散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

苦いので

2014年03月22日 21時56分55秒 | 飲み歩き・すすきの界隈
何も食べられないが、まだ帰るにはちと早い。ということで、すすきの北側のバー「n」へ。3連休とあって、なかなかの混雑っぷりであるが、何とか隙間に座ることができた。

1杯目は「苦いのをお願いします」と注文し、きんかんとジン、グレープフルーツリキュールとビターズのカクテルが登場。最初はきんかんの皮のざらざらかんと爽やかな苦みを感じるが、徐々にいろいろな苦さがあるのが分かってくる。なかなか良くできた味だ。



2杯目は突然思いついた、テキーラベネット。この店の手法で、テキーラはサウザとタパティオの2種使いである。これもスッキリしたカクテルで非常に満足した。

この辺で帰った方が無難だと思ったのだが、もうすでに手遅れの酔っぱらいだったのは間違いない。

開いていた!

2014年03月22日 20時31分52秒 | 飲み歩き・すすきの界隈
日祝の休業日に挟まれた土曜日、幸いなことにすすきののバー「N」は開いていた。目の前にあったゴードンマクファイルのボトルから、カリラを注文。甘みもあるが強烈な味。美味しい。



少し加水すると、香りのたちが格段に違う。しかも少し白濁するのである。

2杯目はキルシュワッサー、オレンジジュース、オレンジキュラソーを使ったランバージャックというカクテル。結構個性の強い酒を使うのだが、キルシュとオレンジキュラソー、オレンジキュラソーとオレンジジュースのつながりが良いので、非常に良くできた味になった。



3杯目はゴードンマクファイルのレダイグを見ては、このカクテルを注文しなければなるまい。ということで、レダイグ使いの、アクアビットスモーキーマティーニである。



さすがにレダイグ29年と同じ味という訳にはいかないが、同方向の味ではある。しかし、見た瞬間にカクテルの材料扱いされるレダイグというのは、少々不憫ではある。

まだ、腹は全く減らない。

日本屈指の煮込みはこれだ

2014年03月22日 18時44分05秒 | 飲み歩き・大通、札幌界隈
思いがけない事情で札幌に逆戻り。札幌は曇りであるけれども、空が明るくなってきた。



大通西7丁目のバス停で降りて、狸小路へと急ぐ。久しぶりに狸小路のラーメン&居酒屋「I」へ。ここは時に非常に混雑するのだが、まだ混雑前だったので、カウンター隅に無事に座ることができた。飲み物は最初から赤ワイン。タコの三升あえを注文。



ま、タコはちょっと冷凍すぎるが、続いて羊のすじ煮込みを注文する。土鍋にぐつぐつ状態で煮込みがやってきた。これが実にうまいのである。



羊のすじの部分であるのだが、非常に柔らかく煮込まれており、臭みはもちろんない。スープ部分はドミグラスっぽくもあり、良くできた味。そんなバカなと思いつつもタバスコを入れるのも相性が良い。タバスコのツンとした部分はうまく隠れ、ほのかな辛味が感じられるのである(もちろん入れる量に注意)。

居酒屋に行くと何かと煮込みを注文する私であるが、この煮込みは日本屈指(東京の有名店の煮込みは結構食べたが、日本全国を云々するほど食べてないが…)と言っても過言ではあるまい。

さて次はどうしようか。ワインをお代わりすると、マスターが多目についでくれた。



ちょうど隣の客にラーメンが出たのだが、思ったよりも丼が小さめだったんだよね。あれなら食べられそうかな? ということで、酒を飲みだすと小食になる私が、ここで思い切ったラーメン注文である。頼んだのは、青じそラーメンの醤油味である。



作り方はニンニクを軽く炒めてから野菜を投入し、炎を上げて炒める。そこにスープを投入して煮たてた後、先に麺をいれた丼にスープ、野菜の順番に投入。ちょっとだけスープを足していたのがポイントありそうだ(量を間違えたのではなくて、複数回、同じ作り方をしていたのだ)。

