今日のフィリピン魚はテンジクダイ科のイトヒキテンジクダイZoramia leptacantha (Bleeker)です。
イトヒキテンジクダイは頭部、鰓蓋から体側の前半部にかけ黄色、あるいは橙色横帯があります。「日本産魚類検索」ではこの横帯のほか縦帯があるらしい、でもこの帯は死後すぐに消失してしまうとのことです。生きているときは眼がメタリック・ブルーに輝き、体は色が薄く、透明感もあり、なかなか涼しげな色彩のテンジクダイです。
第1背鰭の棘は6本、そのうち数本の棘が著しく長く伸びています。これがイトヒキテンジクダイと呼ばれる理由なのでしょう。
イトヒキテンジクダイは分布が広く、アフリカの東岸から中部太平洋の島々まで分布します。日本での分布域は奄美大島以南。内湾のサンゴ礁、あるいは礁湖の様な場所に多く生息します。主に枝状のサンゴの周辺で群れています。他のテンジクダイ科魚類とともに口腔内で卵を保育します。
属名Zoramiaは、Apogonの亜属とされたり、属に昇格されたりしています。今は属として扱われていることが多いようです。属の標準和名はまだ決まっていないように見えます。