今日のフィリピン魚は、カワハギ科のフチドリカワハギAcreichthys tomentosus (Linnaeus)です。
フチドリカワハギはインド・西部太平洋域の浅海に生息するカワハギの仲間です。主として浅海の砂底や藻場に見られるもので、日本国内でも琉球列島に分布します。
第1背鰭棘はほかのカワハギ同様、ぴんと立っています。その棘にはさらに小棘があります。ここには皮弁がなく、ヒゲハギ属の種類と区別できます。第1背鰭棘の位置は、トゲカワハギよりもやや後ろです。
尾鰭の模様は黒色斑で、帯もでています。雄の尾柄部には小さな小棘が帯状にあります。この尾鰭の模様は、この属の3種を同定するのに重要なポイントとなります
●そのほかのフチドリカワハギ属魚類
現在のところ3種が有効種とされているようです。3種とも日本やフィリピンを含む西部太平洋で見ることができます。
トゲカワハギAcreichthys hajam (Bleeker)は西部太平洋からインド洋にかけての浅海に生息する種類です。日本でも琉球列島で見ることができます。この個体は石垣島でロープについていたものです。北海道南部から九州の沿岸にすむアミメハギとにたような感じの種。フチドリカワハギににていますが、尾鰭の帯の模様が特徴的です。
スダレカワハギAcreichthys radiatus (Popta)はカワハギの中でも特に小型種。フィリピンのほか、西部太平洋の熱帯域に広く分布し、琉球列島でも確認されています。体側や頭部に横帯があり、頭部のものは放射状になったりします。英名ラジアルレザージャケットもここに由来しているのだと思います。この模様は、ソフトコーラルのウミアザミへの擬態ともされています。
尾鰭の模様は黒色斑で、フチドリカワハギに似ていますが、体側の模様は横帯や放射状のもようがある点が特徴、ただし変異も多いようです。この種類はごくたまに観賞魚としても流通しています。