食べてみると、麺は細め。札幌ラーメンには珍しいような気がするタイプだ。スープはうまいこと乳化しており、脂臭さを感じない味だ。ニンニクの風味が少々、青じそはみじん切り状態のものが入っているが、それほど主張はしていない。スープの濃度の割に、爽やかな感じがする程度である。

何ともいいラーメンで、これは「今、あえて伝統的札幌ラーメン」シリーズの記事にしたいところであった。そう、丼の見た目は小さかったのだが、さすがに食べてみると腹が苦しくなってきた。何とかスープ以外は完食し(スープも青じそにつられて結構飲んだが)、赤ワインも飲みほして終了。

無理して煮込みとラーメンを両方食べる価値があった。


20140322ギャラリー巡り

2014年03月22日 17時06分57秒 | ART
本日のギャラリー巡りはJR-ART BOX→はやし→エッセ→大丸→T38→レタラ→ポルト→なぜか小樽美術館→小樽市民ギャラリー→NEW STARの10か所。

■JR-ART BOX「在台灣的日誌”kituru”」。オープンスペースにある展示場所なので、これまで何度か作品写真を掲示してきたが、今回はのぞき穴方式とあって、こんな感じ。作家は藤木正則。



コンコースでやっていた「鉄拳のパラパラマンガの世界展」。なかなかだと聞いてはいたが、かなりドラマティックなものであった。映像コーナーで涙をこらえるのに精いっぱい…(オジサン、涙もろくなってきたんだよね)。



■ギャラリーエッセ「gozo roppu-2回目展-」。
「わたし」:バスタブに服を着たまま入る大きな女性。ギラギラしていないが、欲望があふれてそうなのか。
「わたしはいつでも思いだせる」:モネ的小品15点を展示。思いだせたとしても、必ずや記憶はぼんやりしているのだ。
「彼に告ぐ。」:消火栓かストーブのように見えるものにキスマーク。冷静なものを煽りたいのか、熱情あふれるところにキスか。

※20211208 作家と想像される方から名前を削除してほしいという申し出があり(コメント欄)、削除しました。

■T38 JRタワー展望台へ初めて行ってみた。年末の抽選会で只券があたり、来週の週末前にその期限が来てしまうのである。まずはエレベーターに乗ると、札幌と京都、パリの地図を重ねたものが貼ってあった(もう一台のエレベーターには東京とニューヨークのものがあった)寺島賢幸の「Superinposed Sapporo Map」という作品らしい。

 

 

まずは北方面。



続いて南方面。テレビ塔が下に見える。



続いて東方面。



そして西方面。線路が途中で大きく北に曲がっているのが分かる。



しかし、景色にはそんなに興味がないのだ。気になっていたのは美術作品である。

久保木彦「軌道と貨車」。第一回都市と鉄道展(聞いたことない)の出品作だとか。反射して良く見えないが…



吉川聡子「流レ行ク」。これはJRタワーにピッタリだ。



五十嵐威暢「山河風光」。壁に貼ってあるテラコッタ作品。作品と気がつかない人がほとんどだろう。



ここのトイレは思いっきり外が見えることで有名だが、ガラス窓に北大の寮歌「都ぞ弥生」の歌詞が貼ってあることに気がつく人も少ないのかも。でも、作詞者・作曲者の名前が一部はがれている…

 

最後に、出口のあたりで気がついた、システム・シーツー「ランドウェーブ」。



世界の建物せいくらべ。ドバイのブルジュ・ハリーファって、どんな感じなのだろう。



■ギャラリーレタラ「朝地伸介日本画展」。
「けはい」:ほとんどは抽象画で、一点だけ石壁にあけられた窓を描いたような作品があった。
「そこにあるけしき」:横9メートルを超える10枚の組作品。一部に木の洞(洞窟か?)のようなものはあるが、全体としていわゆる景色には見えない。
「はざまにすむもの」:ふわふわと浮かぶ赤い物体。生命体なのか?

