今日のフィリピン魚は、カワハギ科のウスバハギAluterus monoceros (Linnaeus)です。ウスバハギはフィリピンのほか世界中の温帯から熱帯海域に見られる広域分布種です。
写真の個体は幼魚です。
ウスバハギ属の魚は世界で5種が分布、フィリピンや、日本の近海を含む西部太平洋には2種が分布します。体はやや長く、大きくなり、カワハギ科では最大となるソウシハギも、このウスバハギ属の魚です。背鰭の棘は2棘からなりますが、うち1棘は皮下に埋没しています。
ウスバハギの体色は灰色の地色で、暗色の不規則な斑模様が出ます。大型種で、60cmを超えます。磯や、やや沖合に生息しており、釣りや定置網で漁獲されます。肉はカワハギによく似て美味、肝臓も食べられるのですが、毒が蓄積する可能性もあり、場所によっては食を控えるべき種かもしれません。
●近縁種
ソウシハギAluterus scriptus(Osbeck)
西部太平洋に生息するもう1種のウスバハギ属魚類です。大型種で全長は1mにも達します。長い尾鰭が特徴です。体側には、青い模様があり、大変美しい種です。幼魚は、流れ藻について、浮かんでいるように泳ぐのですが、擬態のようです。
熱帯性のカワハギですが、流れ藻について思わぬところでも漁獲されることがあります。東北地方や北関東などにも見られることがあります。
肉は白身で美味しいとも、あまり美味ではないとする文献もありますが、一応食用にされているようです。ただし、内臓(腸など)にスナギンチャクに由来する毒 (パリトキシン?) をもっているといわれ、内臓を食するのは避けるべきでしょう。パリトキシンは、ブダイ科アオブダイも有しており、5人の死者を出しているので注意するべきです。観賞魚としてもよさそうですが、デリケートで弱いといわれます。大きい個体は鮮やかな色彩が美しく、水族館でも見られます。
フィリピンに生息する、ウスバハギ属はこの2種、しかし、ほかにもウスバハギに似た魚がいます。
キホシハギ?Aluterus schoepfii (Walbaum) ?
和名はあるのですが日本からの報告はなく、海洋水産資源開発センターの「スリナム・ギアナ沖の魚類」の中で新称がつきました。この写真の個体はキホシハギとして輸入されやってきたものですが、キホシハギですと背鰭や臀鰭の軟条がやや少なく、体側にオレンジ色の斑点があるのですが、この個体にはありません。全体的な感じではこの個体の写真はウスバハギのように見えますが、顔つきなどが若干違うようです。
キホシハギは、カナダのノヴァ・スコシアから、南はブラジルにかけ分布するほか、西アフリカの沿岸にも分布しています。
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