今日は以前我が家にやってきて紹介できていなかった魚をご紹介。スズキ目・チョウチョウウオ科・チョウチョウウオ属のチョウハン。鹿児島県・喜界島産で現地の「がほー」さんから送っていただいた魚。ただしこの個体は未成魚である。成魚は模様がこの個体とは少し異なっている。チョウチョウウオにも似ているが、体側の模様、特に白色帯の後方に目立つ黒色域があることなどで見分けることができる。なお、関東の磯ではチョウチョウウオよりもずっと少ない。
こちらはチョウハンの成魚。トップの写真では、チョウハンの背鰭に黒色斑が見られたが、これは未成魚であるため。完全な成魚だと黒色斑は消失してしまうようである。英語では頭部の白と黒の模様をアライグマの顔に見立てて「Raccoon butterlyfish」とよぶ。白い帯の後方の模様も、アライグマの耳を思わせる。なお、紅海には本種は分布せず、よく似た種類がいるが、この種もRed sea raccoon butterflyfishという名前で呼ばれたりしている。
このチョウハンはインドー太平洋の広域に生息し、西は南アフリカから、東はハワイ諸島、コスタリカのココ島、エクアドルのガラパゴス諸島にかけて分布しているが、先述したように紅海にはおらず、紅海にはまた別の近縁種が分布している。日本においても九州以北の太平洋岸でその姿を毎年のように見ることができるが、ほとんど越冬できていないものと思われる。私も2018年に千葉県で幼魚を採集して飼育していたことがある。冷凍のコペポーダやライブロックに付着した生物はよく啄んでいたが、なかなか配合飼料には餌付かなかった。ただ、ポリプ食性のチョウチョウウオと比較すると飼育はしやすいようで、うまく飼育すると10年は飼育できるようだ。今回のチョウハンは喜界島「がほー」さんより。いつもありがとうございます。