■ポルトギャラリー「Timeless2:時の回廊」。
末次弘明「BABYLON」:紺と黒の地に、それぞれもう少し薄い色を流した2作品。配色を楽しむ。
林亨「心浮かべて」:青系の色彩に種子のような形のものを浮かべた連作。心が落ち着く作品である。

奥の方に北翔大学創始者の胸像があった。作は坂胆道である。



ここで突然小樽へ移動。

 

■市立小樽美術館「群像表現への招待~加藤一豊展/新収蔵品展」。
「ナース達」:制作のためのデッサンやエスキースも何点か展示されており、非常にまじめに取り組んだ人だとわかる。作風は小磯良平っぽくもある。
「Y氏の部屋」:岡田三郎助と山下新太郎に師事した人なのだが、山下の息子が画を修復しているところを描いた作品。壁に多く絵画作品がかかっているが、いずれもオーソドックスな絵画であるところが、この人らしい。
「岩木寿氏像」:人物の後ろに大きく中村善策の作品も描かれている。



新収蔵品展では、桐谷逸夫「ハーバーライト(小樽・中央通)」が目に付いた。今は無き軽食喫茶・ゲーム・パチンコのネオンが小樽のもう少し賑やかだったころを思わせる。画の中に「ENZEL」の文字もあった。

ここで予想外の事態になり、悩んだ結果札幌に戻る。


20140321ギャラリー巡り

2014年03月21日 15時21分34秒 | ART
本日のギャラリー巡りは文学館→オノベカ→三越→スカイホール→さいとう→ivory→富士フイルム→大通→道新→時計台の10か所。途中ではいている靴が浸水してきたため(水もれ甲介)、ギャラリー巡りをストップ。急ぎ、靴を購入し、明日また出直しである。

■北海道立文学館「荒巻義雄の世界展」。趣味性が高いかも?
「集合写真 SF作家・大伴昌司の墓参」:荒巻さんの他に、星・小松・眉村・石川喬司らの顔もある。意外と星新一の背が高くないな。
「私はこんな本を読んで私になった」:愛読書312冊を展示。SF・一般文学・美術・哲学・科学・戦略と幅が広い。
「絵画コレクション」:ルフィーノ・タマヨ「哲学者の夢」、小川原脩「山とりんご」、エルンスト「モデルE」、安田侃「天沃」、丸山隆「記憶素子γ」、國松明日香「月と人」など。私は「山とりんご」が、何か良かったな。



ちなみに中島公園の冬っぷりは凄い。



■よりiどこオノベカ「第一回アール・ブリュット札幌展~アートの宝探し~」。
阿部祐士「無題<夕やけ>」他:非常に力の抜けたゆるやかな作品。
北條寛幸「トランペット」「オートバイ」:金属表面の光、曇り、錆などを細かく描写してしまった作品。これ、いい。

■スカイホール「TURNER AWARD 2013」。
川田龍「Cardboard」:裸体女性の上半身に青の絵具でボディペイントしたものを描いた作品。かなりラフなタッチで、それが効果を表している。
陳思縈「時間/空間/人生」:緑の地にグレーの細かい三角模様。その小さな模様の中に、小さな羊と人が描かれている。

星野有紀「Happy Birthday」:うつ伏せに倒れ込む女性の周りに、真っ赤な三角コーン。嬉しくて倒れたのか、それとも誕生日が命日なのか。シチュエーションを想像してしまう作品。
松浦シオリ「踊り子」:ベリーダンサー風の女性のスカート部分に、般若面が沢山取りつけられている。「私は鬼女」をアピールしているのか? 数少ない北海道からの優秀賞作品。

■大通美術館「千展」。
水野スミ子:緑色の球体を複数個描いた作品が良かった。何だか回転しているようなダイナミズムがある。
吉村千加子「魚B」:平目のクビのところが「カキッ」と取れたような図。形が面白い。
吉村千加子「宙」:嵐の時の大気の動きを思わせる作品。

