フグ目・フグ科・キタマクラ属のキタマクラ。キタマクラは昨年も紹介したが、昨年紹介したのは薄い白っぽい体に茶色い縦線が入る幼魚であったが、成魚はこのような茶褐色の体で、茶色の縦線は薄くあまり目立たなくなる。体長15cmほどになるというが、この個体は12cmくらいだろうか(まわりのソラスズメダイとの体サイズの比較)。
キタマクラとカワハギ。どちらもフグ目の魚である。遠景ではカワハギによく似ており、実際にSNSなどのコミュニティにおいて、キタマクラについて知らない人が「これはカワハギでしょうか?」と質問することがたまにある。が、釣り人からの評価については180°正反対である。このキタマクラは身は無毒なのだが、皮膚や肝臓、腸などに毒があり食用禁止ふぐとされる。そもそもフグ科の魚の素人料理は危険である。キタマクラは雌や幼魚は地味な色彩ではあるが、雄成魚は派手な色になったりする。
分布域は福島県以南の太平洋岸~琉球列島。国外ではインドー西太平洋に生息する。ハワイ諸島にもいるが、魚類検索第三版では同諸島についての記述はない。ハワイ産の個体は別種とされそうなのか、そもそも「西太平洋」というのが誤記なのか。高知県ではどこの海でもほぼ周年見られ、このポイントでは昼間に防波堤で釣り糸を垂らせば100%姿を見ることができる。九州北部にもいるようだが、残念ながら玄界灘ではその姿を見たことはない。クサフグとコモンフグが多く、トラフグ属以外ではサバフグと、冬季に沿岸の砂浜を埋め尽くすハリセンボンに混ざるホシフグくらいのものであった。
キタマクラの仲間は観賞魚として飼育されることもある。ただしサンゴをかじったりすることもあるので、あまり初心者向けの魚とはいえないところがある。またフグ科・ハコフグ科全般にいえることではあるが、ほかの魚と飼育していると皮膚から毒を出す危険性がある魚については、それに対応できない初心者には飼育はおすすめできない。
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