛の中間にしたいのだが、今日オーダーを取りにきた人はインドの人だろうか。日本語があやしい感じだったので、うまく注文できる自信がなかった。英語で喋れば良いのかな?

2007年のまとめ(読書編)

2007年12月30日 08時15分22秒 | 読書
今年読んで面白かった本を上げるが、多分これ以外にもあるのだと思う。また、私は本を読みすぎて多少感性が摩滅しているので、これらに非常に感動したと言うわけでもない。1年を振り返ってみて、何となく面白かった記憶のある本だ。

「鉄の神経お許しを 他全短編」エドモンド・ハミルトン
ハミルトン大好きなんだよなあ。全然今風じゃないクラシックSF短編。

「バビロニア・ウェーブ」堀晃
日本のSFもこれだけの壮大なヴィジョンを描けたのだなあと、昔を懐かしむ限りである。

「大原美術館Ⅰ 西洋の近代絵画と彫刻」「同Ⅱ 現代絵画と彫刻」「同Ⅲ 日本の洋画」
小樽文学館で入手。何点か国立近代美術館で見ていたので、実感がわく。

「膚の下 上下」神林長平
これは神林の久々の大傑作では。年間ベストワンにおしたい所。

「若冲展図録」
市販本を超える印刷技術で若冲ワールドを堪能。この図録はお買い得だった。

「国宝」芸術新潮編集部
国宝好きとしては、便利な本。

「子どもと親の美術館 ’83~’85、’88~’91」
これはラルズの古書市で発見したのかな。安く入手できた上に、道立近代美術館の所蔵品にこんなものがあるということが分かる本。

「輝くもの天より堕ち」ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
必ずしもテーマを好むものではないが、さすがティプトリー。SFとしてのアイディア、ストーリーの緊迫感、どこをとっても一線級。

「冷たい校舎の時は止まる 上下」辻村深月
色々の欠点はあろうが、学校を舞台にした謎・推理ものとして最後までわくわくしながら読めた。文章に仕掛けられたトリックも良いのではないか。

「マッチレッテル万華鏡」加藤豊
苫小牧市博物館で購入。見るだけで楽しい。

「銀輪の覇者 上下」斎藤純
自転車レースをテーマにした、つい引き込まれてしまう傑作。

「キルンピープル 上下」デイヴィッド・ブリン
自分のコピーを作ることができるようになった時代のハードボイルドもの。軽妙で楽しいが、後半の熱血描写に引き込まれる所はさすが。

「本棚探偵の回想」喜国雅彦
普通の人にはついていけない古書趣味だが、読者サービスを良く分かっている作者のおかげで楽しく読める。

「リピート」乾くるみ
意識だけが過去に遡れるという設定の小説なのだが、遡ったメンバーは何故か一人一人死んでいく。エンディングの驚きという点ではさほどでもないが、よくストーリーが考えられている。