■時計台ギャラリー「第13回サッポロ未来展」。
佐藤仁敬「ツミキのミライ」:窓から見える街、それに背を向けてはいるものの、目をつむり微笑む女性。やり場のない「ツミキのケハイ」から、脱皮した世界ではないか。
神保光宏「土地」:少しゆがんだカーブの道。何が、とは言えないが、日本の田舎の風景である。

祝日はここだ

2014年03月21日 14時30分59秒 | 飲み歩き・すすきの界隈
ギャラリー巡りを中途半端に終えた後、すすきのに到着。祝日の札幌は普段に増して、昼酒を飲むところがない。確実に開いているであろう、すすきの駅直結「S」へ行くことにした。

特製ハイボールを頼んで、大根酢漬けをつまみにする。



さらにホエー豚冷製3点盛りを注文。



左からかしら脂、ハツ?、タンの3点盛り。薬味も山葵、生姜、ニンニクとついているので、葱も合えながら、いろいろな味付けで食べてみた。

2杯目はレモンサワー。そして、カシラ、シロとやっぱり焼いたものも食べたくなる。

 

ふー、昼からそんなに時間が経ってないし、腹いっぱいだ。今日は天気もいまひとつなので、早目に帰ることにしよう。


NOしがらみ

2014年03月21日 12時22分37秒 | 食べ歩き
久しぶりに何の予定もなく、何の拘束もない3連休だ。最初から飛ばしていこう、という訳で、すすきのラフィラの日本料理「GN」へ。祝日だというのに、意外と店はすいているなあ。今日はおかずがいろいろついている、ふきよせ膳というのを注文してみよう。そして、燗酒1合だ。

まずは一杯。



そして、到着したふきよせ膳をつまみにする。



左下から横に、冷奴、ひじき、野菜煮物、鮭(醤油漬けか?)、山かけ、白菜、玉子焼き、卯の花、サラダの9品である。これはつまみに持ってこいの品々である。しばし、飲んでから、残しておいたおかず力のあるもので、ご飯とみそ汁を食べた。ご飯がなかなか美味しいのも、嬉しい限りである。

ちょっとだけ残っていた酒を沢庵をつまみに飲んで、昼飯なんだからこれくらいで良いのではないだろうか。


20140320最近読んだ本

2014年03月20日 22時37分45秒 | 読書
■「O.tone vol.65」
おばんざい酒場特集。

■「真鍮のむし」田中啓文
実在のジャズの名人エピソードを思わせる話を盛り込み、そこに謎がからんでくる。読みやすく楽しい作品。

■「夢違」恩田陸
夢を記録し、解析ができるようになった時代、時に予知夢が存在するらしいということも分かってきた。そんな時、小学校での謎の集団パニックが発生し、そこにいた子供たちが失踪するという事態に。果たして夢と現実の境界が不安定になっているというのは、本当なのか? 謎めいていて、面白い作品。

■「日本漁業の真実」濱田武士
漁獲量減少の真実とは? 漁協は時代遅れの抵抗勢力なのか? 現代の日本漁業の概要がわかる本。

■「旅に出るゴトゴト揺られて本と酒」椎名誠

■「サクラ咲く」辻村深月

■「狩場最悪の航海記」山口雅也
日本に来たガリヴァーが侍である狩場とともに、不老不死の薬を探す探検に出る。ミステリテイストを交えた、非常に楽しい冒険譚。

■「日本の居酒屋文化」マイク・モラスキー
文章を読んでも特に違和感がないのだが、どこかに日本人としては一般的でない視点が入り、興味深く読めた。作者は札幌・釧路から沖縄の居酒屋まで、実によく行っている。

無理しても行く

2014年03月19日 23時21分35秒 | 飲み歩き・すすきの界隈
割とねちっこい会議の後、すすきのの手前、焼鳥「M」で一杯。飲み放題にして、ハイボールを主に飲んだ。食べたものは串盛り合わせ、野菜串盛り合わせ、シーザーサラダ、山わさび豆腐、揚げのミートソースグラタン、等。

結構飲んだが、こうなると一人でもう一軒行きたくなる。ということで、バー「ng」へ。1杯目はボンベイ・サファイア・イーストとパイナップルジュースのカクテル。見た目も美しく、スッキリした甘み。



