今日は、従来紹介していたと思いきや紹介できていなかった魚をご紹介。スズキ目・ハタ科・ユカタハタ属のアザハタ。二日連続でハタ科の魚。ごめん。
アザハタもまたクロハタ同様、ユカタハタ属の魚なので背鰭棘数は9本である。本種はやや色彩にバリエーションがある。体に赤い斑点が入っているのが本種の特徴だが、深いところで釣りあげられたものはトップ画像のような鮮やかな赤い色をしている。一方でより小型の浅い個体は茶色い体に赤い点が多数入っている。幼魚では黒い体に赤色の斑点が入っていることが多い。幼魚でも成魚でも尾鰭や背鰭軟条部などの後縁は白くなるが、写真ではわかりにくいかもしれない。英語名ではTomato Hindと呼ばれているが、これは鮮やかな赤い体色からきているように思われる。また大きい個体は後頭部が膨らむものが多いようにも思う。
全長35cmになり、幼魚は浅い岩礁やサンゴ礁域に生息しているが、成長に伴い10数mほどの場所で見られるようになるのだろう。水中の根に、スカシテンジクダイやクロホシイシモチと一緒に大きなアザハタがいるような水中写真もよく知られている。サンゴ礁域でモリなどを使った漁業により漁獲されるが、ときには水深100mを超えるような場所から釣りなどで漁獲されることがある。この仲間では大きくなり、頻繁に市場にでる。市場では「じせいみーばい」もしくは「あかみーばい」と呼ばれ食用となり美味である。
分布域は広く、和歌山県、愛媛県、高知県、九州沿岸、琉球列島、小笠原諸島などに見られ、近年では三重県南部でも幼魚が安定して見られるようだ。なお、和歌山県や高知県では明らかに成魚に近いサイズの個体も見られるので、おそらく越冬しているのだろう。海外では南アフリカ~ライン諸島に至るインドー太平洋域にすむが、紅海やペルシャ湾、ハワイ諸島などには分布していない。紅海にはCephalopholis oligostictaというのがいて、これがアザハタの代わりの種のようである。分子分類学的にはユカタハタやニジハタに近いとされているが、これらの種類は全身が赤みを帯びているという共通点がある。