2杯目はオールドパルっぽいカクテル(と、マスターが言っていた)。この甘苦いカクテルで締めよう。



すっかりもういい時間だ。

春の東京(9) 帰るのみ

2014年03月18日 10時00分27秒 | 旅日記
6時起床ですぐさま帰り支度。ホテルの朝食は7時からとなっていたのだが、6時台からやっていたようだ。ここで朝食を食べる手もあるのだが、食べてトイレに行きたくなると困るからなあ。

予定通りまっしぐらに三田へ行き、京急で羽田空港へ。待合ロビーで少し腹が減ってきて、おにぎりを2個食べた。



帰りの飛行機は爆睡、新千歳空港からのエアポートは新札幌で降りるために寝ずに頑張る。今回の旅(いや、出張なのだが)はこれで終了。

春の東京(8) 馬祭り(3)

2014年03月17日 22時57分03秒 | 飲み歩き・東京
ここで仕事の打ち合わせをはさんで、夜になってから三田に戻ってきた。昨日(いや、前回の出張時に)見かけて、気になっていた馬肉バル「H」に行ってみよう。席に座って、軽くグラスビール、通しは馬ハツ煮のレモン風味。さっぱりした味だ。



まずは馬肉屋のパテ・ド・カンパーニュを注文。なんとも巨大なパテ塊がやってきた。馬肉には癖がないので、馬らしい感じはそれほどしないが、肉肉しい所にマスタードをつけて食べる。これは赤ワイン持って来い! だな。



もう一品は馬もつ煮込みを注文。これは馬のホルモン部分のビール煮込みである。味はあっさり味噌煮込み風という感じで、ほのかに香りはあるものの、スープが至極旨い。もう一杯赤ワインを追加したものの、結構これで腹に来てしまった。



明日も早朝移動なのでこのくらいにしておこうかな。



三田駅方面から田町駅を経由して、ちょうどそこにあった「富士そば」で締めていこう。もう余計な具はいらないので、かけそば(240円)で十分である。



風呂上り用に缶チューハイ、明日用にウーロン茶を購入し、ホテルに戻る。当然酔っ払っていないので、快適に今、この記事を書いているしだいである。後は少しメモを整理して、24時前には寝ることにしよう。


→ホテルの中庭の夜景。なんだかなあ。

春の東京(7) アンディ!

2014年03月17日 14時41分12秒 | ART
続いて森美術館「アンディ・ウォーホル展」。正直それほど好みではないのだが、まあせっかくの機会だし見ていくことにしよう。



「女装した自画像」:森村泰昌を思い出す。
「長い馬」:馬の体を紫に塗っているのだが、インクをにじませて模様を描くのが、水墨画のようでもある。
「屏風」:カラフルな蝶の羽を持った天使が向かい合っている。左右対照の図であり、日本的屏風の要素は感じられない。

「潰れたキャンベル・スープ缶(ビーフ・ヌードル)」:潰れたあたりに人の手の介在が感じられるため、後にでたキャンベル・スープの作品とは違って感じられる。
「リステリン瓶」:薄黄緑色の地に薄茶の瓶。実にいい色合いだ。
「自殺(シルバーの飛び降りる男)」:本物かと疑ってしまうが、警察などから入手した事件の写真を使っているらしい。現代ではありえない、と言いつつも、豊田商事事件のようなことも起きてしまうわけであるが。

「電気椅子」:赤と水色を主の色とした2点。家具と何が違うのか、という問いかけ。
「ジャッキー」「エルヴィス」:日本で言うと美智子妃殿下と石原裕次郎か。日本人でも「ああ、ニュースのときに見た写真だ」と思うのだから、アメリカ人にとっては、感慨深い像なのだろう。
「マリリン・モンロー」:さまざまな色彩のマリリンだが、緑色の顔のを見ると、「スタートレック」でよく緑色の顔をした凶暴な異星女性が登場したのを思い出す。左耳の下に飛び散る色彩は、一瞬の線香花火のようでもある。

「銀の雲」:暖かい展望室にフィルム袋にヘリウムガスを入れて浮かべたもの。部屋にはファンが一機だけあるのだが、なぜか床の近くに固まる集団と宙に浮かぶ集団があり、糸で吊り下げてすらなく、生き物のように動くのだ。時々2つの袋がじゃれているみたいにも見えて、絶妙なバランスの傑作。
「ファクトリー」:ウォーホルの作業場所を再現したもの。地下室らしい造作に男女のトイレ、非常口があり、Brilloの段ボール箱や実に鮮やかな「花」の4作品が展示されている。また、箱を持つものと、電話をするウォーホルの等身大写真も展示されている。ウォーホルは実験大好き君だったのかな。
「注文肖像画シリーズ」:金を取って何が悪い。昔っから画家はそうやって来たじゃないか、と言うシリーズ。坂本龍一の肖像画はワイン購入者へプレゼントとして贈られたらしい。アレキサンダー大王の肖像画もあったが、注文したのは誰なのか?

「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ」:なんだか音楽がなっていると思っていたが、1時間7分のリハーサルビデオが延々と流されていた。しかし、この60年代ロックがたまらないほどの傑作。まあ、私はヴェルヴェットが大好きではあるのだが、延々と続くヴェルヴェットサウンドがこたえられない。リズムでどんどん快感が増していくのは、お経に近いものがあるな。この音源、ウォーホル美術館とクレジットがあったが、市販しているのかな。何だかんだで、ほぼ大部分聞いてしまった。
「TDKコマーシャル」:1983年のCMにウォーホルが登場したもの。なぜか記憶にないと思っていたのだが、私が受験から大学に進学した頃のテレビを持っていなかった時代にかかったものらしい。
「人体図」:ポップに簡略化された人体。人体の記号化か、それとも人体は機械と同一視できるかもしれないという思いか。

「ハンマーと鎌」:実物らしいものの上に、赤い色が塗られている。その赤は共産主義の印か、それとも血の色か。
「十字架」:黒字に十字架の黄色の色彩が衝撃的。何となく佐伯ユウゾウの死の直前に描かれた作品を思い出した。
「自画像」:「カモフラージュ」という2作品に挟まれた、ウォーホルの顔に迷彩が施された自画像。決して長いとは言えない人生。ずっと演技をしながら走り続けたのだろうか…

最初に言ったように決して興味のある作家ではなかったのだが、これだけの作品を時代に沿ってみると、感慨深いものがある。正直なところ、内容に予想のついていた「ラファエル前派展」よりも、ある種の衝撃があった展覧会だった。こちらの観覧者はファッションに気を使った若い女性が多く、「ラファエル」の客層とはまったく違ったのも興味深い。



展覧会が終了したので、「ラファエル前派展」の図録と「ウォーホル展」の小物を購入。

毛利庭園に行き、Martin Puryear「GUARDIAN STONE」。



Jean Michel Othoniel「Kin no Kokoro」。こちらは女子高生が記念写真を撮っていたので、変質者と思われないように、遠くの方からの撮影。


春の東京(5) ラファエル

2014年03月17日 11時32分53秒 | ART
加湿機をつけているのに部屋が乾燥しているせいか、断続的に目が覚め、結局は6時に起床。二日酔いもなく、体調はまずまず。7時過ぎまで待って、ホテルのロビーで朝食。今朝は、ご飯、味噌汁、卵焼き、鯖焼き、サラダ、肉団子、納豆、海苔、漬物を少しずつ食べた。やはりご飯を出してくれる朝食はうれしい。

 

ホテルは品川の隣駅のそばとあって、鉄の方にもお勧めだ。下の写真にも電車が3本写っていたりする。



朝食終了から、美術館の開館まで時間をつぶすのが大変。新聞を読みつつ、ダラダラする。9時半ころに六本木に向けて出発。まずは今回の第一目標、森アーツセンターギャラリー「ラファエル前派展」である。



早速、入場券を購入して美術館へ。今日はなぜか無料ロッカーが閉鎖されているという不親切な状態である。ロッカー数が足りないから、下手に貸さないということなのかなあ。

ハント「クローディオとイザベラ」:やんちゃな兄は、少女マンガの雰囲気である。
ミレイ「マリアナ」:藍色のビロード服は妙に豊満な女性の肉体を隠しており、アンビバレンツな感じ。
ミレイ「オフィーリア」:凍りついたように川に流れていく女性と、周りの植物の不思議な生命感。

ウォリス「シェイクスピアが生まれた部屋」:木の床と石壁のリアリズム。
コールデロン「破られた誓い」:物陰で逢引をする二人の様子を察し、目をつむる女性。美人さんだが、なんとなくお堅い感じなのか。
ミレイ「両親の家のキリスト(「大工の仕事場」)」:妙な実在感のあるキリスト一家。労働者の手が生々しい。

ロセッティ「見よ、我は主のはしためなり(受胎告知)」:マリアが受胎告知におびえる姿。まるでマリアの様子はムンクの作品に登場する、病気の女性のようだ。当時、既に救世主伝説はあったのだろうか。あったのであれば「まさか私の子が」と思い惑うのだろう。
ブラウン「ペテロの足を洗うキリスト」:その様子を覗き込んでいる、十二使途の表情が生々しい。
セドン「謀略の丘から望むエルサレムとヨシャファトの谷」:宗教的神々しさよりも、土地のリアルな姿が表現されている。当然、宗教の始まりは、土地に根ざしたものだったのであろう。

ブレット「ローゼンラウイ氷河」:手前の白い石、塔のように立つ岩壁、そして圧倒的に白く大きい氷河。イエスのアルバム「リレイヤー」のジャケットを思い出す。
ディヴィス「ある日の猟果、ビドストン・ヒル」:一般市民らしい女性たちが貝を拾っている。食べるためと言うよりは、貝殻コレクションをしているらしい。このように人々に科学(博物学の一端)が浸透していることを表すかのように、空にはドナーティ彗星が浮かんでいる。
ブラウン「あなたの息子をお抱きになってくださいな」:ちょっと目が離れ、前歯だけがやけにはっきり見える怖い女性。子供を抱いて迫ってくると言う、男性にとってはうなされそうな図。翌年この子が死んで、作者は絵の作成を放棄したらしい。ああ!

ハント「良心の目覚め」:とにかく家具や壁紙の模様、服の模様などで白いところがなく、ビッシリ。過剰性を感じる。
スティーヴンズ「母と子」:画を描くのに時間がかかりすぎ、最終的に評論家になったと言う作者。確かに小道具が多すぎる感じ。
マーティノウ「我が家で過ごす最後の日」:破産してしまった家族、主はやけっぱちで乾杯だ!

ミレイ「安息の谷間「疲れし者の安らぎの場」」:夕暮れに墓を掘る尼僧とそれを見る尼僧。死との境界の世界を表現している。
ロセッティ「ベアタ・ベアトリクス」:人物の周りにほのかな金色が光る。女性は目を閉じ、芥子の花を加えた鳥が飛び、すべてが死のイメージだ。
ロセッティ「最愛の人(花嫁)」:中央の女性は緑色の日本の着物を着ている。また手前には黒人少女がいるなど、異国風。

ロセッティ「プロセルピナ」:ロセッティの描く女性って、どこか男顔で苦手なんだよな。とはいえ、これはモデルのことを好きじゃなきゃかけない作品だ。
バーン=ジョーンズ「愛の神殿」:これは青木繁が影響受けまくりだろう。
バーン=ジョーンズ「「愛」に導かれる巡礼」:茨に表現される苦難を乗り越えて進む巡礼を描いた、大作。

展覧会自体の感想としては、見ている人に年配の女性が多い。そして分かりにくい画が多いせいか、解説文が長く、それを全部読もうとして実に進みが悪いのだ。途中からはある程度流れが良くなったが、結構疲れた。また、画題にあわせ額がかなりゴージャスだったのも、特徴であろう。